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新型コロナウイルスへの対応

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「緊急事態」はなぜ常態化するのか?

「緊急事態」はなぜ常態化するのか?

◆はじめに東京オリンピックが開催され、閉会を迎えた中で、日本国内の新型コロナウイルスの感染者数は過去最多を更新し続けている。

これまで1年強の間は、緊急事態宣言を出し、緩やかであるにせよ私権制限を行うことが、感染拡大を抑制するための有効な方法とされてきた。

しかし、現在の状況はこれまでとは大きく異なっている。

これまでの政府やメディア、国民の関心は「緊急事態宣言をいつ解除するか」、あるいは「

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「生命」のために「人生」をあけわたしてしまうということ—感染拡大防止と私権制限—

「生命」のために「人生」をあけわたしてしまうということ—感染拡大防止と私権制限—

◆ここ一週間の流れ
この記事を書いている2021年8月5日現在、東京の感染者数は過去最多の5042人を記録した。

当然、ここでいう感染者はあくまで検査で陽性反応が確認された人数ではあるものの医療現場はすでに崩壊しかけており、これを受けた(であろう)政府が示した中等症患者を自宅療養させる指針が物議を醸している。

さて、最近のこのような状況を受けてか本格的な私権制限を含むロックダウン(都市封鎖)を

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緊急事態における生と社会ーコロナと原発事故に共通する問題についてー

緊急事態における生と社会ーコロナと原発事故に共通する問題についてー

 東日本大震災・東京電力福島原発事故から10年が、さらにコロナ禍の非常事態から1年が経過しました。ここでは、「コロナと原発事故に共通する問題」と題して、以下のような連載投稿を計画しています。

1.コロナと原発事故に共通する問題①緊急事態は収束したのか?―時系列から振り返る―
1.1 原発事故後の10年を振り返る
1.2 コロナ禍の1年を振り返る
1.3 緊急事態は収束したのか?

2.コロナと原

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感染しないことと引き換えに失ったもの

感染しないことと引き換えに失ったもの

 「Zoomの『待合室』ってさ、あれ、『待合室』にいる人同士でしゃべれないんだね。どうせ待つならやっぱり茶菓子が置いてあって、自販機が近くにあって、ベンチとかあって、そういうの想像するよね」

 リモートでのゼミが始まってしばらく経ったころ、ある教員が冗談交じりにそんなことを語った。筆者の所属する大学では今年度以降、新型コロナ感染拡大防止の観点から一部を除くほとんどの講義でリモート会議ができるZo

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新型コロナウィルスと葬儀(その1)

新型コロナウィルスと葬儀(その1)

はじめに 新型コロナウィルスの感染拡大により、4月7日に国によって緊急事態宣言が発令され(5月31日解除)、各自治体ではそれに応じた措置なされ、全国各地で「外出自粛要請」がなされた。また、市民同士の間でも感染拡大防止を理由に「不要不急の外出自粛」が求められる風潮になった。 
 そんな例年とは異なるイレギュラーな状況の中であっても、起こりうるのは身近な人間との死別である。死は時を選んでやってくるわけ

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主な「コロナ論」の紹介①2020年2〜3月の国内の批評紹介

主な「コロナ論」の紹介①2020年2〜3月の国内の批評紹介

【新型コロナウイルス批評】2020年2〜3月の国内の批評紹介◆2〜3月の批評の特徴2月の批評記事については、中国・武漢に関する記事が目立つ。新型コロナウイルスの初確認の地として、1月の武漢封鎖、WHOの警鐘、日本政府の武漢渡航歴のある外国人の入国禁止と呼応するように、批評の内容は武漢に関するものが主流であった。

2月下旬からは日本と武漢の比較から、日本のPCR検査数の少なさについて、専門家の言葉

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