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読書日記

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読んだ本の感想を時々書きます。
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#読書日記

【書評】『柚莉愛とかくれんぼ』の「リアリティ」

【書評】『柚莉愛とかくれんぼ』の「リアリティ」

 困ったことになってしまった。『柚莉愛とかくれんぼ』、真下みことさんのデビュー作だ。これを書いているのが発売日当日ということもあり、著者のTwitterフォロワー数は100に満たない。私はすでにフォローしている。そして発売当日にデビュー作を読み、この感想を書いている。この記事を書き終えて公開した後、リンクを貼りつけてツイートすれば、リツイート、まぁ少なくともいいねはつく。これで私も立派な真下さんの

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【読書日記】島尾新『水墨画入門』(岩波新書)

【読書日記】島尾新『水墨画入門』(岩波新書)

 電子書籍はとても便利なものだが、まだまだ不便なところもあって、そのうちの一つに、立ち読みできないというところがある。最近では目次とかは買う前に覗けるみたいなこともあったりするが、そういうことじゃない。目次ももちろん大事だけど、そうじゃなくて全体をパラパラめくりながら眺めてみることで、その本の雰囲気を知ることもまた大事なのだ。

 少し前のこと、会社の帰りにいつものように梅田の紀伊国屋書店に寄った

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【読書日記】労働が気晴らしになるときーー川崎昌平『同人誌をつくったら人生変わった件について。』

【読書日記】労働が気晴らしになるときーー川崎昌平『同人誌をつくったら人生変わった件について。』

 働いているときにこれは気晴らしだ、とおもって働いている人なんかまあそうそういないだろう。でもそうおもえるようになるんじゃないかという可能性を見せてくれる本に出会うことができた。川崎昌平『同人誌をつくったら人生変わった件について。』がそれだ。

 実は以前に、この本のもとになった『労働者のための同人誌入門』の第一巻を電子書籍で読んだことがあった。続きが読みたいなぁ…とおもっていたら、気づけば幻冬舎

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【読書日記】カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』(河出文庫)

【読書日記】カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』(河出文庫)

 最近、書店でよく『時間は存在しない』という本を見かけた。哲学書コーナーにもあったので哲学者の本かとおもっていたら、よく見ると物理学者の本で、少し気になっていた。そんなとき、この本を書店で見つけた。どんなタイトルやねん…でもすごそう…とかおもいながら見ているとどことなく既視感が。そう、筆者のカルロ・ロヴェッリは、『時間は存在しない』を書いた人だった!

 しかも、訳者あとがきを覗いてみると、『時間

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