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「筋肉質な経営」を考えてみる

「リストラが筋肉質な経営を実現することなのか??」

先にお断りしておきますと前の3本が真面目な内容だったので今回はコラム的な位置付けです笑

趣味がボディメイクで筋力トレーニングの為に恵比寿にある「パーソナルジム」とダイエットの原理原則を学びたく「2ツ星栄養コンシェルジュ」という資格をとっているので、たまに経済紙で出てくる「筋肉質な経営:贅肉のない引き締まった肉体を持つ企業」という説明がメタファーとしては抽象度が高く片手落ちだと思うので、今回は筋肉質な経営というものをぶった斬ってみようと思います!!

【写真_体脂肪率別の身体】

体脂肪率比較写真

まずみなさんは上の写真をご覧いただいて「筋肉質な身体」のボーダーラインはどこになりますでしょうか。
恐らく多くの方が10-12%以下の身体とお答えになるのではないでしょうか。

【写真_ジャニーズ系の身体】

ジャニーズ裸写真

はたまた女性からみればいわゆるジャニーズ系の裸の写真をみて「筋肉質で素敵」と思われる方が多いのではないでしょうか?

このように価値観によって「筋肉質な身体」の定義は異なってくると思われますが、経営における「筋肉質な経営」とは一般論としてどの様に捉えられているのでしょうか。
恐らく無駄な経費や資産を徹底的にカットした贅肉のない身体の様な経営が筋肉質な経営ということになっていると思います。

しかし、体脂肪率12%以下の写真のように筋肉が発達した身体(上の写真)と、非常にセクシーですがジャニーズ系の裸のように絞れているけど筋肉が発達しているとは言い難い身体(下の写真)のどちらが筋肉質な経営を実現しているということになるのでしょうか。
この点をボディメイクの大会と照らし合わせて検証してみましょう。

私も一度、かっこいい身体を魅せ競う合うボディメイクの大会にでたことがあります。
そこでの評価基準は1)筋肉がしっかりバランスよく発達していて(筋肥大)、なおかつ2)絞れている(除脂肪)ことが求められます。
つまり何が言いたいかというと、2)絞れている(除脂肪)だけでは「筋肉質な身体」という評価はされないわけです。

【写真_ボディメイクの大会で評価される身体/フィジーク東京大会優勝者】

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大事なことなのでもう一度言います。
贅肉がないといった絞れているだけでは評価されないのです。
発達した筋肉が必要なのです。

なので、筋肉質な経営≒無駄な経費や資産を徹底的にカットした経営だけでは目指すべき経営のメタファーとしては抽象度が高く、片手落ち感を感じています。

ということで、以下で「筋肉質な経営」に関する自説を記したいと思います!

筋肉質な経営の定義

しかし、脂肪って気づくといつの間にかついてますよね。
これって、消費カロリーが年齢と共に落ちるなか、今までの食事量を摂ってしまうと小さなオーバーカロリーの積み重ねで脂肪がついてしまうのだと思います。

「これから我が社は筋肉質な経営を目指す!」と発言があるということは、きっと、企業も業歴が長くなればなるほどいつの間にか余分な資産や費用がつきまとってくるのだと思います。

ここで企業にとっての贅肉(脂肪)にあたる余分な資産や費用というものはどんなものになるのでしょうか?

私の中の答えは、「生産性の低い資産」です。
バランスシートの資産の部に載っている資産から生み出す収益性が低い資産です。
よく、リストラ(リストラクチャリング/再構築)と言うと首切りの意味合いとして捉えられることが多いですが、リストラの本質は、
1)経営資源として投資した資産の生産性が低いものの取捨選択
2)そもそも計画の見通しが甘く生産性が低い資産の取捨選択

だと思います。

そして、リストラすること自体で得られる利点は、
1)生産性の低い資産をキャッシュに変えることができる
2)生産性が低い資産に付随するキャッシュアウトを止めることができる
3)生産性が低い資産をキャッシュに変えることで再投資ができるため機会損失を防げる

ことが挙げられると思います。

このことは企業が効率的な活動をしているかの指標であるROA(総資産利益率)そのものであると言えます。

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では、生産性の低い資産を処分し(≒総資産を小さくする)、贅肉のない脂肪を落とした経営が筋肉質な経営と言えるのでしょうか?
否、資産やコスト(ここでは経営資源)から発生する売上や利益というものを筋肉と同様に発達させていかなければボディメイクでいう筋肉質な身体・筋肉質な経営とは言えないはずです。

なので筋肉質な経営は、
1)経営資源となる資産や費用の生産性の向上(筋肥大)
2)生産性の低い資産の処分(除脂肪)
という異なる2つのアプローチを行う必要があるのです。

ところで、ボディメイクの大会にでる選手は筋肉を大きくするために若干の脂肪がつくことを覚悟でしっかり栄養素を摂取する期間の「増量期」と、若干の筋肉が失われることを覚悟で大会当日に向けて極限まで食事制限を行い体脂肪を削りにいく「減量期」という2つの期間を設けています。
注)ボディビルダーの身体があそこまでバキバキなのは凄まじい筋肉量もさることながら大会に向けて厳しい食事制限して減量(除脂肪)をしているからなのです。そもそも腹筋は皆割れているので脂肪を落とせば腹筋は割れます。

せっかく大きくした筋肉をなるべく脂肪と共に削られないように減量期でも、1)筋力トレーニングをしっかり行う、2)タンパク質をしっかりとるということを行なっています。

ということは、企業も生産性の低い資産を処分し財務体質を改善しているフェーズでも、企業にとって大事な筋肉に値する経営資源となる資産や費用の生産性の向上をはかっていくアプローチが必要であると思っています。

設備などの物的な資産を動かすのも人であり、能力が拡大するのも人であります。
筋肉質な経営を実現する上で生産性の低い資産を処分するのと同時に、この人という資産(PL上で期間損益となりますが)に透明性の高い情報共有を行い、自ら考え意思決定させる裁量を持たせながら、適切なストレッチをかけてより生産性の高い組織となるように筋肥大をしていく必要があると個人的に思っています。

はたしてバキバキな企業は良いのか?

しかしながら果たして12%以下の身体がいいのか?という論点もあると思います。
一般的に女性にモテるのは大会コンディションのバキバキの身体よりも、胸板が厚く程よく脂肪がのった身体ですし、生存能力をみたときも脂肪は高いエネルギーを有しているので生存できる確率が高いといえるでしょう(冬眠前のクマは脂肪を貯めこみます)。
私の中での正解は、15%の体脂肪率の身体が一番良いです。

ではそれを企業に当てはめるとなににあたるのでしょうか。
私は必要な脂肪は現預金だと考えます。
よく必要以上に現預金を有している企業は「内部留保を吐き出せ!どう考えてるんだ!」と投資家に詰問されることがありますが、投資家からすると成長投資できないのであれば投資家の代替投資の機会損失を奪うなというメッセージです。

しかしながら、企業が倒産するトリガーは支払わなければいけない債務を支払えなくなった時です。
そう潰れないためには現預金が必要なのです。
そして現預金を持っている企業は銀行に好かれます。

つまり、企業はゴーイングコンサーンの観点から究極に助脂肪された身体を目指すのではなく生産性の低い資産は処分(除脂肪)しながら15%の体脂肪率くらいの現預金水準は持っておくことが大事なのかなと思います(考える目安を運転資金○ヶ月分+固定費○ヵ月分を自分ごととしてどの位あればいいか考える)。

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結論

大会にでることがなければ筋肉が発達した15%の体脂肪ボディを目指して人生を楽しみましょう!!
(筋肉質な経営はどこいった...)

次回は真面目な話題に戻ります!

<お問い合わせ先>
モノサシ株式会社
代表取締役
古畑 輝英
info@monosashi.co.jp
https://www.monosashi.co.jp

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