【ざっくり】大手映画会社3社比較分析(東宝・東映・松竹)
日本の3大映画会社と言えば、東宝、東映、松竹である。
各社の分析を行ったので今回は、3社の比較分析を行いたいと思う。
参考までに過去の分析はこちら(東宝、東映、松竹)
それでは比較分析を行っていきたいと思う。
■直近の業績比較(2018年度)
以下に3社の2018年度の数値を並べた。
上記からわかることは主要映画会社3社と言っても、業界1位の東宝と東映では売上が2倍も異なり、業界3位の松竹も東映に対して、1.5倍の差があり、各社で大きな差ができている。
次の営業利益を比較すると、東宝と東映では売上と同様に2倍の差がある。しかし、松竹に関しては売上では差が1.5倍であったが、営業利益になると10倍の差が発生している。
その理由が財務指標を並べると明らかになる。
粗利率では実は松竹が最も良いが、営業利益率になると一気に悪化し、第3位となる。営業利益が悪化する理由としては販管費の割合が大きいと考えられる。販管費の明細を見るに、人件費、広告宣伝費が大きな割合を占めておりでここが悪化させている推測される。(特に人件費)
■過去5年間推移の比較
今度は過去5年間の推移について比較したいと思う。
売上は東宝、東映も伸びているようで、一方で松竹が若干下がっているように見える。
続いて過去5年間の営業利益を見てみる。
東宝:
売上は毎年増加していたが、営業利益については過去2年間で減少しているのがわかる。前回の東宝の記事にも記載したが、粗利率が悪化しているの原因である。
東映:
直近の2018年度で利益が急激に増加しているのがわかる。理由はドラゴンボールや翔んで埼玉等が大ヒットがしたのが理由の一つである。
松竹:
過去2年で急激に利益が悪化しており、2016年から比較して40%程度減益になっている。減益の主な理由は映画事業でヒット作に恵まれなかったためだ。
■セグメントの比較
続いて、より細かくセグメント別で見ていこうと思う。
以下は、3社のセグメント別の売上になる。
3社とも映画会社であるので、半分近くは映画関連事業になっており、松竹においては第2位である歌舞伎が目立つ。
続いて、セグメント別の利益を見てみる。
注目すべきは松竹である。売上の割合では50%近くが映画関連事業であったのものの、利益になると全体の10%程度で、不動産事業が全体の60%近くを占めている。(東宝も不動産事業の割合が増えているが松竹ほどではない)
■映画事業の比較
今度はセグメントの中の映画事業について見ていこうと思う。
まずは売上推移について見ていく。
上記にも記載をしたが、東映は好調であり、東宝、松竹が苦戦しているのがわかる。
なお、不動産事業についても並べてみた。
松竹の不動産事業が興味を引いたが、規模で言うと東宝がスバ抜けて大きいのがわかる。
■大株主
続いては各社の大株主構成について見ていこうと思う。
以下が2018年度時点の構成になる。
株主構成から各社の事業の特徴がわかる。
東宝は阪急阪神東宝グループであるので、ホールディングスである阪急阪神ホールディングスが筆頭株主である。なぜ阪急阪神グループかというと、阪急電鉄と東宝の創業者は同じ小林一三氏という歴史があるためだ。
今度は東映について見ると、東映はテレビ、アニメが強いのが色濃く、株主構成に出ている。他の2社と比較してテレビ局が多い。
最後に松竹を見ると、東映と対照的に建設系の企業が多いことがわかる。これは上記にもあったように松竹にとっては不動産事業はかなり重要な事業であるためと考えられる。ちなみに筆頭株主の歌舞伎座株式会社は松竹に劇場を賃貸している会社であるらしい。
以上、大手映画会社3社の比較をしてみたが、
映画会社と言っても、各社全然違う強みや特徴があることがわかる。
最近ではNetflixやAmazonなど海外企業が日本のエンタメの分野に参入してきている。彼らに打ち勝つために、各社がどのように強みや特徴を活かして闘っていくか注目していきたい。
<その他関連記事>
・【ざっくり】東宝業績推移(過去5年間)
・【ざっくり】東映業績推移(過去5年間)
・【ざっくり】松竹業績推移(過去5年間)
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