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【読書録】『多動力』堀江貴文

私は、とても、飽きっぽい。

何かをしているときに、頭の片隅に、別のことについてのアイデアが浮かぶことがある。そして、その別のことが、気にかかって仕方なくなる。そのため、しかかっていたことを中断してしまうことがある。

ピアノ、テニス、ゴルフ、語学、着物の着付けなど、いったん習い始めたはよいが、途中で飽きてしまって(上達しなかったせいもあるが)、投げ出してしまったものも、数限りなく、ある。

仕事においても、同様だ。ある勤務先で、ひととおり、業務の概要や全体像がわかってくると、飽きがくる。同じことを繰り返すよりも、何か新しいことがやりたくなる。そうして、何度も転職を重ねてきた。

このように、一つのことが長続きしなかったり、一つのことに集中できなかったりすることを、自分自身、長らく、欠点だと思っていた。

2017年、この本が出版されて話題になった。あまり期待せずに手に取ってみたが、私が欠点だと思っていた要素が、もしかすると、「多動力」という強みにも転換できるかもしれないと思えた。目から鱗が落ち、救われる思いだった。

堀江さんは、私と同世代。すごい人だなあとは、以前から思っていた。でも、自分とはキャラやスケールが違いすぎるので、あまり気に留めてこなかった。それが、たまたまこの本を手に取って、「多動力」という言葉に接して勇気づけられた。

以下、私の印象に残ったエッセンスをまとめてみる。

はじめに

「多動力」とは、いくつもの異なることを同時にこなす力。次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる力。

多動力がある人は、次から次に、興味が移り変わってしまい、まったくもって落ち着きがない。かつてはマイナスでしかなかったかもしれない。

しかし、これからは、あらゆる産業のタテの壁が溶けていく、かつてない時代。各業界を軽やかに超えていく「越境者」が求められる。「越境者」に最も必要な能力が「多動力」。

第1章 1つの仕事をコツコツとやる時代は終わった

既存の技術やノウハウを得るために貴重な時間を使ってはいけない。

肩書を掛け算することによって、レアな存在になり、価値を上げることができる。

第2章 バカ真面目の洗脳を解け

「全部自分でやらなきゃいけない症候群」にかかっている人が多い。自分の貴重な時間は、自分の強みが一番発揮できる仕事に集中させるべき。

「自分でやらないこと」を決めるのが大切。自分にしかできない仕事以外は、他人に思いっきり任せる。

「完璧主義」ではなく「完了主義」。たまに手抜きをしてもいいから、目の前の仕事をサクサク終わらせて次に行き、前の仕事には戻らない。

見切り発車して、走りながら考える。

第3章 サルのようにはまり、鳩のように飽きよ

飽きやすいことをネガティブにとらえる人もいるが、実は成長が早いということ。

ある程度ハマれば、大半の知識は得られる。そこから長い年月をかけて100点を取ることに執着せず、次のジャンルへ飛んだほうが、また新たな発見がある。あちこちハマっていくうちに、網の目のように散らばった点と点が思わぬところでつながる。

第4章 「自分の時間」を取り戻そう

人生の中で「ワクワクしない時間」を減らす。そのためには「やらないこと」を決める。

「電話」は一方的に人の時間を奪う。メールやLINEなどの非同期通信で十分。隙間時間を活用できる。

他人の目を気にせずに「自分の時間」を生きる。大事な会議でもスマホをいじる勇気を持つ。「付き合わない人」を決める。「受けない仕事リスト」を作る。

今の速い「時間感覚」を意識する。

第5章 自分の分身に働かせる裏技

限られた時間を、自分にしか思いつかないアイデアを生み、自分にしかできない発言をすることに集中し(「原液づくり」)、自分が実際に動かなくても、考えや主張が自動的に生産され続ける(誰かが原液を薄めてくれる)ようにする。

「原液」を作るには、教養を身に着けること。表面的な情報やノウハウだけを身に着けるのではなく、気になった物事の歴史を深く掘って、根幹から理解する。

知らないことは恥ずかしがらずに質問し、スマホでさっと調べる。

「質問力」はビジネスを進めるうえで必須の能力。明確に簡潔に聞きたいことだけを聞く力を身につける。

無駄な会議をやめる。そのためには、解決したい問題を明確にし、必要な情報を集め、感情論を排してロジカルに判断する。

第6章 世界最速仕事術

すべての仕事はスマホでできる。惰性と慣習、組織の同調圧力に流され、非効率な仕事のやり方をするのを改める。

仕事は「速度」よりも「リズム」。「リズム」を乱す障害を取り除き、一直線に駆け抜ける。

仕事がデキる人は「レスが速い」という共通点がある。渋滞をなくす工夫をすべき。

隙間時間に効率よく仕事をする。ストレスのかからない仕事の進め方を考える。

やりたいことはやりたいときに全部やり倒す。次から次へ短時間でハシゴする。

健康第一。そのためには、よく寝る。そして、ストレスのない生活を送るため、言いたいことを言い、食べたいものを食べ、やりたいことをやって、生きたいように生きる。

第7章 最強メンタルの育て方

「他人からどう見られるか」という感情が「多動力」の障害。羞恥心を捨てて、恥をかく勇気、失敗する勇気を持つ。誰もあなたには興味がない。

「バカは小利口に勝る。」一番に出を挙げて、タイミングを逃さず、チャンスを手にせよ。

第8章 人生に目的なんていらない

いつまでも3歳児のような好奇心をもって生きていく。

手持ちの資産や資格を活かそうと考えるとそれに縛られる。そうではなく、何をやりたいかをフラット考える。

人生は有限。予定調和の時間を短くして、未知の発見を楽しもう。

ただ「楽しいから」行動する。今がすべてであり、「将来の夢」や「目標」なんて必要ない。

おわりに

Just do it.  Just do it. ただ実践すること。あれこれ考えるヒマがあったら、今すぐやってみよう!

感想

飽きっぽいのは、欠点ではないのだ!という嬉しい発見があったことは冒頭で書いたとおり。

そのほかには、今まで読んで心に刺さり、noteで紹介してきた本や言葉と、メッセージが共通する点が多くあると思った。(まあ、1人の同じ人間のアンテナに引っかかるのだから、刺さるメッセージが共通しているのは、ごく自然なことなのかもしれないが…。)

たとえば、「第1章 1つの仕事をコツコツやる時代は終わった」というのは、『LIFE SHIFT』の問題意識と共通するところがあると思った。

また、「第4章『自分の時間』を取り戻そう」は、「ちきりん」の、まさに同名のタイトルの本の内容と、共通するエッセンスが満載だった。

また、第2章の「見切り発車して、やりながら考える」や、「おわりに」の"Just do it."というマインドについては、上司から聞いた次の言葉ともリンクするかなとも思った。

私は飽きっぽい性格だが、だからといって、いきなり、ホリエモンのように、やりたいことを次々にビジネスにしていくことができるわけではない。飽きっぽいだけではダメで、自分の好きなこと、わくわくすることに、「サルのようにハマ」って、それに短期集中して取り組むのが成功のコツなのだろう。

私は、現在、外資系企業でサラリーマンをやっている。今の仕事には、そこそこ満足してはいるが、正直言って、ワクワクしているかというと、そうでもない。かといって、ほかに、「これがやりたい!」と思えるものも、まだ(未だに)見つかっていない。

だけど、日々、突然わいてくるアイデアや興味や、好奇心を大切にして、アンテナを広く張り続けて、「多動力」を磨いていきたい。そうすることで、残りの人生を、悔いのないように、できるだけ自分の生きたいように生きていけるとよいな、と思った。

ご参考になれば幸いです!


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