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【読書録】『パプリカ』筒井康隆

久しぶりに読み直した、私の好きな小説のひとつ。筒井康隆先生の、『パプリカ』。夢を題材にした、奇抜な発想に基づくサイエンス・フィクションだ。

私は、ほぼ毎日のように、夢を見る。しかも、支離滅裂な、変な夢ばかりだ。そして、まるで、寝ている間に、いわば、裏の人生を歩んでいるかのように、現実世界とは別の、濃いドラマが繰り広げられる。

そのためか、私は、寝ながら、笑ったり、泣いたり、叫んだりするみたいだし、寝言もとても多いらしい。誰かと一緒に寝ていると、驚かれたり、気持ち悪がられたりする(苦笑)。

だから、夢を題材にした作品には、とても興味を惹かれる。

この小説は、眠っている間に、別の物語が脳内で進行する、という夢の不思議を、見事にSF作品に仕立てている。さすがは、筒井康隆先生だ。私のように、よく夢を見る、という方には、特に楽しんでお読みいただけると思う。

(※以下、ネタバレご注意ください。)

主人公は、精神医学研究所の美貌の女性研究者。1人の夢を複数人で同時に体験できる機器を利用して、「夢探偵パプリカ」として患者の治療をする。研究所内の政治やドロドロした人間関係に巻き込まれ、夢と現実が交錯する大惨事に発展していく。

夢に入り込むことで治療もできるし、逆に、他人の夢に恐ろしい夢を植えつけて人を廃人に追い込むこともできる。最後には、夢の中でしか存在しえないような意味不明で摩訶不思議なものが、現実の世界に出てきたりして、ハチャメチャな世界が展開される。

他人の夢に入る。他人の夢を操作する。いやはや、すごい想像力である。そして、登場人物がそれぞれとても個性的でユニーク。

読み出すと面白くて、一気に終わりまで読んでしまう。だから、寝る前に読むのは危険だ。気分転換に、フィクションの世界に没頭したい場合におススメ。

アニメ映画にもなっている。

映像化が困難な夢の世界を見事に描き出したということで、高い評価を得ている。まずは活字で読んだ後、映像をご覧になると面白いと思う。

ご参考になれば幸いです!

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