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ドラマ鑑賞備忘録「虎に翼」

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記事一覧

現実は続く「虎に翼」最終回(ドラマ鑑賞備忘録)

「虎に翼」、後半は扱う事件の大きさや、現在と地続き過ぎる課題の数々に目移り&消化不良を起こして、後半1週間ほど離脱してしまったとはいえ遡って最後まで視聴した。

振り返って、やっぱり好きな作品だと思った。
特に、既存の権力や道を切り開く前半部分の勢いが好きだった。

ただ、よねが最後まで「お気立てに難がありそう」なぶっきらぼうよねだったこと、そんな自分自身を貫きつつ、さりげなく周りをいたわれる人に

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亡くなった登場人物が語りかけてくる系ドラマ?「虎に翼」(ドラマ鑑賞備忘録)

大切な人を亡くしても、何となく心の中では存在していて折に触れ「あの人だったら何て言うかな」なんて考えている。
それはあくまで、自分の記憶との対話であったりする。

これまでも、亡くなった登場人物が見守ってくれているという設定のドラマは多かった。
そこまで意識はしていなかったけど、「そういう設定」として見ていた。

今日の「虎に翼」、また亡くなった優三さんが出てきた。
優三さんの評判が良くて最終週の

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8月後半脱落「虎に翼」(ドラマ鑑賞備忘録)

とうとう脱落してしまった。
結局は人は一人では生きていけないし、それは重々承知の上なのだけど、登場人物にはそれぞれ生きる場があることに居心地の悪さを覚え、なんとなく8月後半は遠ざかってしまった。

寅子は一度心折れ、司法の世界から遠ざかっていた。
それでも、人と関わることには絶望していなかった。
心閉ざしても、それを見守ってくれる人がいた。
手を伸ばせば握り返してくれる誰かがいつもそばにいた。

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”家”の存続「虎に翼」第103話(ドラマ鑑賞備忘録)

地方の田舎、地縁血縁が個人よりも優先される場所で生まれ育ったので百合さんのような反応をする人が多くいることはわかる。
価値観を揺るがすような選択を示されたときの狼狽したような表情。
ひとえに百合さんを演じる余貴美子さんのすばらしさなのだけど、親戚の集まりで見たことがある、親戚ネットワークの重鎮の表情、発言。

顔向けできないとかいろいろ言っているけれど、「お気持ち」で本当のところなぜだめなのか、な

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本は書き込みしたい派「虎に翼」シナリオブック(ドラマ鑑賞備忘録+)

本は書き込みしたい派「虎に翼」シナリオブック(ドラマ鑑賞備忘録+)

嬉しいお知らせ。
でも、買えない。
読み込んで、線を引いて、血肉にしたい作品なので、豪華版は恐れ多い。
そして、本を奉る余裕なし。

関係者用の台本を合本して紙質落としても良いからそういうのが欲しい。

出版業界が、大変だというのは聞くけれど、豪華版として限定にして価値をつけないと売れないのかな?

本が特定の人の贅沢品になるのが悲しい。

過去の私も含めて自分「虎に翼」第102話(ドラマ鑑賞備忘録)

女学生寅子、戦中寅子、法服寅子、判事補寅子、裁判官寅子など過去の寅子勢ぞろい。そして未来の寅子も。
同じ人でも人間は変わる。
時代や環境、経験を経て変わるし、意見だって変わる。
そういう、「人は変わる」という忘れがちなところが寅子大集合で見られたのはすごく良かった。
そして、変わらないこと、変えられないこともあることも見ることができた。一度「はて?」と思うと止まらないところ、きっとこれが寅子の原点

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轟の眼鏡「虎に翼」第101話(ドラマ鑑賞備忘録)

轟の眼鏡「虎に翼」第101話(ドラマ鑑賞備忘録)

私たちが直面している現実と法律の乖離、誰かわからない「みんな」が理想とする家族の形(と言われているもの)と現実は大きく違っている。
多様な家族の在り方、恋愛(しないというのも含め)の形、生き方など、当事者以外はつい見過ごしてしまう透明化されたものがぎっしり詰まった今週。

経済的安定と社会的信用を手に入れた寅子にとって結婚のメリットって何だろう。そして、デメリットは何だろう。
ドラマ内の出来事とし

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桂場の期待「虎に翼」第99話(ドラマ鑑賞備忘録)

誰かからの「期待」はプレッシャーでもあり希望、気力の源泉にもなるんだなぁと思った桂場の梅子への「頼んだ!」。

確かに、言っても無駄だ、付き合っても無駄だと思ったら人は口を閉じ、静かに去っていく。
ましてやあの桂場、期待があるから何度も付き合う。

桂場のプライベートは見えない。唯一、この甘味処が桂場のプライベート。
その大切な場所が、寅子と航一のプライベートで占領されるのが嫌なのかな。なんか、お

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同居はご褒美?「虎に翼」第100話(ドラマ鑑賞備忘録)

うーん…今日の回は共感しづらい…私が「はて?」の嵐だった。
同居したいと言われるということはこれまでの花江の献身があったからこそという寅子と恐ろしいほどやさしい息子と義弟だからこその同居の申し出という着地点。

花江は自分を、「結局私は誰かに面倒を見てもらわないといけない」存在という認識だけど、守ってあげたいと思わせる実績と存在というのはそれだけですごい。
いくら献身していても寅子のようにほおって

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取り残される恐怖「虎に翼」第98話(ドラマ鑑賞備忘録)

直明VS花江、結婚後同居するかしないか問題。
疎開中の孤独と一人になるかもしれないという恐怖がずっとある直明。
それもまた戦争の傷なのだろう。

ただ、お相手にも家族があるんだけど。
直明も、女性は結婚後夫の家族の一員になるという当時の価値観の中で生きているんだとしみじみした。

変化が起きる時ってそれぞれの価値観や本心があらわになる。
星一家も同様。
想いを抱えているのにそれをあからさまに出さな

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たとえば今は違う場所に立っていても「虎に翼」第97話(ドラマ鑑賞備忘録)

魔女部の今、特によねさんと梅子さんを見ていたら、Crystal Kay さんの「恋におちたら」が脳内再生される。

よねさんは弁護士の道に、梅子さんは和菓子職人の道に。
ひゃんちゃんは法律の勉強を再開。

当初の夢を叶えるもよし、別の道を見つけてそこで頑張るもよし。
それぞれが今できることを精一杯やっている。
この曲の歌詞を聴くたびに魔女部の面々が思い出され、私の中で勝手に彼女たちのテーマソングに

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あなたは良くってもね「虎に翼」第96話(ドラマ鑑賞備忘録)

切ない別れ、次を約束できる別れ、そして再会。
そうだよ、人生は出会いと別れ、再会と別れがぐるぐる回っていくもんなんだよと当たり前のことを思いながら見ていた。

確実に溝を埋めて次に進むってなかなかできないことだ。
東京からの旅立ちが苦いものだったから、相当注意深く頑張って過ごしたその努力の結果なんだろうな…(美佐江は除く)

久々の東京、みんないい感じに年を重ねて花江はなんだか不思議な髪型。
早く

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永遠の愛なんて「虎に翼」第95回(ドラマ鑑賞備忘録)

中盤以降、足がむずむずして、ずっと変な声が出てた。
ひゃぁぁぁ。
「冷静になれ、私」と思いながらずっと、ひゃぁぁぁ。

よく考えると、結構大人の恋。
ともすれば、ねっとりした感じになりそうなのに、何だこのフレッシュ感は。
性的な感じがしない。
そういう意味で、岡田さんが怖い。(激しく称賛)
「1122」(Amazon Prime)で見た捉えどころのなさとはまた違う、超エリートの捉えどころのなさ。

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赤いブレスレット同盟「虎に翼」第92話(ドラマ鑑賞備忘録)

何が気になるってあの赤いビーズのブレスレット。
ストーリーの不穏さ、美佐江の不気味さ以上に気になるあの赤いやつ。
あれは美佐江の手作り?
割と手が込んでそうなのだけど、手作りだとしたら美佐江、結構かわいいというかいじらしいな…

一人でいくつも手作業で作っている様子、想像したら胸が痛い。

「どうして人を殺しちゃいけないのか。」とか、サイコパスっぷりがあふれ出ているけれど、なんだか気の毒になってき

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