”家”の存続「虎に翼」第103話(ドラマ鑑賞備忘録)
地方の田舎、地縁血縁が個人よりも優先される場所で生まれ育ったので百合さんのような反応をする人が多くいることはわかる。
価値観を揺るがすような選択を示されたときの狼狽したような表情。
ひとえに百合さんを演じる余貴美子さんのすばらしさなのだけど、親戚の集まりで見たことがある、親戚ネットワークの重鎮の表情、発言。
顔向けできないとかいろいろ言っているけれど、「お気持ち」で本当のところなぜだめなのか、なぜ拒否感を持つのかまで言語化できない感じがとてもリアル。
血縁がなくても婚姻によって猪爪一家になった花江。
家族のような存在から婚姻によって家族になった優三。家族だけど、猪爪家の一員ではない。
居候から寿司職人として自立した道男。居候期間は短いけれど猪爪家の一員、家族のようなもの。
苗字が一緒になって家族を始めた人、苗字が違っても家族関係を築いた人、苗字が変わっても家族であり続ける人。
家族の在り方は思った以上に多様だし、外から見てもわからないことは多い。
我が家もずっと苗字の違う祖母が暮らしていたけれど、それは何の問題ではなかった。誰も聞きもしない。
おしどり夫婦だった今は亡き大叔母夫妻も、事実婚だったことは後に知った。(先方の家族から「家の格」が違うと猛反対されたらしい)
祖父や母はよく、「人には事情がある」と言って濁すことがよくあった。
答えられない問だったり、答えることから逃げる狡さだったり、誰かを傷つけまいという優しさだったりしたのだろう。
これまで表立って語られなかったことには、口を塞がれただけでなく、黙ることが生活を守るすべだったんだろう。
「虎に翼」それぞれの年代の、立場の、良いか悪いかを超えたどうしようもなく沁みついてしまったそれぞれの「常識」、それによる摩擦が描かれていて毎回「私はどう考えるか」と立ち止まってしまう。
物語に追いつけない。
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