亡くなった登場人物が語りかけてくる系ドラマ?「虎に翼」(ドラマ鑑賞備忘録)

大切な人を亡くしても、何となく心の中では存在していて折に触れ「あの人だったら何て言うかな」なんて考えている。
それはあくまで、自分の記憶との対話であったりする。

これまでも、亡くなった登場人物が見守ってくれているという設定のドラマは多かった。
そこまで意識はしていなかったけど、「そういう設定」として見ていた。

今日の「虎に翼」、また亡くなった優三さんが出てきた。
優三さんの評判が良くて最終週の視聴者へのサプライズ的な役割なのかもしれないけれど…
ストーリーとして、寅子がずっと優三さんの言葉を胸に生きてきたのだということを表したのだろうけれど…
物語に良いように召喚される感じがおなか一杯になってしまった。

亡くなった人がふんわり見守っているのはわかるけれど、最後の方にガッツリ語り合う物語は個人的には苦手。
これが出るとはまっていたドラマも急に冷めてしまう。

亡くなった人とは悲しいけれどもう新しい思い出は作れない。
だからこそ生きてる人間が記憶を頼りに心の中で対話するしかない。
自分(や物語)を正当化するための都合の良い狂言回しに使うのは違うのではないの?と思ってしまう。

「虎に翼」は、それぞれが納得できる生き方を模索する、たとえ誰にも肯定してもらえなくても自分は自身を肯定して歩くことを応援するようなドラマだと思っていた。
全員がわかり合えること、納得できることはないけれど何かしら落としどころを見つけて納得できない中でも対話を通して最善を見つけることの大切さを見てきたつもり。
ただ、物語の終盤は、ドラマで扱う問題が多岐にわたり、そしてそれぞれ答えを出すのが難しい問題(課題)ばかりで消化不良が多くなった。

少年事件にしても、愛を前面に語るのであればもっと当事者個別の事件とその関わりが見たかった。
美佐江や美雪の加害性をもっと丁寧に描いてほしかったという気持ち。
彼女らのささやきに乗って犯罪を犯した「加害者ではあるものの同時に被害者でもある」少年らに対する罪とどう向き合っていくのか、釈然としない。

毎日15分という朝ドラの枠で描き切れなかったものをサイドストーリーとして1時間枠で(おちゃらけやサプライズなしで)見てみたい。


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