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若人の私が受け取った人生を広げたエール

こんにちは。ヨガインストラクターの吉田紗弥です。
ようやく秋らしく冬がどんどん近づいている気候となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
今日もヨガのお話から入っていきたいと思います。

今から約2000年前に成立されたとされるヨガの根本経典「ヨーガスートラ」には私たちの生活をより良くしていくための賢者の教えが記されております。
その中から一説ご紹介します。

「タパスによって超自然力が得られる。」

まずこの教えの中の「タパス」という言葉ですが、これは「苦行」と訳します。
苦しい行いによって、超自然力、つまり大きな力を得ることができる、という意味です。
私たちは何か手に入れたいことがある時、人生の中でより良く生きていくとき、「より簡単に、より楽に」全てを成し遂げたいと思うのが常ですが、このヨーガスートラでは「苦しい行いを進んでやりましょう」と教えてくれています。

まず私たちの考える「苦しい」と感じる時はどういう時なのかというと、
「自分の許容範囲を超えていること」に関して「苦しい」と感じます。
このタパスという教えの実践はこの「許容範囲を広げていく」作業と言えます。

例えば、筋トレで例を挙げると、最初全く重くて持ち上がらなかったダンベルを必死に持ち上げ続けることで、そのダンベルは次第に持ち上がるようになり、最終的には軽々とダンベルを持ち上げ、体の大きな筋肉が出来上がります。

同じように私たちも「苦しい」と感じながらも、自分の許容範囲を広げ続けることで「苦しい」が「楽」になっていくのです。

ですので普段私たちは「苦しさ」はネガティブな感情であり、それをなるべく避けてしまいがちですが、実は人生の成長において必要な感情であり、大切に育て続けることで、許容範囲を超え、その自分の苦しみを楽しさや至福感に繋げていくことができる大事な感情であるのです。

私のお話になるのですが、私が大学三年生の時、次第に周りは就職活動の雰囲気が出始め、私も就職活動を始めることになりました。

大学3年生の5月〜6月くらいからみんなソワソワとし始め、会話の内容が就職活動の話になってきます。

大学生の私にとってバイトはしていたものの、本格的な就職活動は何から始めて良いのかわからず、みんなと同じように就職サイトの募集企業にエントリーしてみました。

そしてほぼ着た事がないリクルートスーツを買いに行きます。
スーツに着られているかのような不慣れな格好で鏡に映った自分を見て不安と緊張で「楽しい学生生活が終わってしまう」と寂しい気持ちになっていったのを今でも覚えています。

そして当時は大企業に入ることがなんとなく勝ち組のような雰囲気があり、
私も大手の銀行、メーカー、マスコミ、アパレルなど片っ端からエントリーしていきました。

大企業に入るにはステップが必要です。
エントリーシートの提出、SPIと言われる能力検査や適性検査、履歴書提出、面談も1度ではなく、集団面接、個人面接が二回など、たくさんのステップを経て、内定がもらえるという段階です。この段階にまず目が回りそうになります。

そして周りを見渡すと、最近まで遊び回っていた友人も髪を黒に染め直したり、
カバンの中に履歴書やSPI対策本などを入れるようになりそれを見ると、
さらに焦りが増します。

しかし、当時私が大学三年生の時、リーマンショックだったか、就職氷河期と言われる時期でそんなすぐに内定に辿りつくことが難しく、エントリーするだけで落ちるという事が当たり前にある時期でした。

とはいえ、周りの友達は早い段階で就職を勝ち取っている子もおり、
焦りと不安が増してきます。
私は当時、京都の女子大にいたのですが、噂によると、地元の銀行やUターンでの就職では地元の銀行や信用金庫、または京都の大手の会社、京セラや村田製作所などが強いと言われ、それを受けるも片っ端から落ちてくという有様。

そして当時MIXIという当時のSNSが流行っていたのですが、みんなそのMIXIで就職が決まった、などの報告が飛び交い、さらにさらに焦りが増していきます。

今まで大学生活が楽しいもので、人生最高の青春時代だ!と思っていたところから、生活は就職活動一色となり、慣れない社会の一般常識の勉強、マナー、志望動機を書く、面接に当たっての企業分析や対策などでいっぱいいっぱいになってきました。

そして私は実家が埼玉にあったため、関東での就職も考えていたため、休みの日は夜行バスで東京に面接や企業説明会に行くというスケジュール。大学三年生では授業が少ないにしろ、少ないお金と慣れない就活で疲れが溜まっていきます。

そしてある時は、ある東京の企業説明会を予約したのですが、慣れない東京の電車の乗り継ぎ、そして道に迷い、せっかく予約した企業説明会に遅刻し、参加できなかったということも・・。

そしてある時、どこかのベンチャー企業の営業職で説明会に参加することに。
その会社に着くと、小さな事務所で、若い女性が案内してくれたのですが、無愛想でやる気のなさそうな対応。

そして、まずは先輩上司の営業を一緒に回って、お話を直接聞いてきてください、と事務所の入り口で待たされることに。

そして何分か待っていたところで、若いジャージ姿の男性が事務所に入ってきて「では一緒に回りましょう」と出かけることになります。
何をするのかわからないまま外に出たらその男性は大きな段ボールとスーツケースを持って一緒に電車に乗ることになりました。

そしてその段ボールとスーツケースを持って駅の近くの商店街の果物屋さんらしきところに入って「このフルーツを店頭で売ってみませんか?」となんと飛び込み営業!
その男性はその果物やさんと何分か話した後、その段ボールとスーツケースを持ったまま店を出てきました。その男性の苦そうな顔を見た時、飛び込み営業の厳しい現場と、
「こんな会社あるんだ」と若干引いてしまったのです。

そしてその男性が「休憩しよう」とカフェに案内してくれ、
お茶を飲みながら話をしたのですが、
切なそうに「もっと仕事はたくさんあるからこの会社には入らない方がいい」
と静かに言ったのです。。

その会社には入ることはなかったのですが、そこからさらに私の不安は大きくなり私の就職活動が苦痛としか思えなくなってきたのです。
「会社に入っても大変だろうな」「今がこんなに大変なのに仕事ってもっと大変だろうな」と不安でエントリーしても落ちるの連続。
そして周りが大手企業や地元で就職を決めている姿を見て、どんどん苦しさは大きくなっていったのです。

そしてある日、また興味があったあるメーカーの企業説明会に参加した時のことです。

その会社の先輩社員のお話を聞く時間がありました。
その人は若手の男性社員で笑顔が素敵が仕事が大好き!といった雰囲気をもちいろんな自分の役割や仕事のやりがいなどを伝えてくれました。

そして最後彼は

「大変、という字は「大きく変わる」と書きます。学生の皆さん、就職活動がどんなに大変でも、それは大きく変わる時です」

と自信たっぷりに言ってくれたのです。

その言葉を聞いた時、苦しいだけだ、と思って就活をしていた私にとって、
その励ましがとても心に響くものでした。
「そうだ、大変なのは自分が今大きく変わっている時なのだ」と理解できた時、
苦しさは人生にとって必要なものなんだと思うと少し心が軽くなったのです。

それから数ヶ月、その男性の言葉をバネに就活を粘り強く続け、
4年生の秋頃、ようやく大手不動産系列のリゾートホテルの総合職の内定がもらえたのです!

このホテルに入ったことは今も私の大きな人生の土台となっています。
ホテル業界で約10年以上働くことになり、人生でなんでも話せる仲間であり、共に頑張っていくライバルができました。
今私はヨガのインストラクターとして活動していますが、その新卒の同期の友人は今でもつながりがあり、約20年もの付き合いがある大事な友人たちです。
この就職活動で得たものは人生にとって大きな宝となりました。

私たちは、人生のさまざまなステージで「苦しい」「辛い」「もうだめだ」と投げ出してしまいたい時があります。
けれども、その「苦しい感情」は決してマイナスなものではなく、わたしたちの許容範囲を広げる、成長にとって大事な感情です。

その感情を大事にしながら苦しみを乗り越えていく時、それは大きな力となり、強い精神力を育て、充実した明るい達成感と至福感に包まれた人生を築くはずです。

まるで厳しい山道をこえ、山頂で綺麗な朝日を眺める登山家のように、
私たちも自分の小さな枠を超え、人生の美しい朝日を見ることにしましょう!


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