見出し画像

30代女性の【人間関係で…35歳転職6回】をコーチングするとしたら?

😞 今回は、「上司や先輩との人間関係の悪化で転職を繰り返している」という事例です…🙂行動の選択理論でコーチング人生案内#174

 35歳の無職、独身女性です。一つの会社に長く勤められません。人間関係がうまくいかず、この年で6回も転職しました。続いても3年、直近の会社は半年で辞めました。

 退職理由は常に、上司や先輩との関係悪化です。私は大卒で、真面目な性格。仕事はほとんどミスなくこなし、視野を広く持ち、いつも周囲への配慮も忘れずに過ごしてきました。

 しかし、自分が納得できないことについては、上司であれ先輩であれ、はっきり意見を言いました。そのためか、いつしか理不尽な態度をとられたり、嫌がらせを受けたりするようになって、居づらくなるのです。周囲も助けてくれることはありませんでした。

 何度も無職を経験し、転職活動の大変さも分かっているのですが、その場のつらい状況に耐えられません。一日中何もせずに家にいて、何のために生きているのかと情けなくなります。独身で定職にも就かず、今後1人でどうやって暮らしていくのか。両親も心配していて、心苦しいです。(福岡・P子)

(読売新聞2022年9月24日)

✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者が話したい「困りごと」を受けとめ、まとめると

・上司や先輩との関係悪化で一つの会社に長く勤められなくて困っている。

・自分が納得できないことについて、上司や先輩に、はっきり意見を言うため、理不尽な態度をとられたり、嫌がらせを受けたりして、居づらくなり、同じような理由で6回も転職した。

・何度も無職を経験し、転職活動の大変さも分かっているが、その場のつらい状況に耐えられない。

・一日中何もせずに家にいて、何のために生きているのかと情けなくなる。独身で定職にも就かず、今後1人でどうやって暮らしていくのか。両親も心配していて、心苦しくて、困っている。

▶︎「困りごと」を「願いごと」に転換して、話してもらうと

・1つの会社で、上司や先輩との関係を悪化させずに、長く勤めたい。

・今後どうやって暮らしていくか、これからどうすればよいのかについて、見通しを得たい。(推測)

▶︎ 相談者の「困りごとのパターン」を考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 相手や状況に振り回されている

  • 相手をコントロールしよう(変えよう)としている

  • 「自分」に自分が振り回されている
    (注:この「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)


🚩 ①相手の困りごと、願いごとの話を受けとめたうえで、②次の質問や展開をしてみること、を考えました

・ご自身の真面目な性格から、職場では、仕事はミスなくこなし、視野を広く持ち、周囲への配慮も忘れずに過ごすものの、一方で、納得できないことについて、上司や先輩に、はっきり意見を言うため、理不尽な態度をとられたり、嫌がらせを受けたりして、居づらくなり、同じような理由で6回も転職されてきたとのことですね。

・ところで、ちょっと変わった質問ですが、もし、奇跡的に、7つめの会社が、ご自身にとって理想の職場や仕事だったとしたら、そこでは、あなたはどんな仕事をされ、また、どのような上司や先輩に恵まれていますか? また、あなたご自身、どのような態度や考え方、行動で、お仕事をされているでしょうか?

・これまでの6回の職場での経験や学びを活かして、とりあえず、「3年以上勤務する」ことを目ざすとした場合、次の職場では、どのような心がけでお仕事をされたいですか?

・また、もし、そのような職場が見つかれば、「一日中何もせずに家にいて、何のために生きているのかと情けなくなる。独身で定職にも就かず、今後1人でどうやって暮らしていくのか。両親も心配していて、心苦しくて、困っている」という、今のご心配、お困りごとは、どの程度解消されるでしょうか?

・ところで、これまでの転職理由であった「その場のつらい状況に耐えられない」というのは、「自分が納得できないことについて、上司であれ先輩であれ、はっきり意見を言わずにはおれない」という方ですか、それとも、「理不尽な態度をとられたり、嫌がらせを受けたりすること」の方でしょうか?

・これまでの6回の退職のパターンを、ご自身で整理されたとしたら、
①自分の意見を主張する、
②先輩や上司に受け入れられず、理不尽な態度や嫌がらせをされる、
③人間関係が悪化して、居づらくなり、やめる、

というパターンとなりそうですが、7回目の次の職場では、どのように振る舞えば、これまで繰り返してきたパターンを脱却できそうですか?

・「視野を広く持ち、いつも周囲への配慮も忘れずに過ごしてきた」とのことですが、これまで、あなたが上司や先輩にはっきりと意見を言われてたとき、そのように、上司や先輩のことを配慮されてきましたか? 

上司や先輩が、あなたから攻められて、困っている、という様子はなかったですか?

・あなたがご自身の意見を述べた後、上司や先輩は、それが自分たちの意見と違ったら、部下や後輩であるあなたが、どのような態度や行動をとることを期待されていたと思われますか?

・仮に、次の7回目の職場で、順調にお仕事が続き、あなたが部下や後輩を持つような立場になったとして、あなたが自信のある意見を持っているのに、部下や後輩が「納得できません。こうするべきです」と強く主張し続けたとしたら、上司や先輩としてのあなたは、その部下、後輩に対して、どのように思い、どんな対応をするでしょうか? 

これまでの上司や先輩の方も、部下や後輩であるあなたに対して、あなたが「理不尽な態度、嫌がらせ」と受け止められているような態度を、そうしたくてしていたわけではないかもしれませんね。

・これまで6回転職されたということは、見方を変えれば「6回も転職できた」ということで、あなたのまじめな性格や優秀さが認められてきたからと言うこともできると思います。「6回も転職できた」とういうことを肯定的に捉えた場合、そこからどういうプラスの学びや経験、あなたの強みなどを見つけることができますか?

・また、「最長は3年間続けることができた」ということですが、そのときは、あなたご自身がどうであったから、どんな考え方や行動をとっていたから、職場や上司先輩がどうであったから、仕事がどのようなものであったから、など、いろいろな理由があるでしょうが、どのような様々な理由から、「3年間続けることができた」のでしょうか? できた理由をできるだけたくさん挙げてみてください。

・話は変わりますが、例えば、次の職場でお仕事をしている間に、未来に向って、あなたの考え方や意見、才能を仕事に活かしたいとしたら、将来的には、フリーランスや副業をするという道もありますし、次の仕事をしながら、それらの準備もできると思います。

さらに次の職場で得られるものや、これまでの6回の職場で得られた経験や学びを、そのような将来のご自身が本当に望まれる仕事に役立てることも、できることが多くあるでしょう。

・なお、今回の機会に、ご自身に合った仕事を探すために適性検査を受けてみたり、ご自身のものの見方や考え方を、これまで以上に広げたり、柔軟にしたりするのに、認知行動療法の基本的な考え方や方法を学ばれたり、また、ご自身の効果的でない行動のくせを修正するのに、行動分析の基本を学ばれて実践されたりすることも、お役に立つと思います。


✅参考:回答者(山田昌弘さん)の言葉です💖

 職場にも文化があって、外資系によくあるフレンドリーで上下なく意見を言い合える所もあります。でも、日本では、あなたが勤めていたような上意下達的な職場が多いですね。

 私も人間関係が得意ではありません。若いうちはよく年配の先生とぶつかったものですが、文系研究者というあまり上に気を使わないで済む職業であったのが幸いしたかもと思っています。

 何度も就職できているあなたです。あなたにあった仕事を見つけるのは、それほど難しいことではないと思います。諦めることはありません。

 そのためには、一度、カウンセラーなどに相談して、少し自分の性格をみつめる機会を作り、どのような仕事が向いているかをアドバイスしてもらいましょう。

 将来を考えて、これから生活をともにする相手をみつけることも重要ですが、まずは、お仕事をみつけることが先だと思います。その過程でいい人が現れればラッキーという気持ちでいればよいのではないでしょうか。

(読売新聞2022年9月24日)

💟新聞の人生案内の回答は一種のティーチングに当たると思います。「本人から本人の答えを引き出す対話」としてのコーチングとの違いがよく分りますので、コーチングが、より社会に認知される一助になればと思います。


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

              😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たすと幸せ感が増ず基本的欲求(ニーズ)

  • 愛所属の欲求(愛したい、愛されたい、仲間でありたい、仲間がほしい。人間関係、結びつき、親密、メンバーの一員など)

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい。コントロール、達成、競争、影響力など)

  • 生存の欲求(生存に必要なことを満たしたい。安心、安全、健康、生殖など)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理 
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

・効果的な行動を選択するために、「自分が満たせていない基本的欲求(ニーズ)が何か」を、自分に問いかけましょう。

🌻 選択理論の第2の原理 
・相手(本人)の行動を変えられるのは相手(本人)だけであって、他者は助言や情報提供、リクエストができるだけ、と考えましょう。(影響は与えられるが、相手を変えることはできない。「相手が自ら変わることを決める」と考える)

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・変わろうとしない相手(変えられない状況、環境)に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・自分は自分なりに、相手は相手なりに、それぞれが「精一杯の行動」をしていると考えましょう。

・相手の外的コントロールに対する自分の抵抗や逃避も、そして、「自分」の気分や感情、生理反応、症状なども、「自分で自分を守るための精一杯の行動」なのだと捉えて、受けとめましょう。


🌻 選択理論における「人間関係」の重要性
人の長期にわたる心理的な問題(悩み、不幸感)の大部分は、その人が、現在の重要な人間関係で、満足できる関係を持てていないことに原因があります。

・人は、現時点で、一つ以上の満足できる人間関係が持てていなければ、幸せな生活を送れない。逆に、一つ以上の満足できる人間関係を持つことができれば、今よりも幸せになれる可能性があります。

🌻 外的コントロールをやめて、人間関係を近づける
・「自分の正しさを押しつけると相手は反発するか逃げる」、「相手の考えを受けとめると相手は近づいてくる」ということを理解しましょう。

・いやがる相手を変えようとしても、相手の抵抗を生み、人間関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・(本人を外側から変えようとして)相手を批判したり、強制したり、脅したり、文句を言ったりすることはやめましょう。

・相手との関係が良くなると、こちらのリクエストも聞いてくれやすくなります。

・「人間関係を育む行動」を習慣にしましょう。具体的には、傾聴する、支援する、勇気づける、信頼する、受け容れる、尊敬する、意見の違いについて交渉する、などの行動です。

・「人間関係を害する行動」をやめましょう。具体的には、強制する、批判する、責める、脅す、文句を言う、ガミガミ言う、罰を与える、ほうびで釣る、などの行動です。

🌻 相手の内的コントロールと行動、願望、欲求充足
・相手の行動や反応(抵抗、攻撃、逃避など)も、自分のと同じく、相手が本人のニーズや価値観、欲求を満たすための精一杯の行動なのだと考えましょう。

相手も、あなたとの関係で、相手の中のどのような基本的欲求(ニーズ)が満たせていないか、について考えてみましょう。

・相手の中の大切な基本的欲求(ニーズ)を考えてみて、相手がそれを満たせるように、「相手がしてほしい行動で自分がしてあげられること」があれば、積極的に協力し、支援しましょう。

・相手が相手の基本的欲求(ニーズ)を満たせるように、自分にリクエストしたい具体的な行動が何かあるか、を相手に聞いてみましょう。

 
🌻 相手との人間関係(具体的やりとり)の願望-人間関係の距離感
・自分は相手(職場、グループ)との関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(自分の立ち位置をどこにするのか)、

そして、そうであることによって、自分は相手とどのような人間関係を得たいのかを考えましょう。

・相手(職場、グループ)はあなたとの関係で、未来に向って、どのような距離感で、具体的にどのようなやりとりができる(叉はしない関係)でありたいのか(立ち対置をどこにするのか)、

そして、そうであることによって、相手(職場、グループ)は自分とどのような関係を得たいのかを考えましょう。


🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、心理的な症状、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指す)

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

・辛い思いをしている「自分」は、どうなりたい、本当はどうありたいと望んでいるのか、「自分」の心の声を聴いてみましょう。

・もし、第3者が「今の自分」の状況だったら、自分は「その第3者」の状況をどのように考え、どんなアドバイスをするかを考えてみましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

・もし、自分の願いが実現したら、今とどう違ってくるか、そのときは、今と違う何をしているかを考えてみましょう。

🌻 現在とっている行動の自己評価と、これからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。

・「願いごとを実現するために、今、自分はどんな行動をとっているか」
「今している行動を続ければ、願いごとや欲求が満たされるだろうか」
という、自分の行動や状況についての「自己評価」を口癖にしましょう。

・「もし願いが実現したときは、今と違うこんな行動をするだろう」という具体的な行動を考えてみて、先どりしてやりましょう。そして、どんな変化があるかを見てみましょう。
 

🌸<選択理論でコーチング塾のご案内>

将来に向けての、自分の社会活動のプラットフォームとして、「選択理論でコーチング塾」のサイトを立ち上げました。選択理論とコーチングについても、わかりやすく紹介しています。よかったら訪問してみてください。

「選択理論でコーチング塾」へはこちらからどうぞ


「選択理論でコーチング塾」へはこちらからどうぞ


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?