見出し画像

✅20代男性【学問にどう向き合うか】を選択理論でコーチング人生案内#154

😥 今回は「『学問』に振り回されている大学生」の事例です……🙂。

 20代の男子学生。中学3年生の時、ある本に出会い学ぶ楽しさを知りました。今、大学でやりたかった学問に励んでいます。

 学問は人を助けるという言葉を信じてきました。学問は自分のために行うもので、学問をすることが間違っているとは思いません。でも、つらい時もあります。希望の大学に入れなかったり、アルバイトを削っても資格試験で結果を出せなかったり。注ぎ込んだものへの見返りが少ないと感じます。学業がなおざりでも、幸せそうな学生もいます。

 教授には、学問は人間性を磨くもので、他人から評価されるものではないと言われました。でも、凡人の私は評価も欲しいです。

 積み上げてきたものを無駄にしたくないので勉強していますが、意欲が低いので、非効率で、非生産的のように感じています。学問への向き合い方を指南してください。(群馬・F男)

(読売新聞2022年8月15日)


✅次のようなプロセスで、相談者の答えを引き出す質問、コーチングの展開を考えてみました💦


▶︎ 相談者の「困りごと」をまとめてみると

・学問は楽しい、学問は人(ここでは「自分」のことと捉える)を助けるもの、学問は人間性を磨くもの、ということでこれまで勉強し、学びを積み上げてきたが、一方で、勉強しても、結果がうまく出せず、注ぎ込んだものの見返りが少なく、人の評価もうまく得られない。

積み上げてきたものを無駄にしたくないので、勉強しているが、意欲が低く、非効率で、非生産のように感じるなど、学問への向い方が分らず、困っている。

▶︎ 相談者の「困りごと」を「願いごと」に転換してみると

・学問へのあるべき向い方を知りたいので、指南してほしい。

・効率よく、生産的で、見返りの多い学問の仕方を知りたい。(推測)

・学問に対する意欲を取り戻したい。(推測)


▶︎ 相談者の困りごとのパターンを考えてみると

  • 願いごとが叶わない、願いごとが不明確

  • 「自分」に自分が振り回されている
    (注:この場合の「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分など指します)


🚩 以上をふまえて、次の質問や展開を考えました

・学ぶ楽しさを知り、一生懸命に学問に努力をしてきたのに、なかなか期待する結果が出せず、勉強を続けながらも、このまま続けるべきなのかと迷われている、ということのようですが、あなたと同じような経験をする若い人は多いですし、あなたと同じような気持ちになる人、悩まれている人も多いと思います。

・学ぶことに真剣に向き合おうとされ、精一杯の努力を続けられてきていらっしゃるからの困りごとなのかなと思います。


・もし、あなたの友人で、あなたと同じように、真剣に精一杯勉強しながらも、思うような成果が出せず、悩んでいる人がいたら、どのように優しいことばをかけてあげ、勇気づけてあげますか?

また、あなたに対して、同じような悩みを打ち明けられたとしたら、その友人にどのようなアドバイスをしてあげますか?

・ところで、「あなたがこれまで積み上げてきたもの」は、決して無駄になっているということではなく、「自分という畑を耕す営み」として、あなたの内なる資源や力として、経験や知識、知恵、情報などとして、確実に積み上がっていますよ。

・また、あなたが考え続けてこられた「学問をするべき意味」、「学問をしてきたうえで経験されてきたさまざまなこと」もまた、あなたにとっては、貴重な情報であり、経験であり、学びだと思います。

・ただ、今のあなたは、まだまだお若く、「学問」に自分が振り回されている、というように見えます。それはそれで、仕方がないことですし、今の時期に大切な経験であるとも思います。

「学問」という言葉は、とても大きな言葉(ビッグワード)ですので、あなたの中では、もっと具体的に、どんな学問なのかとか、「楽しむ学問」、「仕事や資格を得るためにしなければならない学問」、「一生、研究を続けていきたい学問」「一生の趣味としての学問」、そして、それらが具体的にどんな内容の学問なのか、ということが、みんなごっちゃになっているようにと思います。

「学問というビッグワード」に振り回されている感じですね。

・若い人にとっては、自立、特に経済的に自立をするために必要な学問であれば、今集中的にしなければならないかもしれませんし、趣味としての学問であれば、長い人生で楽しめ、すぐに見返りを求める必要もありません。

これまで積み上げきたもの、これから積み上げていくものは、みんな、あなたにとっては「自己投資」として、これからの人生の至る所で、役に立ってくることでしょう。それを楽しみにされたら良いと思います。

自分にとって楽しい学問は、学ぶ過程(プロセス)自体が面白く、見返りや、生産性、非効率性は気にならないものです。

逆に、非生産的、非効率であるにもかかわらず、学びたいと思い、学び続ける学問が、あなたにとっては、自分の生涯にわたって楽しめる「一生ものの学問」といえるのではないでしょうか?

若い人には、なかなか分らないかもしれませんし、やってられないのかもしれませんが、学問や勉強を、もっと長い時間軸、人生の軸で考えてみることも大事だと思います。

・また、「面白いと思った学問」が、学ぶうちにそうでなくなったり、興味が無かったものが、あるときから面白くなってきたり、ということで、自分の興味の対象も、時間が経つあいだに、変わっていくことも、日常茶飯事のように、当然あると思います。

・今のあなたは、「したい学問」ではなく、「しなければならない学問」をされている感じではないですか? 「やりたかった学問」が、「やりたかったはずの学問」に変わってきたとか?

・「これまで積み上げてきたもの」は「これまで積み上げてきたもの」であり、それはそれとして、もし、何の制約もなく何でもしていいよと、いうことであれば、今のあなたにとって、「本当に学びたいもの」、それを学べば、意欲も湧き、効率性も、生産性も自然に高くなりそうなものは、何なのでしょうね。

また、それを学べば、効率性、生産性を気にせずに、意欲を持ってできそうなもの、学問そのものを楽しむために、勉強してみたいものは何なのでしょうね。


・「高尚な学問」だけでなく、極端に言えば、「してみたいこと」は、どんなつまらなそうな、個人の趣味的なことでも、それぞれ歴史的背景があり、優れた人がいて、優れた成果や製作品があり、優れた方法があり、楽しさ、奥の深さがあり、同好の仲間がいますので、「あなたにとっての学問」の対象になると、柔軟に考えてよいのではないでしょうか。

・一方、経済的自立のために必要な、生きていくために必要な、おもしろくないけれどしなければならない「仕事としての学問」であれば、「効率的に学ぶ方法」、「仕事の生産性を上げる方法」、「仕事に対する意欲を高める方法」などの、「方法」を学んだほうがいいのかもしれませんね。


その意味で、あなたは、「勉強の内容」と「勉強するための方法」をごっちゃにしているところがあるかもしれませんね。

・「学問」と「勉強」の違い、「学問や勉強の内容」と「学問や勉強を意欲的、生産的にする方法」、「今すべき学問」と「長く続けたい学問」など、区別して、それぞれを具体的に分けて考えることが大事だと思います。



・ところで、話を少し変わりますが、今のあなたは、人生の「どんなステージ」にいらっしゃるのでしょうか? そして、「次のステージ」はどんなステージなのでしょうか?


・また、「次のステージ」に進むために、あなたの今のステージで、重要なこと、優先すべきことは何だと思われますか?

・今のあなたにとっての、以上のようなことを具体的に明確にしてみることも、「急がば回れ」ということで、役に立つかもしれません。


・今回、以上のようなことを考えてみられて、どんなことに気づかれましたか?

できるだけたくさん、気づかれたこと、新たな疑問に、質問を話してみてください。


(今回は以上です。)


✅参考:回答者(いしいしんじさん)の言葉です💖

 学問は人を助ける、とあなたが書く、この場合の「人」は、文面からみて、あなた自身を指している。人間性を磨くとか、自分のために行うとか。

 ほんとうにそうか。学問は、自分でなく、どこかにいる誰かのため、とりくむものではないだろうか。

 発見した興奮、成功の喜びは当事者のものだ。ただその発見が、学舎の外へ波及し、見知らぬ誰かを動かすのでなくては、学問にどんな意味があるだろう。

 なにかを得る、ためでない。与えるため、自然と自分からあふれだす日のため、読み、書き、考え、みずからの内に積み重ねていく。

 非効率かもしれない。成果や結果は、多くの場合、おそらく自分では見られない。けれど、あふれんばかりの学問は、いつかどこかであなたと誰かをつなぐ。

 中3のあなたが出会った「ある本」も、あふれんばかりのその、書き手のこころが書かせた。あなたが学問に打ちこんでいることを、書き手はたぶん知らない。でもきっと満足だ。そんな本だったから、あなたはいまこうして励んでいる。

 科学電話相談の回答者のように。社会見学ガイドの技術者のように。学問を志すなら、いつか、そんな、あふれんばかりのこころの持ち主になっていてほしい。

(読売新聞2022年8月15日)


✅ 以下、選択理論コーチングの補足です。

                😋 筆者独自の見解や表現も入っています.

1,相談者が満たせると幸せ感が増えそうな基本的欲求

  • 力・自己価値の欲求(自分が価値ある存在でありたい、認められたい、自分を認めたい)

  • 自由の欲求(自由でありたい、自由にしたい)

  • 楽しみの欲求(楽しみたい、学びたい、追求したい)


2,選択理論コーチングの基本的な三角モデル


3,今回使った「選択理論の考え方のエッセンス」

🌻 選択理論の第1の原理
・自分の考え方や見方、行動は、自分が自由に選択できるし、変えられる、と考えましょう。
 
・自分には、未来に向って自分が幸せになるために行動する責任がある、と考えましょう。

🌻 「外的コントロールの心理」から「内的コントロールの考え方」に転換
・「学問」に、自分が振り回されていることに気づきましょう。

・同じするなら、いやいやでなく進んでする方が自分のコントロール感も高く自由度も広がると考えましょう。
 
 
🌻 自分の「現状の知覚と願望」
・自分は今、人生やキャリアのどのようなステージにいて(入って)、未来(次のステージ)に向って何を望んでいるかを具体的に考えてみましょう。

🌻 自分の「自分」との関係
・もう一人の「自分」も、「自分なりに精一杯がんばっているんだ」と考えましょう。そして、もう一人の「自分」の心の声を聴き、応援者として励まし、勇気づけてあげましょう。
(注:ここでいう「自分」は、自分の気分や感情、喪失感、記憶、思い込み、もう一人のダメな自分、完璧主義の自分などを指すものとします)

・いやがるもう一人の「自分」を無理に変えようとしても、「自分」の抵抗を生み、自分の「自分」との関係が遠ざかるだけ、と考えましょう。

🌻 自分の欲求充足
・自分が満たせていない、自分にとって大切なニーズや価値観、欲求が何か、を考えましょう。

🌻 現在とっている行動とこれからの行動プラン
・自分が願っていることのために、今どんな行動をしているか、それをしていて実現できそうか、どんな新しい行動ができるかを考えてみましょう。
 


🌻<ご案内>

これから将来に向けての、自分の社会活動のプラットフォームとして、「選択理論でコーチング塾」のサイトの作成を進めています。サイトでは、選択理論とコーチングについて、わかりやすく紹介しています。よかったら訪問してください。

「選択理論でコーチング塾」へはこちらからどうぞ


「選択理論でコーチング塾」へはこちらからどうぞ




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?