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トワイライト・イン・パリ ~ぼくと画伯の憂鬱な夕暮れ~
パリの街を、青い夜が覆いはじめた。ガス灯が灯り、灰色の石畳に黄色の光をおとす。岸辺に打ち寄せるセーヌ川の水音も静かな夜を歓迎しているようだ。
長期休暇でパリに来て数日。ぼくは、たそがれどきのパリが一番気に入っていた。
川のほとりのカフェ、テラス席。
雨上がりの空気を吸い込んで、一人、旅の夕暮れを満喫していた。
カーン、カーンと、どこかで鐘の音がする。
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ふと、隣に、髭面の男が
僕の付喪神が朝まで寝かせてくれない件について。
付喪神(つくもがみ)、というのだろうか。もしくは茶碗の精か。いずれにしても、茶碗をこすったら出てきたのだから、それに付随する何かだろう。
ドライアイスを炊いたような白い煙とともに登場した男は、着流した黒い着物の裾を両手でパッと払い、長い髪をかき上げてこう言った。
「そなたの願いを叶えて進ぜよう」
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僕の名前は田代健太。入社して4年目の26歳。新聞社の販売部に所属し、地方の新
前略、俺のコミュ力をもってしても落ちないヤツがいるんだが。
二宮翔哉、24歳。
仙台出身。大学も仙台。地元で1、2を争う優良企業に入社して、営業部に所属している。
学生時代、大学祭実行員のリーダーをしていたこともあり、顔が広い。一番町を北から南に歩けば、必ず何人かに呼び止められる。営業成績も悪くない。飛び込みもできる。特に女性クライアントには、圧倒的に可愛がられる。長く付き合っていた彼女とは、先日別れたばかり。今は、合コンで新しい出会いを物色中だ。
技術局ですが、 異世界で勇者始めましたっ!
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おれ、実は有名になりたいんですよ。
今日取材に来たライターさんに、そんな話をしたからか。酔ってソファーで寝たはずが、目を覚ましたら、
おれは勇者になっていた。
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佐藤潤一、33歳。理系一直線。ソフトウェア開発の仕事を4年したあと転職して、今は新聞社で印刷や社内システムの開発をしている。
弱い言葉は「困ったなぁ」。
社内のどこかで「困ったなぁ」が響くと