僕の付喪神が朝まで寝かせてくれない件について。
付喪神(つくもがみ)、というのだろうか。もしくは茶碗の精か。いずれにしても、茶碗をこすったら出てきたのだから、それに付随する何かだろう。
ドライアイスを炊いたような白い煙とともに登場した男は、着流した黒い着物の裾を両手でパッと払い、長い髪をかき上げてこう言った。
「そなたの願いを叶えて進ぜよう」
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僕の名前は田代健太。入社して4年目の26歳。新聞社の販売部に所属し、地方の新聞販売店を回り、困りごとを聞いたりする仕事をしている。一人で電車を乗り継ぎ、地方