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連載推理小説『甘いタリウムは必然の香』(完結)

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体力だけが自慢の有田未明が、特異体質の名探偵ホームズこと結城巣逗に振り回されながら、謎を解いていく痛快ミステリー。  有田とホームズの恋の行方を匂わせつつ、事件を通して仲間が増え…
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#推理小説

甘いタリウムは必然の香(37)了

  エピローグ  梅のつぼみが膨らみかけ、色づいた枝から香りが漂う二月下旬の日曜日。 今…

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4年前

甘いタリウムは必然の香(36)

 第八章 必然的な結末   4.タックル  勢いよく立ち上がる山科の様子に危険を感じた有…

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4年前
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甘いタリウムは必然の香(35)

 第八章 必然的な結末   3.心理操作の真骨頂 「それと……私のコーヒーにタリウムが混…

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甘いタリウムは必然の香(34)

 第八章 必然的な結末   2.埠頭の嘘 「次に、真鍋さん殺害の件ですが……」  ホーム…

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甘いタリウムは必然の香(33)

 第八章 必然的な結末   1.殺人の証拠 「どういう意味ですかな」  しばらくの沈黙を…

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甘いタリウムは必然の香(32)

 第七章 十六年前の真相    4.真犯人の宣告  しばらくの沈黙の後、 「何を馬鹿なこ…

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甘いタリウムは必然の香(31)

 第七章 十六年前の真相    3.黒幕は誰 「そんな……」  またも美里が泣き崩れたとき、 「許せない……」  と、拳を握りしめて泣いている麻紀を見て有田は不思議に思った。 「ミサトさんは、ご両親の命日を知ってる?」  ホームズの質問に美里はかぶりを振った。 「いいえ……聞いても誰も教えてくれなかったんです。でも秋から冬にかけての季節なんじゃないかと薄々は感じていました。それで、私の誕生日と近いか同じくらいだから、周りが気を使って教えてくれないのだろうと考えるようにな

甘いタリウムは必然の香(30)

 第七章 十六年前の真相    2.時効  ――十六年前、警視庁から警察庁に出向していた…

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甘いタリウムは必然の香(29)

 第七章 十六年前の真相    1.四日前の続きから  最近の秋は短くなったように有田は…

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甘いタリウムは必然の香(28)

 第六章 ホームズのいない日々   4.帰ってくるホームズ  ホームズはお昼のバスで帰る…

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甘いタリウムは必然の香(27)

 第六章 ホームズのいない日々   3.美里の過去  この日は、美里の知り合いが訪ねてき…

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甘いタリウムは必然の香(26)

 第六章 ホームズのいない日々   2.北アルプス  長旅の疲れを振り払うようにホームズ…

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甘いタリウムは必然の香(25)

 第六章 ホームズのいない日々   1.面会謝絶  ホームズが倒れた翌日、有田は朝一番で…

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甘いタリウムは必然の香(24)

 第五章 ホームズ倒れる   4.有田の推理  救急車でホームズが運ばれたすぐ後に、連絡しておいた鑑識班が到着し、詳しい現場検証が始まった。  鑑識の結果、ホームズのコーヒーには多量のタリウムが混入されていた。タリウムが検出されたのはホームズのコーヒーカップからだけで、他のコーヒーやオレンジジュースからは検出されなかった。  もちろん、厨房やサイフォンの周辺からも痕跡は見つからなかった。 「タリウムに即効性はないはずなんだが……」  鑑識課員が首を捻っている。 「金属