はじめての雪【掌編小説】
雪が降る。まわりの風景が白く変わる。ふと、自分はどこにいるのだろうかと思う。ここで窓の外を見ているのは、本当に自分なのか。ここは過去の世界ではないのか。
子供時代。
初めての雪にはしゃいだ自分。
「ねえ、あれは何?」
「雪だよ」
ドアを開けながら答える父。
「ゆき?」
「空から降ってくるんだ」
「わあ……」
雪やこんこ、と歌いながら庭を回る自分。それを見守る父の姿。母は台所で食事の支度をしており、隣では兄弟がテレビに夢中だ。
ただ平和だった。
雪は、やさしい記憶を思い出させてくれる。
あれからしばらくして両親は離婚をし、家族はバラバラになった……
「ごはんよ」と妻の声。子供の見てるテレビの音。「外…雪?」
両親と同じ年齢になった私は、なにを選ぶのだろう。
雪が降る。
こちらはTwitterの 140字小説( https://twitter.com/asakawamio/status/1338975404233658368?s=19 ) を、伸ばしてnote用にupしたものです。
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