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「稚拙で猥雑な本能寺の変」7

○シーン7 安土城内・祈りの間

フロイスがデウスに祈っている。
そこに現れる秀吉、久作、八方斎。

秀吉  「フロイス」
フロイス「秀吉様!」
秀吉  「しっ!」
フロイス「どうしてここに?毛利征伐に向かったのでは?」
久作  「あちらには影武者を立てた」
フロイス「でも信長様の命令なのでは?」
秀吉  「御屋形様は神になると仰せらしいな」
フロイス「はい。しかし神を名乗ることはデウスを冒涜することです」
秀吉  「冒涜。じゃあそれを許したらお前も神を冒涜することになるな」
フロイス「そうかも知れません」
秀吉  「それでいいのか?」
フロイス「良くはありません。しかし手立てが見つからず」
秀吉  「俺にいい案がある」
フロイス「は?」
秀吉  「要するに御屋形様が神にならなければいいんだろ?」
フロイス「はあ」
秀吉  「御屋形様には6月に死んでもらおう」
フロイス「!どういうことでしょう?」
八方斎 「天照大神の予言の書があるそうだな」
フロイス「はい」
八方斎 「そこには明智光秀が御屋形様に謀反を起こすと書いてあるとか」
フロイス「はい。しかし光秀様はそんなことはあり得ないと」
秀吉  「起こしていただこうではないか」
フロイス「起こしていただく?」
秀吉  「光秀に本能寺の変とやらをやってもらうのだ。預言通りにな」
フロイス「しかし」
秀吉  「だから、俺がお膳立てをしてやるんだよ」
フロイス「・・・」
秀吉  「いい話だろ?お前も救われるのだ。信長が死んだら、俺が先頭に立ってキリスト教を広めてやる」
フロイス「・・・」
秀吉  「イエズス会とも仲良くやっていくぞ。俺はキリスト教が大好きだからな」
フロイス「分りました。私は何をすれば?」
秀吉  「お前にしかできない仕事をしてもらいたい」
フロイス「・・・なるほど」
秀吉  「天照大神の預言。当たって貰わなくてはな」

暗転。

<8>に続く

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