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株式投資は金融資産だけでなく、社会の仕組みを理解するための知識も増やす

最近、知人から株式投資に関する質問を多く受けるようになりました。政府が期間限定だったNISAを恒常化することにより、多くの人が老後資金は国頼りにせず、自ら運用して確保しようと意識し始めているのでしょう。

私は30代前半から米系企業に勤め、外人社員と資産運用についてよく情報交換しあいながら、長年米国株に投資していました。長期保有と分散投資を信条に、ETFや複数の個別株を少しずつ買っています。

20年以上米国株に長期投資をしていて良かったことは、日本経済が停滞していても、自分の資産は米国経済の成長にあわせて着実に増えたことですが、実はもっと重要なベネフィットがあります。

継続的に株式投資をすることにより、自然に株価に影響する世界経済、社会問題、政治に関心を持つようになることです。それらの知識を深めようとすると、株価の動きを予想しやすくなるのと同時に、社会の仕組みもより深く理解できるようになります

今日は自身の経験から、株式投資がもたらすベネフィットについて、以下の2つの視点からお話しします。

目次
1.「金融」資産を増やす
2.「知識」資産を増やす
3. まとめ

1.「金融」資産を増やす

ほとんどの人にとって、株式投資の目的は、将来有望な企業の株を購入し、企業の成長とともに株価が上がり、自分の資産が増えるということだと思います。特によく言われるのが、銀行への預金との比較です。銀行に1万円を預金しても1年で数十円しか利息がつかないのに対して、年率10%成長する企業に投資すれば、10万円の資産増が期待できます。

コロナ後のアメリカのようにインフレ率の高い国の企業は、株主からそれを上回る企業成長を求められます。インフレ率が約7%で、企業の利益の伸びが7%では、インフレ率考慮後の実質の成長率は差し引き0%で、アメリカの株主は納得しません。8%でも実質1%の成長なので、アメリカの預金金利よりも低ければ株主は納得しないでしょう。そういった意味では、7%のインフレ率に対して、企業は10%以上の成長を目指でしょう。

仮に100万円をある米国企業に投資し、その企業が10%の利益成長を達成し、その分を配当として株主に還元したとします。100万円の投資に対して、10万円の配当です。配当から日本の税金を引いても約8万円残ります。この8万円で欲しいものを買っても良いし、また株に再投資しても良いでしょう。よって、インフレ率が高く、まだ今後もそれ以上の成長が期待できるアメリカの企業は、日本人にとって、魅力的な資産運用先と言えるでしょう。

注意すべき点は、企業も人間と一緒で、短期的には良い時もあれば悪い時もあります。また、企業によって、成長率も異なりますし、中には倒産するところもあるでしょう。よって、長期的に、かつ分散して投資することによって、リスクを軽減しながら、資産をすこしずつ増やすことが期待できます。

以上が「金融」資産からみた、米国株式投資の利点です。


2.「知識」資産を増やす

会社員生活を通じて、株式投資をしていて良かったと思うのは、金融資産を増やせたことよりも、自然に世界経済に関心を持てたことと思います。毎日のように、アメリカや日本の金利、為替、雇用情勢、資源価格など、株価に影響のありそうなニュースを新聞、テレビ、ツイッター、追いかけています。この過程で得た世界の情報が、仕事で外人の上司や同僚との会話で役に立ったり、原材料の調達コストの削減に寄与したこともあります。

また、株を通じてアメリカと日本の経済や社会の仕組みの違いも徐々に理解していったと思います。例えば、日本が今抱えている社会問題の多くは、資本主義が機能していないことによることが原因と感じました。「働かないおじさん」「若者の低賃金」の問題は、実績に対して妥当な報酬を支払う、資本主義が機能しているアメリカでは起こらないでしょう。

結果を出さなくても、株価が低迷したままでも、日本企業の経営陣が退任せずに済んでしまうのも、資本主義経済が十分に機能していないからと思います。

米国株式投資を通じて、資本主義が仕組みとして社会で機能すると、比較的フェアな世の中になりやすいのかなと考えるようになりました。

それにより、例えば自分のチームに有能な部下の人がいる場合、資本主義の原則に則り、きちんと昇進させ、妥当な報酬を払わないと、転職されてしまうリスクを考えます。また、自分が結果を出せない時は降格や解雇になるリスクも敏感に感じ取れるようになりました。

よって、米国株式投資によるベネフィットは、経済のメカニズムを理解しようとする好奇心や知識欲と思います。それにより、株価や経済だけでなく社会の仕組みの理解がより深まり、自分の仕事や生活にもポジティブに作用すると思います。


3.まとめ

以上になります。米国株式投資は金融資産だけでなく、好奇心や探究心をもたらし「知識」という資産も増やしてくれます。どちらの資産もあせらず、長期的な視点で、広い視野で運用していくと、増えていくと思います。10年、20年後には、金融資産も知識も累積して、大きく育っていることでしょう。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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