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転職の面接で気になっていることへの、企業の採用者からの回答

転職の面接の後に、ふと冷静になり、「あの件、こう言えばよかった」「ああ言えばよかった」と頭の中でぐるぐるうごめくこと、ありますよね。

自分は米系の大手外資系消費財メーカーに20年以上つとめ、財務部門責任者として多くの方と面接をし採用をしてきました。また、転職希望者の方からも、面接に関するご相談をいただきました。

そこで、今日は一般的な面接の質問について、回答したいと思います。大手外資系メーカーの一つの例としてご参考になればと思います。

質問

  1. 転職回数が多いのはダメか?

  2. 外資系企業の場合、英語力はどの程度必要か?

  3. 外資では学歴や留学経験はどの程度重要か?

  4. 事前に転職エージェントから部長面接と聞いていたが、課長が出てきたが、自分は有望な候補者では無いということか?

  5. 面接で説明がうまくできなかったり、あまりは喋らなかったけど大丈夫か?

  6. 最終面接後の合否の連絡がなかなか来ないのですが、何が起きているのでしょうか?

  7. 最終面接後、ディナーに誘われました。内定通知はまだ受け取ってませんが、内定と理解して良いでしょうか?


質問1
転職回数が多いのはダメか?

回答
企業によって異なりますが、私の勤めていた大手外資の財務部門では、30代の方の採用の場合、転職回数は2回、3社までがひとつの目安でした。たまに3回4社を経験した人もいますが稀です。ひとつの会社で4-5年以上働き、社内で昇進や異動も経験しある程度の実績を残しているのが理想です。

理由は、採用するからには、長期的な視点でその方を育て成長してもらい、会社に継続的に価値を提供してもらいたいからです。そのため、候補者の方にも長く勤めた実績を求めました。書類選考の段階で、ジョブホッパーは避けるべく、過去の転職歴と転職理由は入念にチェックしました。

ただ、このあたりは、スタートアップ企業やITなど新しい分野や業界の企業はまた異なった回答になるでしょう。

質問2
外資系企業の場合、英語力はどの程度必要か?

回答
外資の場合、上司や部下が日本人でない場合があるため、ある程度の英語力は求められます。正確には、30代前半までであれば、今は英語力が読み書きレベルで会話力が高くなくても、今後向上させる意欲とポテンシャルを面接で見せる必要があります。理由は、どんなに実務のスキルが高くても、外国人の上司や経営陣に説明ができないと、キャリアアップの道が大幅に限られてしまうからです。そのため、面接では、英語の勉強を意識して継続的に行なっていることをアピールすると良いでしょう。

質問3
外資系では、学歴や留学経験はどの程度重要でしょうか?

回答
学歴については、外資系ということもあり、海外大学や大学院への留学を経験している方が「英語力」という側面では有利でした。ただ日本の大学出身者で留学経験がなくても、地頭がよく過去の実務実績が高いことが評価され、英語力のポテンシャルを見せられれば、問題ないでしょう。

質問4
事前に転職エージェントから部長面接と聞いていたが、課長が出てきたが、自分は有望な候補者では無いということか?

回答
これはよく心配される方がいますが、企業側の事情で、よく起こり得る事象です。面接官のポジションが高ければ高いほど、社内で緊急な会議に呼び出されることや、意思決定のための経営会議が紛糾し長引くことが多いため、急遽、代わりに都合のつく部下が面接することがあります。

企業によっては、オンライン会議の場合、面接官が当日になって、候補者に面接の延期をお願いする場合もあります。これらは、候補者の問題ではないため、特に気にされる必要はないでしょう。

質問5
面接で説明がうまくできなかったり、あまりは喋らなかったけど大丈夫か?

回答
外資系企業では、多人種の環境で働くことになり、以心伝心は通じないため、自身の意見をはっきりと言語化して伝えられるコミュニケーション能力が求められます。そのため、面接では積極的にご自身の強みや経験について、明確に説明できるかを試されていると考えてください。

私が経験した候補者の中に面白い人がいました。「現在の職場での役割を教えてください」と質問したところ、突然紙を出して、組織図を書き始め、「自分はここの担当」と回答した人がいました。この辺りは評価が別れるところではありますが、面接官は候補者が「いかに複雑なことを本質に焦点を絞ってシンプルに口だけで説明できるか」をテストしているので、紙やペンの助けを借りるのは避けた方が安全でしょう。

また、おとなしい候補者の方もいますが、面接官はあなたの良さを見出そうと頑張る人ばかりでは無いので、積極的に話さないと、数分で面接を打ち切られてしまうリスクがあります。

なお、逆に喋りすぎる候補者にも遭遇したことがあります。おおまかに2種類のタイプがあります。一つは回りくどい感じで単刀直入に質問に対する回答をしない人です。別のタイプは、喋り好きで質問で聞かれた以上の回答をしてしまうタイプです。この二つのタイプは「話が長い、採用したら面倒な候補者」として評価されてしまう可能性があるので、気をつけた方が良いでしょう。

質問6
最終面接後の合否の連絡がなかなか来ないのですが、何が起きているのでしょうか?

回答
通常、採用したい候補者にはなるべく早く内定を伝えます。理由は優秀な候補者はどの企業からも良い条件で内定を得るため、少しでも早く対応して他の企業に取られないようにするためです。よって、最終面接後、何週間も経過している場合は、私の経験上、あまり良いサインではありません。

おそらく企業側で「もっと良い人がいるかも」と他の候補者と面接を続けている可能性が高いです。

なお、脈ありにも関わらず、内定通知が出るまでに時間がかかることもあります。例えば、外資の場合、業績悪化により、急遽採用が全世界で凍結されることがあります。このようなケースでは、採用責任者は経営陣に既に最終面接を終えているなど状況を説明し、例外的に承認を得た上で内定を候補者に通知することが可能になります。このプロセスに数日かかる場合があります。また最悪の場合、内定が保留されてしまう場合もあります。よって、感触が良かったのに、2週間以上音沙汰がない場合には、企業に状況を確認してみると良いでしょう。

質問7
最終面接後、ディナーに誘われました。内定通知はまだ受け取ってませんが、内定と理解して良いでしょうか?

回答
これはボーダーラインにいるとご理解されると良いでしょう。ただの顔見せのお食事会ではありません。企業は学歴、職歴、面接を通じて、候補者の実務経験や知識は評価できても、「人となり」は判断がつかないことがあります

例えば、頭の回転も早そうだし、礼儀正しい感じの候補者だけれど、ふとした時に見せる仕草などから、モヤっとすることがあります。果たして、既存の社員の人たちとうまくやっていけそうか?が気になります。

このような場合に、最終確認の場として、部署のメンバーとの食事会に候補者を招待することがあります。多少お酒も入り、時間の経過とともに、疲れや気の緩みから人となりが見えてきます。私の経験上、疲れていても他人に気を配る人もいれば、ディナー終盤に少しだらけ横柄になったり、つまらなそうな顔を見せる人もいます。

よって、内定通知をもらう前のディナーは、気を抜かずに謙虚な態度で挑むと良いでしょう。また、同時にあなたにとっても、一緒に働く人たちや社風を理解する良い機会でもありますので、「試されている」とネガティブに考えずに、自分も「転職に値する会社か評価している」とぜひ前向きに捉えてください。

以上が面接に関する質問に対する回答になります。大手外資における採用の考え方とご理解いただき、少しでもご参考になれば、幸いです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ありがとうございます😄