Satoshi NAGATO(長門 智史)

バスケットボールのコーチング、練習方法、日々の取り組みの中で感じたことについて書いてい…

Satoshi NAGATO(長門 智史)

バスケットボールのコーチング、練習方法、日々の取り組みの中で感じたことについて書いていきたいと思います。

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自己紹介と内容について

長門智史(ながとさとし)といいます。 バスケットボールのコーチをしています。これまでの活動の中で自分が取り組んできたことを一度まとめてみようと考えました。ここは、それらを少しずつ置いていく場所にしたいと思っています。 バスケットボールを指導し始めてから20年経ちます。これまでに出会ったたくさんの方々からたくさん学ばせてもらいました。そして、自分なりにたくさん考えてきました。バスケットボールには様々なスタイルがあるので、何を効果的と捉えるかはコーチそれぞれの価値観によるところ

    • 3対2の練習ドリルの行い方

      前回の投稿で書いたように、3対2の練習ドリルも好んでよく用います。その大きな理由の一つは、バスケットボールのゲーム中に起こりうる様々な場面を切り取って状況設定をしやすいからです。 詳しい状況設定については今後の投稿で書いていくとして、まずは3対2練習ドリルのオーソドックスな行い方をまとめておきます。 3対2ドリルの始め方 ドリルを行うオフェンス3人とディフェンス2人は、ともにベースラインから同時にスタートします。パスをしたらレシーバーの後ろへ回り込み、サイドライン方向へ膨

      • 3対2の練習ドリルも好き

         バスケットボールのコーチングにおいて、3対2の練習ドリルも好んでよく用います。2対1の練習ドリルと同様に、プレイヤーに最も取り組ませたい練習の一つです。 3対2の練習ドリルが好きな理由 1.練習効果が高い 2.練習方法がシンプル 3.パッシングゲームへの発展性 4.多様な状況を設定できる 2対1の練習ドリルであげた以上4点については、3対2の練習ドリルにおいても同様です。オフェンスプレーヤーが3人になることで、次のパスの展開がリターンパスになるのか、3人目のプレーヤー

        • 宮城リョータをコーチする

          湘北高校の宮城にアドバイスするならば、『まず、2対2をやれ!』です。小柄でスピードがありながらもアウトサイドシュートが苦手な宮城に対して、相手ディフェンスは間合いをあけて守ったり、間合いをつめてプレッシャーをかけてきたりします。こうなるとせっかくの宮城のスピードとパスがいかされないので、まずはチームメイトとの2対2のプレーでオフェンスを始めることで持ち味が発揮されると思います。 1. 赤木剛憲との2対2 赤木と宮城のピックからオフェンスをエントリーすることで、宮城のドリブ

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        • 湘北高校をコーチする
          6本
        • Basketball Diary
          11本
        • 2on1 for Zone Offense
          4本
        • 2on1 for Fast Break
          7本

        記事

          三井寿をコーチする

          湘北高校の三井にアドバイスするならば、『コーナーへあわせろ!』です。生粋のシューターである三井の3ポイントをいかすための様々なスクリーンプレーや新たなセットオフェンスは今後に準備していくとして、現時点のフリーランスオフェンスでより三井のシュートチャンスをつくっていくためには、やはりコーナーへあわせることがとても大切です。このプレーは非常にシンプルかつ万能なので、チームメイトとの連携も取りやすいはずです。三井にパスがまわらないように相手ディフェンスがコーナーまでフェイスガードで

          三井寿をコーチする

          流川楓をコーチする

          湘北高校の流川にアドバイスするならば、『ハイポストにフラッシュしろ!』です。3ポイントからダンクまでこなす流川のオフェンスは一見多彩に見えますが、その多くはウィングでボールを持った状態からのドリブル1対1であり、ある意味ワンパターンだといえます。相手チームが流川へ対策するならば、まずはウィングでディナイをすることや、流川がボールを持ったらヘルプディフェンスを準備してチームで守ることを徹底してくるはずです。そこで流川が、オフボールの時に相手ディフェンスを出し抜き、スペースのある

          流川楓をコーチする

          桜木花道をコーチする

          湘北高校の桜木にアドバイスするならば、『サークルムーブであわせろ!』です。ボールを持った状態で1対1を打開できない桜木に対し、マッチアップしているディフェンスは桜木以外のプレーヤーにヘルプディフェンスをしようとする傾向が強くなります。その際にはさらに桜木がノーマークになりやすいので、できるだけゴール近辺でパスがもらえるよう、キャッチと同時にすかさずシュートができるようにあわせて動くことが大切です。味方のドリブルでの動きにあわせて円を描くように動くこと(サークルムーブ)で、ディ

          桜木花道をコーチする

          赤木剛憲をコーチする

          湘北高校の赤木にアドバイスするならば、『まず、スクリーンにいけ!』です。インターハイ中にはシューターである三井へのスクリーンプレーが見られました。このように味方をいかすプレーを心がけながら、ディフェンスとのズレを利用してゴール近辺で自分のシュートチャンスをつくることができると思います。 1. 桜木花道へのスクリーン ガードの宮城からウィングの三井へパスされたら、赤木は桜木にクロススクリーンをセットします。桜木がそのスクリーンを利用して飛び込んだら、赤木はその裏のサイドへ飛

          赤木剛憲をコーチする

          湘北高校をコーチする

          『SLAM DUNK(スラムダンク)』の湘北高校は、安西先生の指導のもとで1対1を重視したフリーランスオフェンスを展開します。インターハイ出場時の彼らのチームオフェンスが、より効果的になるようアドバイスできるとしたら、コーチとしてどんなことが伝えられるでしょうか。 湘北高校のアライメント スターティングメンバー5人で展開されるオフェンスのアライメントは、以下のような「3アウト2イン」とし、数字は各スターティングメンバーの背番号を表しています。この5人それぞれのプレーの特徴

          湘北高校をコーチする

          Basketball Diary Ep.10 『コロナの頃は』

          『人間万事塞翁が馬』 座右の銘を聞かれた時には、そう答えるようにしています。良い時も悪い時も、次にどう転じていくのかをよく見極めなければと思います。 来るもの拒まずの部活動ですから、一学年にたくさんのメンバーが入部してくる年もあります。そんな時は、最後の大会に向けたエントリーメンバーの選抜にとても頭を悩ませます。 ある年、一学年に17人のプレーヤーが集まりました。県大会のエントリー15人に対して余りが出てしまうことを、日頃からいつも意識せざるをえない学年でした。しかし、そんな

          Basketball Diary Ep.10 『コロナの頃は』

          Basketball Diary Ep.09 『驕り』と『誇り』

          プレーヤーは我々指導者の「モノ」ではありません。 高校生スポーツに携わっている以上、プレーヤーに対しては教育的であり、いつも彼らの成長を願って指導しなければと思っています。 インターハイ予選が終わったタイミングで、日本中の高校生プレーヤーの多くは部活動を引退します。年末に行われるウィンターカップに向けてバスケットボールを続けていくことは、大学受験を見据えた高校生にとって非常に酷なスケジュールであり、続けたくても続けられないプレーヤーがたくさんいるのが現状です。そんな中にありな

          Basketball Diary Ep.09 『驕り』と『誇り』

          Basketball Diary Ep.08 『フェイク』と『フェア』

          日本バスケットボール協会が提唱する、指導者としての「インティグリティ(integrity)」という言葉が、バスケットボール界では一般的となりました。大切なことは、「インティグリティ」という言葉や、「高潔さ・誠実さ・品位」といった意味を知っているかではなく、その理念の実現に向けて努力できているかどうかだと思います。 ルールブックのファウルに関する記述に「フェイク(ファウルをされたと欺くこと)」という行為があります。これはルール上認められていない行為であり、テクニカルファウルの対

          Basketball Diary Ep.08 『フェイク』と『フェア』

          Basketball Diary Ep.07 『人情』と『無情』

          基本的には来るもの拒まずの部活動でありながら、最後にはプレーヤーは選抜されていきます。 バスケットボールのコートに立てるメンバーはわずか5人ですし、各大会のエントリー人数は、20人、15人、12人と、上位の大会になるほどその数は少なくなっていきます。勝ち上がれば勝ち上がるほど、その舞台でプレーできるプレーヤーは少なくなっていくわけです。 間近に迫った県大会のエントリー人数は15人でした。この年は、3年生13人に加えて、すでに主力のローテーション入りしている2年生が3人いました

          Basketball Diary Ep.07 『人情』と『無情』

          Basketball Diary Ep.06 『現象』と『心情』

          審判をするためのフィロソフィーなんて考えたこともありませんでした。 単に、プレーに対して機械的にジャッジしていくだけなら、これからの時代の審判は高性能のビデオカメラとAIに取って代わられていくのかもしれません。 ある県立高校との、どちらも負ければ3年生が引退という試合。相手のキャプテンは試合前から気合十分で、ティップオフの瞬間から果敢なプレーでチームを引っ張っていました。しかし、その積極性が仇となったか、前半の早い段階で3つ目のファウルを犯してしまいます。ベンチでもどかしそう

          Basketball Diary Ep.06 『現象』と『心情』

          Basketball Diary Ep.05 『奇跡』と『定石』

          スポーツに怪我はつきものです。 とはいえ、プレーヤーが怪我を負った時はとても心が痛みますし、その怪我をどうにか防げなかったかと後悔したりもします。 かつて、3年生最後の大会直前に膝に大怪我を負ったキャプテンがいました。小気味よいプレーと3ポイントシュートが持ち味の彼は、まともに歩くこともままならない、立っていることすら覚束ない状態となってしまいました。大会当日、彼の膝は痛々しいまでにテーピングで固定されていましたが、やはり十分にプレーできないままに試合は進んでいきました。気が

          Basketball Diary Ep.05 『奇跡』と『定石』

          Basketball Diary Ep.04 『セオリー』と『センス』

          ディフェンスを指導するのがとても好きです。 相手チームの特徴を知り、攻めてくるタイミングを計り、その後の展開を予想する。守りきった時の感覚が何とも言えません。プレーヤー5人が、阿吽の呼吸でチームディフェンスを展開したときには、コート上へ拍手を送りたくなります。 勝っても負けても引退となる、3年生にとっては高校生活を締めくくる大切な試合。シーズン最後のこの試合に何としてでも勝ちたいという気持ちとは裏腹に、第3クォーター途中で17点ものリードを許してしまいました。終始、相手チーム

          Basketball Diary Ep.04 『セオリー』と『センス』