マガジンのカバー画像

7
運営しているクリエイター

記事一覧

循環 cycle of life

循環 cycle of life

世界は今日 詩のように
踊りながら朝を迎える女
眠気を覚えながら幸せを待ってる

天から降り注ぐその陽光は
小麦畑を優しく撫でながら
光を編んでゆく

世界は今日 鷲のように
煽りながら空を舞う男
その肉体を夢に捧げ褒美を待ってる

海に堕ちるその魂は
哀しみながら慈しみながら
生命を終わらせてゆく

世界は今日 私たちに
何も知らせずに
「存在」し「消滅」する
私たちが死んでしまった後も
「呼吸

もっとみる
世界の始まり

世界の始まり

世界の始まりはいつ?
と尋ねられたら
硝子の瓶を踏まないように傍にいて
そっと肩を抱いて

愛はいつから?
と聞かれたら
波打ち際の貝殻のように佇んで
黙ったままでいる

終わったのなら始めればいいと
誰かが言った
海の音はノイキャンされたイヤフォンのせいで
私には届かない

世界は終わり
でも世界はまた始まる

そんな永遠に
辟易として
鬱々としてる
私の脳の右のほう

fragile

fragile

今日世界の片隅でドーナッツが片思い
子どもたちが街から消えて空だけが高い
合唱隊はステージを下りて家路を急いだ

大人たちは誰しもオーバーワークで睡眠不足
黄色い空が烏たちを吸い込んでいくのを
痩せ衰えた猫の目で見上げてたんだ

私は誰?あなたは何?
水が飲みたければ神に祈れと紙切れだけの神がいう
電車は空へ走る 家にはもう帰れない
小鳥はもう死んだから

廃墟のスタジアム
象の足跡
トイレの落書

もっとみる
銀色をつかむ

銀色をつかむ

君といたいと願うことは
悪いことじゃない

青空 

河川敷

過ぎ去ってゆく昨日

君に会いたいと願うことは
悪いことじゃないだろ?

そう僕は

いつだって

傍にいたいんだ

片耳を失くしたイヤフォンが
今でも僕に問いかけてくる

上手になんて生きるな
それでも人生捨てたもんじゃないだろって

そうだよ
だから僕は今日
待ち望んだ場所でゲートを潜る

君に会うために

スポットライトの下で

もっとみる
天窓、サヨナラ

天窓、サヨナラ

天窓に光が降りて
君の逝く道を照らすから 
もう泣かなくていいと
誰かが耳元で囁いて
それで、それで?  

春が来れば天馬はまた走るよ
あの雲の上のほうから
きっと暖かい雨を降らすんだ

ありがとうと
君の手を握れば 
君は思い出になってしまうから
ただ思いつづけることにした

言葉はいらない のに
言葉でしか言えない不自由な鳥たち

またいつかどこかで会おうよ
サヨナラは言わずに
懐かしいあの

もっとみる

Life

昨日僕は届けた、君に言葉を

君に何を言おうか

考えているうち夕方が来て夜が来てまた朝が来て

結局何にもなれないで死んでいくのだろう、か

と疑問符を付けて自分を慰める、ことはもうやめよう

自分は結局自分でしかないし他に何にもなることはできない

昨日僕は届けた、君に愛を

愛とは何か

探しているうちに昨日が終わり今日が終わり明日が過ぎる

分かってもらえなくていい分かり合えなくてもいい

もっとみる
詩:2020年4月

詩:2020年4月

もう空は落ちてきている
怒りに消費された言葉は何処へゆくのか
やさしさのために消去されかけた文字は雨に滲んで
誰にも読めなくなってしまった

全ての都市伝説は一夜で溶けて

もう満月は雲に隠れて
狼は痩せ衰えて吠えることも忘れていくのか
人間は冷やされたレンゲのように丸くなくて
削られて尖っていく

「どんな人にも生きる権利はある」
と誰かが言った
振り向くと夕暮れだけが無人の街に取り残されて

もっとみる