黒羊もずく
短歌(または詞)と写真をコラボしたものをまとめています。
江ノ電で薄暮の中を君とゆく 言えなかった言えなかったよ
うるう年余らかせてる指先に牡丹の雪が小さく積もる
ランタンに照らし出された頬骨を好きだと思う二人になりたい
あの太陽の上へと急ぐ鳥たちに言葉もなくて風に立ってる
血管を流れているのは血じゃなくて冷たい空気 来世が見えそう
ファボられてあなたのせいで心臓がファの音みたいに半音あがる
恒星の光みたいに推しの手は私に降りて触れたみたいだ 推しの愛はいつでも私に光の束になって降り注いでくれる。私はその光に手を延ばす。触れたと思う。でも触れることは出来ない。そんな想いです。 #推し短歌
過呼吸で仰ぎみている天井の夏の終わりの蜘蛛を捕らえる
世界は今日 詩のように 踊りながら朝を迎える女 眠気を覚えながら幸せを待ってる 天から降り注ぐその陽光は 小麦畑を優しく撫でながら 光を編んでゆく 世界は今日 鷲のように 煽りながら空を舞う男 その肉体を夢に捧げ褒美を待ってる 海に堕ちるその魂は 哀しみながら慈しみながら 生命を終わらせてゆく 世界は今日 私たちに 何も知らせずに 「存在」し「消滅」する 私たちが死んでしまった後も 「呼吸」し「鼓動」する 無限の円環として
豆乳を飲んでことりと朝が来て一角獣をベッドに仕舞う
真夜中にスペースデブリ掃き出して孤独という名の船で逝きます
告白は乳白色の空模様 君が並べたホワイトアスパラ
「荻窪メリーゴーランド」 著者:木下龍也 鈴木晴香 太田出版 https://www.ohtabooks.com/publish/2023/08/25151906.html 愛することの寂しさはメリーゴーランドの寂しさと同じだ。魔法にかけられたような恋しさとどこか物憂げな感覚。ふたりでいるのに何故かいつもひとりで孤独でもある。 手袋を外してから手を繋いでも皮膚のぶんだけ遠いと思う 交わっているのにもっとほしくってポニーテールをしっかりつかむ 言葉まで脱いで
羊が夢を見ているのかも知れないこんな雨の日はこんな雨の日は
どこでもドアの向こう側に私ではない私が私をみてる