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詩:2020年4月

もう空は落ちてきている
怒りに消費された言葉は何処へゆくのか
やさしさのために消去されかけた文字は雨に滲んで
誰にも読めなくなってしまった

全ての都市伝説は一夜で溶けて

もう満月は雲に隠れて
狼は痩せ衰えて吠えることも忘れていくのか
人間は冷やされたレンゲのように丸くなくて
削られて尖っていく

「どんな人にも生きる権利はある」
と誰かが言った
振り向くと夕暮れだけが無人の街に取り残されて
悲しんでいた

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