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note⑭「飛蚊症を治しました」



今、この文章を書き終えるにあたって思うことがある。

飛蚊症を発症してからの数年間、私の原動力となったのは、目を「治す」という強い執着心であったということだ。

人生では、時に受け入れ難い運命が私たちを襲う。
そんな時、その運命を受け入れ、再び前を向いて一歩を踏み出す人を見ると、私は尊敬の念を抱かずにはいられない。
私には到底真似出来ないことだからだ。

飛蚊症を発症した時、その視界を私は受け入れられなかった。
その現実を直視出来なかった。
目の前に広がる汚い視界に納得出来なかった。
こんなの私の目じゃない。以前の綺麗な視界に戻りたい。
来る日も来る日もそればかり。その執着心のみでここまでやってきた。

治すために、ありとあらゆることを試した。その全てはここに書ききった通りだ。
その中には“改善”を終着点とする方法もあった。しかしこの先の人生を考えると、とてもじゃないが“改善”では満足出来なかった。
私が目指したのは「note①はじめに」でも掲げたように、飛蚊症を“治す”未来なのだ。飛蚊症を発症する前の視界を取り戻すことが私の設定したゴールだ。

一度迷い込んでしまったトンネルは、思いのほか長いものであった。出口があるのかどうかさえ怪しく感じ、歩みを止めたこともある。
それでも「飛蚊症を治す未来」は私の諦めきれない夢としてずっとそこに在り続けた。
今、私はその夢の世界に生きている。
信じられないことに、あの忌々しい苦しみから私は解放されているのだ。

絶望しかなかった未来は、今やキラキラとした輝かしいものに変わった。
ある一日を境に苦しみの時代に入った私の人生は、長年に及ぶ執着の末、元の安寧を取り戻した。
時間は随分掛かってしまったが、これこそ私が何より欲しかったものである。

何年にも及ぶ、飛蚊症に苦しめられた時間が取り戻せないのは事実だ。
しかし今の私にとってこんなに、こんなにも素晴らしい世界はないのだ。
私のこれからは、やりたいことで大渋滞している。
それらを飛蚊の無いこの目で体験することが出来る喜びを今、ひしひしと噛みしめている。
視界いっぱいに広がる綺麗な空と海を見ながら、この新しい人生を大切にして生きていこうと心に誓った。

そう、私は飛蚊症を治したのだから。



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