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読書関係

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読んだ本の自分の感想を中心に。
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#読書感想

『人はなぜ物を欲しがるのか』 成熟からの逃走

 『人はなぜ物を欲しがるのか』,ブルース・フッド著,白揚社発行,2023年刊行  何かを所有し…

さとみん
6か月前
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『客観性の落とし穴』 インタビューから疎外されたひと

『客観性の落とし穴』,村上靖彦著,筑摩書房発行,2023年刊行  読み終わって、久々に滅入った…

さとみん
7か月前
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『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』 医療の本ではなくエッセイとして

『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと~常識をくつがえす“病院・医者・医療”のリアルな…

さとみん
7か月前
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『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』 ちぐはぐなのは私か他者か

 奇妙なちぐはぐさというか、違和感がずっと追いかけてくる本だった。  書いてあること全て…

さとみん
1年前
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『中井久夫集1 働く患者』 「現代社会に生きること」 60年前の宿題

 60年前の課題が積み残されていると嘆く自分と、未知の新し過ぎる問題という訳でもないので何…

さとみん
1年前
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『ある奴隷少女に起こった出来事』 よい奴隷制は存在しない

 人を支配するというのは、支配者を不幸にする仕組みなのだ。 『ある奴隷少女に起こった出来…

さとみん
1年前
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ダロウェイ夫人:その4

「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し」とは言うけれど、その重荷とは何だろう。 『ダロウェイ夫人』バージニア・ウルフ著,土屋政男訳,光文社古典新訳文庫  物語構造において、主人公クラリッサの「分身」として描写されている存在、第一次大戦の帰還兵セプティマスのエピソードは、透けるような神々しさ美しさをただよわせつつも、全体としては悲痛さがみなぎっている。  セプティマスは、戦争中に深い絆を築いた上官が戦死し、その時に感情を失ってしまって以来、精神的失調の只中にある。  

『ダロウェイ夫人』その3:少年のまま生きるのは、自分も周囲もしんどいものだ

 ピーターって、どこか永遠の少年イメージを負わされがちな名前ですよね。ピーター・パンはも…

さとみん
1年前
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『ダロウェイ夫人』その2: 理解されなくても生きていける

 イエスが着ていたという「縫い目のない衣」のような、完全な理解は、人には望むべくもないけ…

さとみん
1年前

『ダロウェイ夫人』 その1: 流れているのは意識ではなく世界

 今読んでよかったなぁと思った。 『ダロウェイ夫人』バージニア・ウルフ著,土屋政男訳,光文…

さとみん
1年前
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注釈で長考する 『習慣の力〔新版〕』

 悪い習慣を絶ち切り、良い習慣を身に付けることに注目した本は、今は山をなすほど出版されて…

さとみん
1年前
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『夏物語』感想 思想カタログみたい

 カタログみたいな小説だなあ、という印象だった。  妊娠出産ということについて、今現在東…

さとみん
1年前
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『「人それぞれ」がさみしい』 でもつながる苦労を誰が負担するのか

 人それぞれ、という言葉を、共存の提案と受け止めるか、切断の呪いとして聞くか。  ちくま…

さとみん
1年前
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