マガジンのカバー画像

読書関係

35
読んだ本の自分の感想を中心に。
運営しているクリエイター

記事一覧

なぜヒトは学ぶのか 人間の条件と配られたカードと幸せと

「学校の勉強なんて役に立たないよ!」「じゃあどんな勉強なら役に立つと思っているの?」 『…

さとみん
11日前
6

『人間をみつめて』 存在の仕方を先行させること 名刺代わりの12冊その1

『人間をみつめて』,神谷美恵子著,河出書房新社発行,2014年初版(1974年『新版 人間をみつめ…

さとみん
1か月前
3

『傲慢と善良』 ○○活と呼ぶことで迷走するもの

『傲慢と善良』,辻村深月著,朝日新聞出版発行,2019年刊行  友人内で定期的に行っている読書…

さとみん
3か月前
7

『マーケットデザイン』 方法は、ある。使う決断はできるか?

 道徳を用いずに、倫理的な結果を導くにはどうすればいいのか。 『マーケットデザイン 最先…

さとみん
3か月前
4

慌ただしく2023年の振り返り

 2023年を振り返りましょう!とnoteさんにやかましく言われながらも、ここ数年、年単位の振り…

さとみん
4か月前
7

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』 君はひとりしかいないのと同じように

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』,スティーヴン・ウェッブ著,青土社発行,2018年…

さとみん
4か月前
9

『帳簿の世界史』 世界で一番美しいのは……という答えに堪えること

 白雪姫のお妃は、鏡を壊さなかっただけ良心的だった。 『帳簿の世界史』,ジェイコブ・ソール著,文藝春秋発行,2018年刊行 「帳簿」、つまり会計という概念を中心に、古代ローマ時代からリーマン・ショックまでの世界史を俯瞰した本……なのだが、田中靖浩さんが執筆した似たような切り口の『会計の世界史』があくまでわかりやすいエンタメに徹して楽しい読み物を展開してくれたのに対して、こちらは割とシビアで人間の業を突きつけてくる、重々しい本になっている。  この本が繰り返し繰り返し提示

『人はなぜ物を欲しがるのか』 成熟からの逃走

 『人はなぜ物を欲しがるのか』,ブルース・フッド著,白揚社発行,2023年刊行  何かを所有し…

さとみん
5か月前
2

『客観性の落とし穴』 インタビューから疎外されたひと

『客観性の落とし穴』,村上靖彦著,筑摩書房発行,2023年刊行  読み終わって、久々に滅入った…

さとみん
6か月前
5

『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと』 医療の本ではなくエッセイとして

『病理医ヤンデルのおおまじめなひとりごと~常識をくつがえす“病院・医者・医療”のリアルな…

さとみん
6か月前
4

『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』 ちぐはぐなのは私か他者か

 奇妙なちぐはぐさというか、違和感がずっと追いかけてくる本だった。  書いてあること全て…

さとみん
1年前
2

『ずっとお城で暮らしてる』 

『ずっとお城で暮らしてる』,シャーリイ・ジャクスン著,市田泉訳,東京創元社発行,2007年刊行 …

さとみん
7か月前
3

『レジリエンス こころの回復とは何か』 願いが叶うことか、光が見えることか

『レジリエンス こころの回復とはなにか』,セルジュ・ティスロン著,白水社発行,2016年刊行 「…

さとみん
8か月前
4

『悪魔が来りて笛を吹く』 本当の悪魔は笛を吹かない

『横溝正史自選集 5 悪魔が来りて笛を吹く,横溝正史著,出版芸術社発行,2007年刊行』  NHK BSプレミアムで、「深読み読書会 『悪魔が来りて笛を吹く』」が再放送(元は2019年に本放送だったらしい)されていて、ちょっと気になって録画したところで、「そういや原作読んでなかったな……」と今更気付き、原作を慌てて読んだ、というのが事の次第である。  実は金田一耕助シリーズは、遠い昔に『本陣殺人事件』を読んだきりで、しかも遠い昔すぎて内容を大半覚えてない。『金田一少年の事件