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読書関係

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読んだ本の自分の感想を中心に。
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記事一覧

『黒龍とお茶を』 枯木裏龍吟 名刺替わりの12冊その3

「名刺替わりの小説10選」というメジャーなハッシュタグではなく「名刺替わりの12冊」というま…

さとみん
1日前
5

『シン・ファイヤー』 断層の先に手を伸ばす苦しみ

 すごい共感できる部分と、ツッコミしたい部分とが同居していて、結構感情が上下する本である…

さとみん
2週間前
10

ピック・スリーと東京物語

 ただ自分の素直な思いを書くだけで、暴露話と受け取られてしまう境遇の人がいる。 ★★★ …

さとみん
1か月前
9

『春にして君を離れ』(その2) 悪者を作って結託してしまう姿

 我ながら、悪意の塊みたいな読み方をしてしまったなと思う。 『春にして君を離れ』,アガサ…

さとみん
1か月前
10

『春にして君を離れ』(その1) なんぢらの中、罪なき者まづ石を擲て

 みんな、自分は聖人になれないのを知っているけれど、他人には聖人のようなふるまいを求めて…

さとみん
2か月前
8

『ヘルシー・エイジング』  精神の遺書を書こう 名刺替わりの12冊その2

 年を取るのっていいことだよ。  若さを失うのは怖い、という人は、ぜひ読んでみてほしい。 …

さとみん
2か月前
4

『総選挙ホテル』 傍観者で生きていくよりも

 自分のやりたいことをやることと、主体的に生きることは、違うらしい。 『総選挙ホテル』,桂望実著,株式会社KADOKAWA発行,2019年刊(2016年刊行単行本を加筆修正)  友人内で定期的に開催している読書会で、久しぶりにちょっと軽めの小説はどうかということで、今回はこの本がテーマだった。  中堅どころだが売り上げが悪く、このままでは身売りか業態転換かと追いつめられたホテルが、一か八かをかけて、投資ファンドが紹介した社会心理学者を社長に迎え入れる。社長は、 「二割の定

なぜヒトは学ぶのか 人間の条件と配られたカードと幸せと

「学校の勉強なんて役に立たないよ!」「じゃあどんな勉強なら役に立つと思っているの?」 『…

さとみん
4か月前
9

『人間をみつめて』 存在の仕方を先行させること 名刺代わりの12冊その1

『人間をみつめて』,神谷美恵子著,河出書房新社発行,2014年初版(1974年『新版 人間をみつめ…

さとみん
5か月前
3

『傲慢と善良』 ○○活と呼ぶことで迷走するもの

『傲慢と善良』,辻村深月著,朝日新聞出版発行,2019年刊行  友人内で定期的に行っている読書…

さとみん
7か月前
8

『マーケットデザイン』 方法は、ある。使う決断はできるか?

 道徳を用いずに、倫理的な結果を導くにはどうすればいいのか。 『マーケットデザイン 最先…

さとみん
7か月前
4

慌ただしく2023年の振り返り

 2023年を振り返りましょう!とnoteさんにやかましく言われながらも、ここ数年、年単位の振り…

さとみん
8か月前
7

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』 君はひとりしかいないのと同じように

『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』,スティーヴン・ウェッブ著,青土社発行,2018年…

さとみん
8か月前
11

『帳簿の世界史』 世界で一番美しいのは……という答えに堪えること

 白雪姫のお妃は、鏡を壊さなかっただけ良心的だった。 『帳簿の世界史』,ジェイコブ・ソール著,文藝春秋発行,2018年刊行 「帳簿」、つまり会計という概念を中心に、古代ローマ時代からリーマン・ショックまでの世界史を俯瞰した本……なのだが、田中靖浩さんが執筆した似たような切り口の『会計の世界史』があくまでわかりやすいエンタメに徹して楽しい読み物を展開してくれたのに対して、こちらは割とシビアで人間の業を突きつけてくる、重々しい本になっている。  この本が繰り返し繰り返し提示