The ModelみたいなBtoBマーケ組織はどうつくる? 東証1部上場企業で実際にやったこと
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The ModelみたいなBtoBマーケ組織はどうつくる? 東証1部上場企業で実際にやったこと

佐藤 岳|GAXマーケティング

こんにちは、BtoBマーケティング支援サービス「GAX(ガックス)」責任者を務めている佐藤岳です。「GAX」は、前職の株式会社ブイキューブで新規事業としてスタートしました。

私は、2021年8月16日にGAXマーケティング株式会社を設立し株式会社ブイキューブと「GAX」事業の譲受契約を締結。2021年9月1日よりGAXマーケティング株式会社としてBtoB企業向けのマーケティング支援やコンサルティングサービスを提供しています。

私は2015年11月にブイキューブへ入社、2016年4月からはマーケティング本部長として、ほぼゼロベースからBtoBマーケティングの組織づくりを進めてきました。その結果、2020年にはマーケティング活動からの新規受注を2016年比で9倍成長を実現。そうした経験から得られた知見やノウハウを提供するサービスとして、2021年1月からGAXの提供を開始しました

そしてご相談いただくマーケティング担当者様から、「上司からThe Modelを自社でも実現するよう言われたけど、どう進めればいいかわからない」「マーケティング部はあるものの、うまく機能していない」といったお声をよく耳にします。

そこで今回のnoteでは「BtoBマーケティングの組織づくり」という視点から、実際に私がブイキューブで取り組んできたことをご紹介します。当時、社内プレゼン用につくった資料であったり、再現性のあるポイントをいくつかまとめていますので、ぜひ自社のBtoBマーケティング組織づくりの参考にご覧ください。

ブイキューブであった実際の課題

私が2015年11月にブイキューブへ入社したタイミングでは、施策はすべてエージェンシーへ丸投げ、展示会で2万件近いリストを獲得しても、成約はわずか11件のみといった非常に効率の悪い状況となっていました。

そもそもエージェンシーへの依頼自体の抽象度が高く、結果エージェンシーからのアウトプットも抽象的になってしまっていたんですね。しかもSEOはA社、デジタル広告はB社、それ以外はC社といった具合に、領域ごとにエージェンシーもバラバラで、全体最適のための効果的な施策は打ておらず、成果最大化のために必要な動きが一切できていませんでした。

さらにメインとなるKPIのみを見ている状態でした。実施した施策に対して何が良くて、何が悪かったのか適切な振り返りができておらず、Google Analyticsすら見ていない状況でしたから、施策のやりっ放し状態が続き、誰も明確なROIを把握していなかったのです。

そうした状況ですから、当然ながら十分な案件創出ができておらず、営業サイドからは「マーケティング部門が協力してくれないから、営業の予算達成ができていない」と、マーケティング部門への不満が募っていきました。終いには営業部門自らが案件創出のためのセミナーを開催するなどの販促活動を行っていました。

一方でマーケティング部門からすると、「自分たちは最先端のことをやっていて、受注に繋がらないのは渡した見込み顧客を営業サイドが活用していないから」という認識です。営業部門とマーケティング部門の対立が生まれており、いわゆるThe Modelのような組織間連携の取れたマーケティング・セールスプロセスを構築できていませんでした。

そこであらためて見込み客を増やし、案件数を増やし、受注を増やしていくためにも、組織横断でのBtoBマーケティング組織立て直しに2015年12月から着手します。

BtoBマーケ組織づくりにおいて実際に取り組んだこと

チームビルディングを進めていく上で、まず行ったのが営業部門とマーケティング部門が一緒となって顧客を理解するということでした。

はじめに営業部門、マーケティング部門、製品企画部門合同で、ワークショップを実施。リード獲得から案件創出、そして受注に至るまでのお客様の購買プロセスを理解し、そのために企業はどういった体制で、どういった取り組みが必要であるかの共通認識を持つことを目的に進めていきます。

当時、ブイキューブの商材であるテレビ会議サービスが売れ悩んでいました。まずはサービスをお使いいただくお客様をより深く理解しようと営業部門、マーケティング部門それぞれに各々が考えるペルソナ、カスタマージャーニー案を作成してきてもらい、それらを持ち寄って議論を重ね、最終的にみんなで考えた「組織として見るべき」ペルソナ、カスタマージャーニーを設計。

元来はマーケティング部門がつくったペルソナを営業部門に見せると「実際にはこんな顧客はいない」といったペルソナ認識の不一致が起こっている状態でしたが、営業部門と一緒につくっていくことで、より精度の高いペルソナ、カスタマージャーニーの設計を実現しました。

以下のnote 、営業とマーケティングが一緒にカスタマージャーニーを作成した取り組みついて紹介しています。

その次に行ったのが、職種別にマーケティング組織を再編成することです。

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上記スライドのように、デジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、イベント・セミナーマーケティングなど職種ごとに業務内容、役割責任、目標を設定し、職種別に必要な知識やスキル習得のためのトレーニングを実施。目標達成のためにどういったPDCAを回していくべきかを徹底して理解、行動できるように進めていきました。

▼トレーニングで実施したこと(一例)
・ペルソナ、カスタマージャーニーの作成
・カスタマージャーニーを基礎としたコンテンツ作成手法の習得
・製品・サービス別コンテンツ制作計画の作成
・執筆力強化トレーニングによるコンテンツ作成力の習得
・コンテンツをマーケ施策へ展開。コンテンツ毎の効果測定と改善活動
・課題、ソリューション軸などのバリュープロポジションマップの作成
・サービスサイト、オウンドメディアを横断した閲覧行動を把握するGA設定
・Webからの問い合わせされたお客様のWebサイト閲覧行動の明確化
・問い合わせにつながりやすいWebページ改善の推進
・検索エンジン最適化施策スキルの習得と改善活動の推進

また、2016年よりマーケティング組織の立て直しに着手し、徐々に見込み客の創出ができてきた2017年のタイミングでは、導入検討の確度が高いと思われる見込客へ迅速にアプローチすべく、インサイドセールス部門の立て直しを行います。

それまでインサイドセールス部門は営業部門所属で、お問い合わせされたお客様への対応するという役割で存在。マーケティング活動を通じて新規に創出されたリードのフォロー、その中で導入検討確度が高いお客様へのフォローを行う役割を業務として定義されていませんでした。

そのような背景から、せっかく創出された見込客を誰もフォローしない状況に陥っていたことが課題でした。営業本部長や部長たちとの課題管理ミーティングでの議論を経て、マーケティング部門に吸収。あらためてインサイドセールスの立て直しを進めた結果、立て直しから4ヶ月目で1億円相当の案件を創出ししました。

そして成果最大化のためにメンバー個々が自走して動けるよう、マーケティングプロセスを簡略化。SFAやCRMのデータを横断的に収集し、マーケティング施策別の見込客獲得状況から案件数、受注・失注の件数・金額を見える化させ、数値レポートも再定義することで、追うべき指標が明確になりました

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さらにMA(HubSpot)を導入して、見込客の興味関心に応じたコンテンツをWebサイト、メール、チャットで自動的に配信するなど、より効率的な見込み顧客獲得のためのアプローチをとっていきました。

以下のnoteで、MA導入の取り組みについて書きました。

マーケ活動により生まれた新規受注件数は9倍にまで成長

2016年にマーケティング組織の立て直しを進めてきた結果、2020年のタイミングでは2016年比で、新規顧客からの受注件数は9倍へと成長。さらに質の高い見込み客の獲得もできるようになり、受注率は2倍になるなど、効率的なマーケティング活動が実現できるようになりました。

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こちらは2020年8月時点でのマーケティング本部の組織図です。ご覧の通り、ブイキューブのマーケティング本部には、クリエイティブチームを設けています。

というのも、BtoBマーケティングを迅速に進めていく上では、コンテンツの制作体制があるかどうかが非常に重要だからです。広告クリエイティブや自社コンテンツ、またサイトデザイン含め、クリエイティブチーム、そしてお客様事例やソリューションカタログを制作する編集者、オウンドメディアの編集長などがマーケティング部門に内包されていることで、部門内で施策実行を完結することができるため、スピード感のある施策展開が可能になります。

実際にブイキューブではコンテンツ施策を拡充していったことで、トラフィックは大幅に増加。ある年はオーガニックでの流入が1年で43倍へと成長、さらにオウンドメディアはオーガニック流入比率が約90%と、見込み顧客創出に繋がるトラフィック獲得ができるようになりました。こうしたコンテンツ制作や情報発信についても、以下のnoteでより詳しくご紹介しています。

そして週次で営業部門とマーケティング部門のマネージャー陣が集まる会議の場では、いつも「早く案件創出してくれ」と言われていましたが、十分な案件創出が継続的にできるようになった2018年ごろからは何も言われなくなり、個人的に「やったぁ!」と達成感を感じた瞬間でした。

まとめ:「自走するBtoBマーケ組織づくり」における3つのポイント

実際に私がブイキューブで取り組んできたことをご紹介してきましたが、企業によって抱えている課題や状況は異なるでしょうから、同じように取り組んでも成功するとは限りません。そこで、自走するBtoBマーケティング組織をつくる上での再現性のあるポイントを、3つご紹介いたします。

1つめが「買っていただく仕組み」をつくるという考え方です。ここで注意しなければいけないのが、 “売れる” 仕組みではなく、 “買い手視点” で自社サービス・商品を選んでいただき、買っていただく仕組みです。

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なぜなら、CEB(Corporate Executive Board)が1,400のB2Bカスタマーに実施した調査ではBtoBバイヤーは購買プロセスの57%を自ら行うと言われています。出典は、The End of Solutions Sales - Harvard Business Review です。以下にリンクを貼っておきます)

日本語訳が、ダイアモンド社から出版されている「営業の教科書」 P45 に「ソリューション営業は終わった」と題して収録されています

みなさんご自身が何らかの製品やサービスを購入するときを振り返っていただければ、気がつくと思いますが、何らかのきっかけや刺激から、課題に気づき、解決策を探索する過程で、製品やサービスを知ったり、ユーザーのレビューを見たり、他製品と比較した上で購入されているはずです。

BtoBバイヤーも同じで、インターネット上で検索して自ら調査を進めています。それはすなわち、企業としてはお客様が自ら購買プロセスを進んでいくために必要な情報を発信することが重要であることを意味します。

しかし、そもそもでどういったお客様がどんな購買プロセスを進んでいくのか、買い手視点でのプロセスを理解できていなければ、それに対応するコンテンツを制作したり、フォローアップ体制を組むことはできません。

そのため、現場だけでなく管理者含め、正しく顧客を理解し、買い手視点での購買プロセスに合わせたマーケティング活動が重要であるという認識を持つことが何よりも大切です。

そこで2つめのポイントが、そうしたペルソナ、カスタマージャーニーの作成をマーケティング部門だけで行うのではなく、営業部門や関係者含めて行うということです。カスタマージャーニーを関係者全員でつくっていくことで、自然と組織を横断してどのように連携していくべきかの目線合わせが可能になります。

上述の通り、買っていただく仕組みをつくるためには顧客理解が何よりも重要であるからこそ、そもそもで設定したペルソナやカスタマージャーニーが机上の空論のものになっていては成果が生まれず、営業部門とマーケティング部門の対立は深まる一方です。

そのため、ペルソナ、カスタマージャーニーの設計タイミングから、日々お客様と接する営業部門と一緒に行うことで、より精度の高い設計が可能になるのです。

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最後に3つめのポイントが、As Is - To Beで課題整理、段階目標設定を行うことです。BtoBマーケティングを進めていこうとすると、「コンテンツをつくりたい」「インサイドセールス組織をつくりたい」「MA導入して、効率的なマーケティングを展開したい」など、やりたいことがたくさん出てきます。

しかし、様々な施策を実行していくためには、当然ながら実行体制の構築が重要であり、実行体制が整わないまま進めようとしても、あるべき姿(To Be)とのギャップが大きすぎるため、結果的に現場ではただ施策を実行するだけに翻弄されてしまい、何ができていて何ができていないのかを適切に振り返ることができません。

ブイキューブではマーケティング組織の立て直しにより、新規受注は9倍へと成長したとお伝えしましたが、はじめからインサイドセールス組織を立ち上げたり、MAの効果的な活用を進めていったわけではありません。下記の図のように、年度ごとに段階的な目標を立てて進めていったのです。

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そして、お客様に買っていただく仕組みをつくるために、自分たちは何をしなくてはいけないのか、そのためにどういった段階目標を設定すべきかを考えることが大切です。顧客理解ができていなければ、何をすべきかといったことは考えられませんから、組織で顧客理解を深め、お客様の購買プロセスを理解することが最初の目標とすべきでしょう。

その上で定量的な目標を定めていき、何ができて何ができなかったのかを振り返り、改善していくことで、最終的に目指すべきゴールへと近づいていくことができるのです。

なお、GAXではマーケティング施策の実行支援だけでなく、こうしたBtoBマーケティング組織立ち上げフェーズで求められる組織横断での顧客理解ワークショップの実施や、インサイドセールス部門の立ち上げ支援など、BtoBマーケ組織づくりからご支援可能です。

また、GAXのサイトではBtoBマーケティングのナレッジも発信していますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事に関連するBtoBマーケティングのナレッジ

謝辞

このnoteで紹介した取り組みは、日本を代表するマーケティングコンサルタント 高広 伯彦 さんの講座で受講した内容を実践したものです。高広さんが、2015年-2016年に日経BP社と主宰していたBtoBデジタルマーケター養成講座に講師の1人として参加しました。講師の特典として4日間にわたる講座を受講させていただきました。この講座で学んだことを実践し、このような成果を生み出せきました。高広さんには、この場を借りて深く御礼申し上げます。

GAXをはじめるにあたり、高広さんと対談させていただきました。

私が講師として参加した、日経デジタルマーケティング BtoBデジタルマーケター養成講座は、2015年3月、2015年9月、2016年4月に開催されました。2015年3月と2015年9月の開催では、当時勤めていた、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社の佐藤岳として登壇しました。2015年11月にブイキューブに入社し、2016年4月には、株式会社ブイキューブの佐藤 岳として登壇しました。


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わたしも
佐藤 岳|GAXマーケティング
1973年生。BtoBマーケティング支援サービス GAX(ガックス)の代表取締役 です。自己紹介はこちら https://www.wantedly.com/id/gaku_sato をご覧ください。