マガジンのカバー画像

ドイツ語

5
本とか。
運営しているクリエイター

記事一覧

テーベの市民たちよ!フランス人たちよ!韓国人たちよ!中国人たちよ!ドイツ人たちよ!関西人たちよ!【フランス語】apprendre(ソフォクレス『オイディプス王』)

テーベの市民たちよ!フランス人たちよ!韓国人たちよ!中国人たちよ!ドイツ人たちよ!関西人たちよ!【フランス語】apprendre(ソフォクレス『オイディプス王』)

自分が父を殺し、母を娶ったことを知らずに、犯人探しをしている悲劇の王オイディプスは、妻(母)の弟クレオンに謀反の疑いをかける。

apprendre には「教える」と「習う」の意味がある。一つの単語が逆の意味を持つって、ややこしくないか、フランス人たちよ。

しかも不特定の人を表す on を主語にした文は、受け身で訳すこともある。教えたのか教えられたのか、こんがらがらないか、フランス人たちよ。

もっとみる
固有名詞と表意文字【ドイツ語】Gen(中沢啓治『はだしのゲン』)

固有名詞と表意文字【ドイツ語】Gen(中沢啓治『はだしのゲン』)

『はだしのゲン』ドイツ語版の前書きより。

調べてみると、はだしのゲンの名前の由来は「元気」の「元」、何度踏まれてもしっかり根を張る「根」から来ているようだが、このドイツ語版の前書きでは「ゲン」の説明として、さらに「原爆」があげられている。

これまでまったく気が付いていなかったが、これは作者の意図だったのだろうか。

なおウィキペディアによると、タイトルは英訳版は Barefoot Gen(はだ

もっとみる
コウモリ構文【ドイツ語】Fledermaus(『ホビットの冒険』)

コウモリ構文【ドイツ語】Fledermaus(『ホビットの冒険』)

どろぼうの腕を買われてドワーフの一行に加わることになったビルボは、夜道で斥候役を押し付けられる。トラブルがあって戻ってこれなくなったら、「メンフクロウの鳴き真似を2回、シロフクロウの鳴き真似を1回して知らせろ。そしたらこっちでできることをしてやる」と言われて送り出された場面である。そんなむちゃな。

Fledermaus (コウモリ)は「羽ばたくネズミ」というような意味で、なるほど、ネズミに似てな

もっとみる
洗い物の山【ドイツ語】Abwaschberg

洗い物の山【ドイツ語】Abwaschberg

なんとなく瀬田貞二さんっぽく、ですます調で訳してみた。冒頭で、13人のドワーフがビルボの家に突然やってきて、盛大に飲み食いしたあとの翌朝の場面である。

Abwaschberg という単語が気に入った。原文がどうなっているのか分からないが、mountain of washing up だろうか、ひとつの単語になっているぶん、なんだか有無を言わせない迫力がある。

ドイツ語の複合語は初心者には切れ目

もっとみる
ドイツ人にとって ge- は空気みたいなものなのか【ドイツ語】Geraschel(『ホビットの冒険』)

ドイツ人にとって ge- は空気みたいなものなのか【ドイツ語】Geraschel(『ホビットの冒険』)

13人のドワーフとホビットのビルボが、冒険の旅に出かけて、初めての困難にみまわれる場面。

擬音語・擬態語がテンポよく、コミカルに使われている。気になるのは、すべて動詞の過去分詞形から派生しているように見える点だ(rascheln〔ガサガサいう〕なら過去分詞形は geraschelt, schimpfen 〔文句を言う〕なら geschimpft)。

オノマトペにいちいち ge- がついているの

もっとみる