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テーベの市民たちよ!フランス人たちよ!韓国人たちよ!中国人たちよ!ドイツ人たちよ!関西人たちよ!【フランス語】apprendre(ソフォクレス『オイディプス王』)

CRÉON On m'apprend, Citoyens, que notre roi Oedipe se répand contre moi en propos singuliers. (p.20)
クレオン 私は知っているのだ、市民たちよ。我らの王オイディプスが、ひどい言葉で私を貶めていることを。

Sophocle / Oedipe roi

自分が父を殺し、母を娶ったことを知らずに、犯人探しをしている悲劇の王オイディプスは、妻(母)の弟クレオンに謀反の疑いをかける。

apprendre には「教える」と「習う」の意味がある。一つの単語が逆の意味を持つって、ややこしくないか、フランス人たちよ。

しかも不特定の人を表す on を主語にした文は、受け身で訳すこともある。教えたのか教えられたのか、こんがらがらないか、フランス人たちよ。

しかし考えてみると、例えば「売買」のふたつの漢字も逆の意味を持っているが、同じ音だ。さらに韓国語の 매매 (賣買)は見た目も同じだから、もう区別がつかない。取り引きでもちょっとしたことで行き違いが起きたり、裁判沙汰になったりしてないだろうか。それでいいのか、韓国人たちよ。

中国語の买卖 mai3 mai4 は声調が違うから、本人たちは間違えないからいいのかもしれないけど、「売買」とは売り買いが逆になってるから、さらにややこしい。どうしてくれるのだ、中国人たちよ。

以前聞いた話では、中国人も漢字はどっちがどっちかわからなくなることがあるらしく、「頭に+がついてる方が売るものがある方で『卖』、+がない方がものがないので買う方だから『买』」と教えるという。だったら最初からぜんぜん違う漢字にすればよかったんじゃないか、中国人たちよ。

それでいうとドイツ語の売買、 verkaufen と kaufen も似ているが、おそらく日本人の9割は、動詞 kaufen を「買うフェン」のバリエーションで覚えるはずだ。verkaufen は「ver- が付いてる方が売るものがある方」とでも覚えればいい。どうだ参ったか、ドイツ人たちよ。

ただ気がかりなのは、関西人は「買わない」を「買わへん」と言うので、kaufen が「買う」なのか「買わない」なのか、わからなくなったりしないだろうか、という点だ。大丈夫か、関西人たちよ。

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