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第1回 フィードバックしました ▶︎ 楽曲名:Aeternum

▼企画内容

「フィードバックします▶︎あなたの自作曲」記念すべき

第1回目はNobuo様からご依頼

を頂きました。

Nobuoさん、ありがとうございます。それでは下記の通りフィードバックさせて頂きます。

▼NobuoさんのXのアカウント
https://twitter.com/nbo_sch

楽曲名 : Aeternum

【第一印象】

打ち込みを基調としたタイトなグルーヴ、アップテンポで目まぐるしく変わる展開が印象的でした。

イントロ終わりのリバースシンバルからブレイクを経て、その後、

曲は、途中で変拍子を織り交ぜながら、迷宮に迷い込むような雰囲気を醸し出すなど、

を組み立てられています。

こういったアレンジのアプローチは素晴らしく、リスナーは飽きることなく曲を楽しむことができると思いました。

また、各楽器の帯域やバランス、分離感がよく、そのため作品に集中しやすく、聴きやすいと感じました。丁寧にミックス、マスタリングをされている
証拠だと思います。

依頼文の中に「Nintendocore的なものを作りたくて出来ました。」と記載されていた通り、

をはっきりと感じ取ることができました。それは制作者の意図が作品に反映されているため、素晴らしいと感じました。

Nintendocore(ニンテンドーコア)
チップチューンとゲームミュージックをハードコア・パンク、ヘヴィメタルなどと融合させた音楽

wikipedia

Nintendocoreというジャンルは今回はじめて知りました。

【質感】

「Nintendocore」のジャンルや音の方向性を逸脱する認識がありますが、あえて「質感」について考えさせて頂きました。

ジャンルの縛りをはずして、ひとつの音楽作品として位置づけた場合、

とさらにクオリティが上がると思いました。

例えば手間がかかる方法ではありますが、カセットテープに落として聞いた場合、おそらくテープならではのサチュレーションがかかり、いい具合にデジタル的な角がとれるような気がします。

言い換えると、鮮明すぎるものをあえて荒くすることで、

ことができるような気がします。

DAWではテープやリールなどを再現したプラグインを使うことで、同様にいい感じの効果を出せますし、もちろんそれで十分だと思います。しかし、個人的にはもし可能なら、テープなどの物理的なメディアを使いたいところです。

「物理メディア」ならではの質感を得ることができるのと、

だと思うからです。

すでに十分なクオリティがある楽曲「Aeternum」を、アナログメディアでも聴くことが可能なら、聴き比べることができ、リスナーにとって贅沢な体験になると想像しています。

【悩まれている点】

依頼頂いたメールには、「悩んでいること」を記載していただいておりましたので、下記に引用させていただきます。

悩んでいることは、バンド上がりでDTMをやっているもので、楽曲のトラックは「ボーカル(またはメインメロディ)、ギター、ベース、ドラム、たまにシンセ」という固定観念ができてしまっていることです。

Artcoreとか面白いなと思い始めたところなんですが、バンド音楽で凝り固まった固定観念を持っている人が作るには音の入れ替わりが激しすぎるな…と思ってます。

似たジャンルの曲を聞きまくり、有名どころのシンセやサンプルパックを一通り漁ってアイデアを溜めておけばいいのではというのはなんとなくわかっているのですが、他にもアプローチがあったらお伺いしたいです。

筆者が、要望にそって悩みを解決するベストなアプローチをピンポイントでご提示できればいいのですが、自分には難しい問いですので、本質的な部分で考えさせていただくことにしました。

【Artcoreについて】

まずArtcoreのジャンルを知らなかったので、いくつか曲を聴いてみました。

アートコア(英: Artcore)は、音楽ジャンルのひとつ。当初はハードコア・パンクで用いられていたが、現在はドラムンベースのサブジャンルを指す場合が多い。

wikipedia

1995年にイギリスのレーベル・React(英語版)がリリースしたコンピレーション・アルバム『Artcore』では、ジャケットで以下のようにアートコアを定義している。

アートコア:アンビエントからジャズまで、様々なスタイルを融合したジャングル。

アートコア:リズミックで、ヒプノティックで、メロディックで、ディープで、スペイシー。

アートコア:ブレイクビーツを、音の空間を埋めるために、異なる音や楽器として多く使用する。

wikipedia

ざっくり聞いた感じですが、打ち込み色が前面にでて、音色は堅い傾向にあり、音数は多く、メロディアスなものが多い印象をもちました。

またwikipediaの解説にもあるように

ですので、フレーズを切りはりするコラージュのような作り方も垣間みえ、捉え所がなく定義の幅が広いジャンルだとも思いました。

【別の視点での曲作り】


悩んでいる点を要約すると、「バンド編成をベースにした曲作りではなく、Artcoreのジャンルのような、別の視点での曲作りのアプローチ」と捉えました。

すでにNobuoさんがメールに記載されているように、サンプルパックから素材をセレクトし、それを例えばDAWやサンプラーのシーケンサーに切り貼りし、曲を構築するやり方が、バンド編成とは違うアプローチの方法のひとつだと思います。

ただしその方法の場合、

だと思います。

厳密に考えると、ステップ入力の打ち込みも、生演奏ではないのですが、もしそうであっても、ライブパフォーマンスの際にリアルタイムでパラメーターを変化させたりするのなら、生演奏としての面白さが生まれると思います。

と個人的に感じます。

Artcoreの特徴は多種多様なサウンドを融合することですので、後の作業でエディットするにしても、まずはサウンドパックのような素材選びに重きを置かざるを得なくなると思います。

【「ならでは」を追求】

あくまで筆者の個人的な考えですが、制作する際に音楽ジャンルを第一に優先するのではなく、

が重要だと考えます。

理由は、制作者ならではの個性、オリジナリティを中心におき、それらを意識的に継続して育んでいけば、ある時点から

からです。

Udio AI等の音楽生成AIをみていると、音楽をまったく作ったことがない人が、ほとんどのジャンルの音楽をクオリティ高く短時間で生み出せる時代がもうすぐそこまで来ていると感じます。

それを楽観的または悲観的に捉えるかはさておき、筆者としては今回フィードバック依頼をいただいたNobuoさんならではの

されることをご提案させていただきます。

すでに「Aeternum」には展開やアレンジなど細部にオリジナリティを感じることができますので、それをさらに他の人が考えつかないレベルまで突き詰めていくことを意図したご提案です。

あくまで例としてですが、Nintendocoreをベーシックなトラックにして、Artcoreのコラージュ的な要素を取り入れてみたり、フィールドレコーディングした環境音を後ろの方で重ねてみたり、全体的な質感をLoFiにしてみたりなどです。

していただいて、そこで得られたアイデアや発見をまた次に活かすことで、ジャンルに縛られるのではなく、独自の世界観を構築されていくのはいかがでしょうか。

【おわりに】

音楽を作る意味を考える時があります。人それぞれ答えが違いますが、音楽生成AIが実用的になり始めたので、今後ますます

になる気がしています。あくまで筆者自身の現在の答えですが、

と考えています。

経験上の話ですが、楽曲を完成させた時よりも、

です。

それは、アレンジをどうしようか考えたり、イメージ通りのコード進行が何かを試行錯誤したり、偶発的にいい感じの音色や響きを見つけることができたり、色々なアイデアを試すことができるからです。

つまり、

のような気がします。

今回、Nobuoさんからフィードバック依頼をいただき、楽曲「Aeternum」を聴かせていただく中で、新しい発見があったり、音楽制作の本質的なことを改めて考える機会をいただきました。

Nobuoさん、ご依頼ありがとうございました。

今後も創作活動がさらに盛り上がることを願っています。

お読みいただき、ありがとうございました。

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