ささこ

漫画・アニメ・ゲーム・お芝居やライブを嗜む臨床心理士・公認心理師。 お仕事は臨床と研究…

ささこ

漫画・アニメ・ゲーム・お芝居やライブを嗜む臨床心理士・公認心理師。 お仕事は臨床と研究。人生は推しごと中心。 Ⓒ アイコン・記事の素敵なイラストはⒸshigureni様よりお借りしています:https://www.shigureni.com/

マガジン

  • サブカる心理臨床と教育

    とある臨床心理士が、現代日本のサブカルチャーと心理臨床の接点についてマイペースに考察していきます。ごくごく主観的。

最近の記事

映画『成功したオタク』が映さなかったもの

ある日、「推し」が犯罪者になった たぶんこの映画に関する記事はほとんどこの枕言葉から始まる。そのくらいのパワーワードだが、同時に非常に身近なテーマでもある。 韓国のオ・セヨン監督によるドキュメンタリー映画『成功したオタク』が公開されたので早速観に行ってきた。 内容に関する説明は省く。予告編の動画を見てもらいたい。 今日は日本公開初日ということで、オ・セヨン監督のトーク(会場との質疑応答)も聴くことができた。監督はとてもチャーミングかつ知的な人に見えた。気づいたらサインを

    • ゼミ生と一緒にあんスタのキャラの生誕を祝った話

      11月、怒涛の卒業論文執筆シーズン到来である。 以前の記事でも書いたが、私は自分自身が大学や大学院でゼミを経験していないため、ゼミの運営というものがよくわかっていない。 それゆえ、ゼミ生が増えた今年の卒論執筆は大変なことになりそうである。 とはいえ最近の近況報告でもみんな、 「つらいことがあったんですけど、BLCD聴いて頑張ってます・・・!」 「私もBL漫画読んで乗り越えてます。今朝読んだ獣人ものが良くて~」 「ドームツアー当たりました(全員拍手)8公演入ります」 な

      • ゼミ生に「ムビナナ千秋楽ウィーク(応援上映)に行きました」と報告した話

        これまでのあらすじ 弊ゼミでは毎週、ゼミ生たちから簡単に近況報告をしてもらっている。 「友達と遊びに行きました」「ライブに行きました」「舞台に行きました」「推しが死にました(※2次元)」など、毎週さまざまな報告がある。 ※推しの死、というのは2次元であれ本当に辛いものである。 そんななか、5月頃から一人のゼミ生が「ムビナナに行ってきました」「ヤオトメが」としか言わなくなった。 ムビナナとは、『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiO

        • 自分からムビナナ(ドルビーシネマ)に行った話

          先日、ゼミ生からムビナナに誘われて行ったエピソードを書いたら、たくさん『スキ』をいただいた。 こんな何ものでもない感想文に・・・と、改めてムビナナこと『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(げきじょうばん あいどりっしゅせぶん らいぶふぉーびっと びよんど ざ ぴりおど)』の影響力を思い知った。 あと、軽い気持ちで関西の友人にムビナナを勧めたら、ミリ知らなのに娘さんと二人で感動しまくってDay1・Day2どちらも行き、アニメ

        映画『成功したオタク』が映さなかったもの

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        • サブカる心理臨床と教育
          18本

        記事

          ゼミ生からムビナナの応援上映(発声OK)に誘われて行った話

          ゼミというものがよく分からないでいる。 分からないままなんとなく運営している。 私の出身大学の学部(コース)に指導教員はいたが、ゼミはなかった。 たまに個別指導を受けに行くだけだった。 なので『ゼミで飲み会』『ゼミ合宿』『ゼミでバーベキュー』といったお楽しみ会的なものをした記憶がない。 職業柄、ゼミ配属によって学生と学生、学生と教員の距離感がバグり、おかしなことになってしまう例を色々と見てきた。そういうのは苦手だしやらかしたくもないので、私のゼミは基本的に「個人主義」を掲

          ゼミ生からムビナナの応援上映(発声OK)に誘われて行った話

          8か月かけてTHE FIRST SLAM DUNKを消化した話

          映画『THE FIRST SLAM DUNK』、もはや日本のみならず海外でも話題を席巻しているアニメーションです。 公開から8か月なので、もう全員見てるていで書きます。 ネタバレ必至です。 公開初日、「これは私の見たかった山王戦ではない!」 私はアラフォー、いわゆる週刊少年ジャンプ黄金期に(兄と折半して)ジャンプを毎週読んでいた世代です。 当時いちばん好きだったのは『幽☆遊☆白書』でしたが、『ドラゴンボール』も『SLAM DUNK』も毎週わくわくしながら読んでいました(

          8か月かけてTHE FIRST SLAM DUNKを消化した話

          サブカルチャーのこころ:オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた(ゼロ)

          『サブカルチャーのこころ オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた』(木立の文庫)、ご購入や感想などありがとうございます。 アフィリエイトとかじゃないので気軽にご購入ください。 Amazonもいいですが、楽天さんや、大型書店の店舗に置いてもらうのも嬉しいですね。あと、おしゃれな個人経営の本屋さんとかが置いてくださってるのもありがたいです。 ヴィレッジ〇ァンガードとか受注こないかな。 それと大〇書店さん。京都発祥の研究会が京都の出版社から出した本ですので、ぜひ〇垣書店さんに

          サブカルチャーのこころ:オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた(ゼロ)

          サブカルチャーのこころ:オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた

          みなさま、連休いかがお過ごしでしょうか。 私は元気に推しの舞台に通っております。 このたび、本が出ます(6月1日発売)。 『サブカルチャーのこころ: オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた』 384頁・2,420円(税込み)。分厚い、けど安い。 アフィリエイトとかじゃないので気軽に予約してください。 この本の特徴は、なんといっても「心理業界でほぼ無名の現役カウンセラーたちが12人集まって、33のサブカル的テーマと”こころ”との関連を読み解いている」という、闇鍋的なと

          サブカルチャーのこころ:オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた

          なぜベストを尽くさないのか

          イラスト@shigureniさま タイトルは日本科学技術大学教授上田次郎先生のご著書からです。 以前、任期付き雇用の暴力性について記事を書きました。 私は心理職の雇用に関心があります。自分が苦しんだからです。 任期付きの職場をいくつか経て、辞めるときのあの、クライエントに対するどうしようもない罪悪感と、自身への無力感を抱くことに私はもう疲れました。 もちろん何があるか分からない世の中なので確実なことは言えませんが、臨床家としていくら自己研鑽を積んだとて、現実的な将来の経済

          なぜベストを尽くさないのか

          都会の絵の具に着実に染まっている

          イラスト@shigureniさま 8月後半から9月にかけて「怒涛のお仕事×推し事月間」となった。 事前にスケジュールがそうなることは重々理解していたのだが、想像以上にハードだった。具体的には 1)成績つけ(大量の試験・レポート採点) 2)書き物 3)推しの舞台に通う 4)HiGH&LOW THE WORST CROSS完成披露試写会 5)研究会自主シンポジウム これらが入り乱れてなんかもう、めちゃくちゃだった。 いや、本当は1)と2)は8月前半に全部終わらせるつもりだった

          都会の絵の具に着実に染まっている

          Welcome to TOKYO

          イラスト:@shigureni様 突然ですが、わけあって移籍しました。 理由の一部(3割くらい)は前回書いた記事と関係してます。 まあ要するに、任期がなくならなかったことです。 誤解のないようにしたいのですが、前職で一緒に働いた方々には今も感謝しかないです。本当に良くしてもらったと感じています。 移籍の理由の4割は、もっとサブカルチャーと近い場所で臨床や研究をしたい、ということでした。そしてもっと推し活も充実させたい。東京で。 生粋の田舎生まれ・関西育ちの私が四十路前で

          Welcome to TOKYO

          “任期付き”の暴力性(心理職の場合)

          「職業というのは本来は愛の行為であるべきなんだ。便宜的な結婚みたいなものじゃなくて」村上春樹『日々移動する腎臓のかたちをした石』(『東京奇譚集』新潮社,2005) あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 昨年の10月に招待論文2本の締め切りがあってワークライフバランスぶっ壊れていたんですが、なんとか持ち直しました。どちらも校正は終わっているので、あとは発行と掲載を待つのみ。今年度は査読付論文が書けなかったけど論文2本はなんとかかたちにできたし、ご

          “任期付き”の暴力性(心理職の場合)

          ワークライフバランス、ぶっ壊れてます

          イラスト:ⓒshigureni様 11ヶ月も更新してなかったの…? うけるw いや…どうかな… 2021年何やってたかっていうと、年末はLDHのカウントダウンライブ見ながら年越しして、年始はコロナがやばくてチケットとってた推しの舞台も行かず(配信で見た)、おとなしく過ごしてた気がします。 3月になったら『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が封切りになって初日に半休とってSNS断ちして観に行ったんですが、もうさ、TVシリーズからリアルタイムで追いかけてるもんだから完結に感極ま

          ワークライフバランス、ぶっ壊れてます

          研究の進捗4

          イラスト:ⓒshigureni様 秋になり、推しの舞台の配信や上演が決まったりして、ようやく生きる気力が戻りつつある。 現場決まると気持ちが上向くっていうか、まあ軽躁状態なんかもしらんけど、あほみたいにチケットとって服とかもめっちゃ買ってしまう。というかチケットとれる前からホテル予約してしまう(Go Toでとても安かった)。 この頭が推し事でいっぱいになる感じ・・・ひさしぶり!!! だけど研究が忙しい。やってもやっても終わらない。終わりが見えない。 まずは調査の謝礼を

          研究の進捗4

          研究の進捗とユリイカ2020年9月号への雑感、など

          イラスト:ⓒshigureni様 ここ1年ほど取り組んでいた論文がようやく査読を通った。データも送ったし後は校正および掲載を待つのみ。おつかれさまでした。 この時点で「条件付き採択かな~」みたいなこと書いてて、実際査読者のコメントもそんなに厳しくなかった(気がする)。だからさくっと修正して出したんだけど、その後さらにもう一回修正が入って発狂しそうになった。突如現れる三人目の査読者。なんで?もともとの二人の査読者で意見割れたの??そして三人目の査読者の指摘がまたこれまでのコ

          研究の進捗とユリイカ2020年9月号への雑感、など

          ヴァイオレット・エヴァーガーデンとメンタライゼーション

          イラスト:ⓒshigureni様 暁佳奈によるライトノベルを原作に、2018年にTV放送された京都アニメーションが手掛けるアニメ、『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』。来月には新作映画が公開される。 美しく、精緻な世界である。予告だけで「絶対映画館で号泣するな…」という予想ができる。 アニメ好きの臨床心理士や公認心理師なら、話題になったことがあるのではないだろうか。個人的には「同業者全員に見てほしい」と思っている。それはたぶん、この作品が「心を知る」というプロセスをとて

          ヴァイオレット・エヴァーガーデンとメンタライゼーション