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映画愛の現在

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神戸映画資料館と小池照男さんの記憶──『映画愛の現在』関西初上映

神戸映画資料館と小池照男さんの記憶──『映画愛の現在』関西初上映

明日12月15日(金)から19日(火)まで、鳥取の自主上映活動を追ったドキュメンタリー『映画愛の現在』の第Ⅰ部と第Ⅱ部(2020)が神戸映画資料館で上映されます。「映画とは何か」ではなく「映画はどこにあるのか」を探し求める旅の映画。鳥取に縁のある人に限らず、映画が好きな人・好きだった人、映画館が身近だった人・遠かった人、幸福な映画体験の記憶がある人・辛い映画体験の記憶がある人、その他、何かしらの思

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あなたに映画を愛しているとは言わせないなんて言わせない

あなたに映画を愛しているとは言わせないなんて言わせない

2022年2月12日(土)に恵比寿映像祭で『映画愛の現在』三部作が上映される。「映画愛」と銘打ってはいるが、特定の「愛」のかたちを鑑賞者に押し付けることを意図したわけではない。むしろこの映画が訴えかけるのは次の一言だ。

「あなたに映画を愛しているとは言わせない」なんて、絶対に言わせない。

いびつな愛高校時代から個人制作の映画を撮り、作品論や作家論も書いてきたわたしにとって、映画を見ることはいつ

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見る場所を見る——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

見る場所を見る——アーティストによる鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

この1年間、集中的に行ってきたリサーチプロジェクトの成果発表を、来年2022年の1月〜2月にかけて実施することになりました。冬の寒い時期(雪が心配!)ですが、ぜひお越しくださいましたら幸いです。

第1部は2022年1月24日(月)〜1月30日(日)、アーティストClaraさんと共同で行う展覧会 。鳥取市内にかつてあった映画館とレンタルビデオショップをClaraさんによるイラストで再現する、いわば

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現時点プロジェクト『私はおぼえている』について

現時点プロジェクト『私はおぼえている』について

「特別ではない」「普通の」「ありふれた」「市井の」人々にこそ、ドキュメンタリーはカメラを向けるべきだという考え方がある。あるいは、何かしら「特別」な要素を持っている人物であっても、その人の「日常」や「普段」の姿を捉えなければならない、「素顔」や「人間」としての有り様を掘り下げなければならないという考え方がある。真摯で誠実で倫理的な態度のように思えるけれど、そこには大きな欺瞞もしくは矛盾がある。

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農民芸術の文脈と批評――宮沢賢治「農民芸術概論綱要」の続きを書く

農民芸術の文脈と批評――宮沢賢治「農民芸術概論綱要」の続きを書く

佐々木友輔『映画愛の現在 第Ⅰ部/壁の向こうで』パンフレット(揺動BOOKS01)収録、揺動、2020年、12〜17頁

鳥取銀河鉄道祭 『映画愛の現在』の制作は、鳥取県総合芸術文化祭・とりアート2019のメイン事業「鳥取銀河鉄道祭」の一環として始まった。公式ウェブサイトによれば、これは「宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』を題材にした音楽劇」であり、舞台公演のみならず、映像リサーチやワークショップ、フ

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鳥取で映画と愛について考える――『映画愛の現在』プロダクションノート

鳥取で映画と愛について考える――『映画愛の現在』プロダクションノート

佐々木友輔『映画愛の現在 第Ⅰ部/壁の向こうで』パンフレット(揺動BOOKS01)収録、揺動、2020年、6〜11頁

 映画はどこにあるのか 二〇一六年の春、大学の職を得て、鳥取で暮らすことになった。夜行バスに乗り込んで、三年間過ごした東京を離れる。鳥取市内には、鳥取シネマという映画館一館しかなかった。県内で見ても、東中西部にそれぞれ一館ずつ、合計三館しかなかった。鳥取シネマで見たい作品が見られ

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