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#44 夢☆のサークル活動

みなさんは大学時代に何かサークル活動をなさっていましたか?僕も大学4年生の時に少しだけしていました。でも「サークル活動」と聞いて多くの人が連想するものとは大分違っていました。今日はそんなサークル活動と、それが僕のキャリアにどう影響したかについて話します。



ジャズ研もオーケストラも門前払い

高校に入りたての頃から、「大学生になったら、ジャズサークルでフュージョンをやる!」と決めており、大学に行く理由も勉強するためというよりはフュージョンバンドをやるためでした。
 フュージョンというのは音楽の1ジャンルで、以前はクロスオーバーと呼ばれていた音楽ジャンルです。代表的なアーティストとしては、デイブ・グルーシンやリー・リトナー、日本では渡辺貞夫さんでしょうか。ジャズとの関連が深いですが、クラシックとの親和性もあると思います。

大学の講義要項もろくに読まずに、ジャズサークル(いわゆる「ジャズ研」)のドアを叩き、「新入生のササキと言います。フュージョンをやりたいので、入れてください!」と言いに行きました。高校生まではトランペットを吹いていましたが、大学ではサックスに移るつもりでいました。すると、

「うちは4ビートのモダンジャズだけだよ。フュージョンはやらない」

ジャズ研には入れてもらえなかった

と言われてしまいました。4ビートジャズとフュージョンはかなり異なる音楽であることはよく理解していたので、そのままジャズ研を後にしました。

*     *     *

数年後、クラシック音楽にも興味があったことから、オーボエで大学オーケストラに入ろうとするも、

「もう遅い。今入られると団の和を乱すから、遠慮してほしい」

オーケストラにも入れてもらえなかった

と言われ、結局オーケストラにも入れず。うーむ、これではやりたい音楽ができない……でもどうしても楽器がやりたいと思い、大学事務室にあることを聞きに行きました。


「みんなと一緒に」 が無理なら一人で

  僕:サークルを作りたいのですが、最低必要人数ってありますか?
事務員:特にありませんが……
  僕:じゃあ1人でも大丈夫ってことですね?
事務員:1人?制度的にはそうですが、1人でサークル活動をするんですか?

結局は1人でも大丈夫ということで、僕は「個人練習」という名称のサークルを作り、大学の教室を予約し、アルバイト代でオーボエを買い(ローンを組んで70万円!)練習を始めました。サークルで楽しく活動したり、友達を増やしたりしたいというよりも、楽器に触れたい、音楽に触れたいという純粋な気持ちだったので、練習場所さえあればよかったのです。管楽器は大きな音が出るので、学生アパートではとても吹けません。

大人数のサークルがいい部屋を最初におさえるので、僕が一人の「個人練習」で取れるのは薬品の匂いのする化学系の実験室でした。授業が終わった後の実験室にオーボエと譜面台を持ち込み、一人で練習する時間はとても楽しかったです。しかしサークル活動には顧問の先生が必要なので、形式的にお願いした顧問の先生のところへ、定期的に「教室使用届」に印をもらいに行っていました。思えば、その先生との出会いが後の人生を決めました。


オーボエから海外留学へ

先生:君は時々来るけれど、専攻は何だね?
 僕:英語教育です。
先生:そうか、海外に興味があるか。私は、アメリカで MA(修士号)と PhD(博士号)を取りました。君も専門を持ちなさい。できれば海外に出なさい。

「専門を持ちなさい」という言葉が耳に残りました。英語教育を専攻していると言ったにも関わらず、「専門を持ちなさい」と。その先生は聴覚障害学がご専門でしたが、私に何か伝えたかったのだと思います。その後も、「教室使用届」を持っていく度、アメリカ留学中の話を少しずつ聞かせてくれました。当時は、「海外留学なんてどうでもいい。それより楽器を触っていたい」と思っていました。しかし、先生の言葉は確実に頭に残っていて、その翌年生まれて初めて海外に行くことになるのです。

あの頃、よく話していたオーボエ仲間2人はふたりともプロ奏者となり、後にドイツのオーケストラで活躍しました。僕は、苦労して買った楽器は修士論文の調査旅費を工面するために売ってしまい(70万円 → 17万円になった😢)、オーボエからは遠ざかってしまいました。それでも、あの時の先生の「専門を持ちなさい」「海外に出なさい」という言葉が意識の奥底にあり、今回のドイツ留学に結びついたように思います。


四半世紀以上前のリード

ヘッダの写真は、手元に残っている当時(28年前!)のオーボエのリードです。見る人が見れば、糸の色と削り方から、どの先生に習っていたかがバレますね。
当時習っていた先生は、若い頃ドイツの音楽大学に留学されていましたが、まさか自分も後年ドイツに留学するとは思ってもいませんでした。

先生は、自分がドイツに住んでいた時の家の写真をレッスン室に飾っていらっしゃいました。僕も後年、ドイツで住んだ場所の写真を飾るのだろうか?

今日もお読みくださって、ありがとうございました🎷
(2023年8月27日)


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