佐々木暁洋

地域医療、健康格差に興味をもつ救急/集中治療医

佐々木暁洋

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    地域医療、健康格差に興味をもつ救急/集中治療医 医療政策の勉強のために大学院入学予定 <関連するキーワード> 救急、集中治療、ドクターヘリ、ドクターカー 公共政策、政策科学、医療政策 地域医療、在宅医療、公衆衛生 感染症、ガーナ、漢方、バドミントン 生き物全般、飼育栽培観察、植物、古生物 読書(生物、医療/医学、歴史、哲学、政治;特に貧困、格差、地方、まちづくり など) 東北-青森県-八戸市、関東-千葉県-南房総/東京都 <noteを始めるにあたってのおもい>  ERには

      • 政策過程論ノート①

        ※このnoteは、政策研究大学院大学での飯尾潤教授の講義を受けて、僕自身がとったノートをもとに記載しています。専門の方からみて間違えなどあるかもしれませんが、ご指摘いただけると幸いです※ 「政策過程論」とは? 政策過程論ときいてもなんのことを言っているかわからないと思います。 いくつか例を出してみます。(医療福祉関係の読者が比較的多いかと思うのでそのような例が中心となりますが…) 例えば、子宮頸がんワクチンの問題 医師らの中では「どうしてこんなに明確に科学が示しているこ

        • 「健康の社会的決定要因」への違和感

          修士論文のテーマとして、「健康の社会的決定要因」を選んだし、実際に「健康の社会的決定要因」という概念は非常に重要だと思う。 しかし、ずっとぬぐえない違和感があった。 健康主義:「満たされた死」の決定要因は射程範囲か?一つ目に、そして最も大事な違和感は、 「健康」ということがアウトカムとして設定されていることである。 結果的に、元気で、介護が必要なく、認知症ではない、ということがいつのまにか目的となっている。もちろん、それ自体は素晴らしいことなのだが、では認知症でも幸せに生活

          • 医師が政策研究大学院大学/GRIPS修士課程を終えた感想

            そもそも「公共政策」を勉強した理由と期待 もともと医師である僕がなぜ公共政策を勉強したか。通常、医師が社会/集団/マスへのアプローチについて勉強しようと思ったときには、多くの場合、「公衆衛生学」を学びます。そのため、まだ数が多いとまでは言えませんが、公衆衛生大学院にいき、公衆衛生学の修士号を取得する(Master of Public Health: MPH)という選択は徐々に普及しつつあります。 こういった中で、あえて公共政策を選んだ理由を以下に述べます。   ・政治力学や

            政策研究大学院大学卒業+9月からバーミンガム大学MPHに進学します!

            政策研究大学院大学/GRIPS 公共政策プログラム医療政策コースを修了しました! 修士(政策研究)をいただきつつ、成績優秀の一人としても表彰してもらえました。 特に春学期は、興味のある科目すべてを履修登録して、年間69単位と2回卒業できるくらいの単位をとりました。   久しぶりの学生生活で、授業をうけて勉強することがとても楽しく、時間のある今年は、溜まった本をたくさん読もうと思っていたのですが、 政策、政治、経済、財政、農業、外交、民俗学や文化人類学…など自分の興味のカバー範

            生物多様性保全型農業からみたブランド化戦略の限界と「公共財としての農業」

             農業従事者の人口減少および高齢化が著しく、農地面積の減少が問題となっている。新規就農や企業の参入を促進するためにも農業を成長産業とする工夫が行われ、新しいビジネスモデルが提示されている。大規模化によるコストダウンや、そこにクラウドなどの情報技術を活用したフードバリューチェーンの構築やスマート農業を組み合わせることはひとつの大きなビジネスモデルである。  同時に、農業には多面的機能がある。多面的機能には、防災機能、水資源や都市の環境を改善するインフラ機能、景観を維持する機能、

            政策研究大学院大学@秋学期の講義を紹介します

            秋学期ももう少しで折り返しなので、後期の授業の紹介 小規模な大学なのでいろいろ工夫の余地は感じるのだけど、 やっている内容や構想は共感するので、地方公務員主体だけではなく、もっと中央官庁も増えて、医療関係者も含め、政治家や実業家、NPOの人などいろんな人が出入りする大学になるといいな、と思っています。 GRIPSについて考えていることはまた卒業が近づいてきた時点にしますが。 前期の講義については別記事。 <夏学期>・医療政策特論I医療政策コース必修。夏の短期研修の方向けの

            ガーナ留学ブログの写し:モクセンナの話

            2012年大学4年生のときにネッタイシマカの研究のためにガーナに3か月程度留学していたことがありました。 そのときにいっしょに留学した同期とブログをしていて、ふと思い出し、そのときの文章を自分のところに残しておくためにこちらに移しました。 もとのブログ ↓ ********************************************************************************** ちょっと名前の話。まず名字。 この前「SASAKIだ」

            是是非非ということ

            賛成か、反対か。 賛成なら反対派を、反対なら賛成派をどのような形でも批判してよい、いや攻撃するんだ!という空気がある。 「ここまでの議論は正しい。でもこの批判は謙虚に聞いたほうがよいよ。」というような議論はあまりされない。 安倍さんは功罪あった。 成果もあった。批判されるべき点もあった。 「自由で開かれたインド太平洋」など国家大戦略に関係する部分はよく知らない人でも丁寧に説明されれば一定のコンセンサスをもって成果と合意できる点だと思う。 経済政策は評価の割れる部分だろう。

            コミュニティパワー:地域住民による再生可能エネルギー

            福島第一原子力発電所事故によって、原子力発電を含めた日本のエネルギー政策は大きく見直された。これを受けて再生可能エネルギー普及を目的に、再生可能エネルギー促進法によって2012年から固定買取価格制度が始まり、再生可能エネルギーは2018年で18%まで拡大している。また電力システム改革もこれを後押しして進められた。 さらに2020年、菅内閣は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを発表した。この中では再生可能エネルギーは2050年時点で50-60%の比率を目指すとされ

            「適切な居住」は基本的人権~貧困対策としての住宅政策の在り方~

             居住を得る権利は、衣食住といわれるように最低限度の生活を営むのに必要な権利の一つである。そのため、生活保護等の制度を通じて、生活困窮者に対するアプローチが行われているが、衣食が比較的供給しやすいものであるのに対して、住居は現金給付としてもその適切さの見極めが難しく、現物給付をするにも大がかりなものであり給付に関して実務上の困難さが存在する。戦後の日本の住宅政策は、中所得者以上や正規雇用者を対象にした持ち家社会を形成する経済政策としての側面が主であり「適切な居住の権利」の保

            館山市の財政からみる「緊縮財政」による地方財政再建の限界

             千葉県館山市は古くから続く城下町で、館山都市圏、館山商圏、南房総観光圏の中心都市であるが、人口減少および高齢化によって長期財政推計で2027年度に赤字となることが推測されている。将来負担比率などは2010年代後半の行政改革によって改善し、現在の財政指標は比較的安定しているが、この長期財政推計や基金積立残高の減少傾向をふまえて、行政改革委員会によってさらなる行政のスリム化を検討している。しかし、今後進む財政収支の悪化は人口を含む社会構造の変化によるものであり、さらなる行政改革

            行政/政府とは? 行政学授業メモ③

            ※地方自治+行政学の個人的な授業メモです。誤りなどあればご指摘いただければ幸いです※ <行政とは?> (関係性の中の政府) 政府とはなにか?を考えるときには政府間関係論=IGR をふまえなくて検討する必要がある →縦の関係(中央政府-地方政府) 横(地方政府間) ・現在はGovernmentからgovernanceへ、という流れ ※国から民間へ、というイメージも含むがそれだけではない→産官学金   (サービスの提供者としての政府) ①公共財:非競合性(だれかが消費しても他の

            前期授業@政策研究大学院大学

            『21世紀博物館工学』 文化政策コースは必修らしい。そのため、ほかのクラスだと関わることの少ない文化政策コースの学生と接点ができる。東大博物館の先生が担当。ものの見え方、みせ方、「なにかを展示保存する機関」としての博物館の在り方などを扱う。あまり考えたことのない内容であり、またそもそも文化関係の学問分野がどういう分野なのかを知りたくてとってみた。現地見学もあって、今年は東京タワーの展覧会にいって音響インスタレーション作品の解説やその技術的な話をしてもらった。各自が「これは展示

            予算編成の流れ 行政学授業メモ②

            ※地方自治+行政学の授業メモです。誤りなどあればご指摘いただければ幸いです※ <予算> 行政の機能で大事なことのひとつ=予算を編成すること 国の予算決定のサイクルの中で政策が決まるタイミングはだいたい決まっている 例えば、税制改正については12月頃に政府の方針がでる →実際に、地方行政を行う際には、その流れをみながら対応することが重要 ※コロナのような非常事態や、それに次いで総選挙は異なることがある※     <国の発想> →国は基本的に翌年度のことを考えている。(来年の予

            国発行の統計・白書の概要 行政学授業メモ①

            ※地方自治+行政学の授業メモです。誤りなどあればご指摘いただければ幸いです※ <白書> 白書は3種類に分類される ①法定白書:法律により国会への報告が義務付けられているもの →厚生労働白書、食育白書、防衛白書など ②法定外白書:法律に定めのない政府の白書のうち、閣議了解を得ることとされているもの →経済協力白書・ODA白書、小規模企業白書など ③上記以外の白書:各省庁の部局長以上の名において編集し、各省大臣、事務次官、外局の長の了承をえて公表するもの →入管白書など