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shino
2018年3月6日 23:04
「糠漬け食べたい」「……え?」「糠漬け食べたら、寝られる気がする」 絡まった足を引っこ抜き、奥でオレンジ色に照らされた玉簾をくぐった。ワンルームにしてはちょっと大きめのキッチン。料理なんて、全くしないはずなのに、いつだって綺麗に整頓されている。 シンク横の冷蔵庫を開けた。ひやっとした冷気がよれよれのTシャツの中に滑り込む。首のところをパタパタと仰ぐと、下顎から胸元へ玉の汗が滴り落ち
2018年2月27日 19:27
踵の吐き潰した上履きを脱ぐと、白い靴下に穴が空いていた。またやってしまった。下駄箱のスチール扉を開きながら、芋虫のように飛び出た小指を見下ろす。部活終わりで火照っているせいだろうか、薄暗くなった昇降口の床はやけにひんやりとしていて、触れたそこだけ気持ちよかった。「あのさ、依子」 すぐ横で液体の跳ねる音がした。顔を上げると、モカの胸元があった。小学校、いや中学生まではあたしの方が大きかった