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2024年9月の記事一覧

帰宅後、餃子を100個包む。え?! ひとりで?

帰宅後、餃子を100個包む。え?! ひとりで?

朝は、やる気に満ちあふれていた。

「今日の晩ごはんは、餃子よ」
朝からキッチンで餃子のタネを仕込みながら、私は餃子でビールを飲む自分の姿を想像しては、ニヤけていた。

想像の中の私は、現実の私より30%ほど脂肪がカットされ、顔面はテイクアウトの消費税分と同様に10%ほど美しさが上乗せされている。鏡を見るたびに、現実を知り落ち込む日々だが、鏡を見さえしなければ、楽しい日々だ。能天気脳バンザイ!

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仕事に行くのがダルい私と、学校に行きたくない次男。

仕事に行くのがダルい私と、学校に行きたくない次男。

朝っぱらから、我が家には不穏な空気が流れていた。

その時刻、7時58分。
そろそろ家を出なくては、遅刻してしまうギリギリの時間。

ああ、暑いし、仕事行くのだるいな。

そんなことを考えながら、玄関を出た。足元を見ると、アリが歩いていた。アリと目が合った気がした。アリが「間に合うの?」と聞いてきた気がして、私はこう答えた。

わりとギリギリッス

しょうもないダジャレが思いつくぐらいには、今日も

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夫がお取り寄せするものからしか得られない栄養がある

夫がお取り寄せするものからしか得られない栄養がある

一年近くになるだろうか。

夫はお取り寄せにハマっている。元々推し活をしていた彼だったが、コロナ禍で一気に推しとの距離が開いてしまい、現場に出向くとこがめっきり減った。推しに使わなくなったお小遣いを利用して、夫は自分の食べたいものをお取り寄せしている。

「いいの見つけた〜」
「週末は、これで海鮮丼だぜ」
「お得だった」

などと言いながら、堪えきれない喜びを口元に滲ませて、私にお取り寄せの報告を

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古傷が疼き始めた……

古傷が疼き始めた……

横を向くと、小学5年生の次男が右腕を伸ばしたり、曲げたりしていた。

「なんか腕が痛い。曲げるところが痛い」
訝しげな顔をして、肘の内側が痛いと訴えてくる。肘の内側の名前はなんと言うんだろうか。私は知らない。呼びかけたこともない。なかやまきんに君なら、コイツに親しげに話しかけるのかもしれないが、私はなかやまきんに君ではなかった。身近な場所なのに名前を知らなかったことに私は衝撃を受けた。注射を打って

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