サラリン_吃音論文

吃音当事者のサラリーマン。吃音で休職してしまったり、吃音で多くを失ってきた人生を何とか…

サラリン_吃音論文

吃音当事者のサラリーマン。吃音で休職してしまったり、吃音で多くを失ってきた人生を何とかしなければと思い、吃音や心理学研究などの文献を読み漁りながら改善を試みています。せっかくなので、自分用にまとめていた情報をここでも載せていけたらと思います。

最近の記事

吃音改善と認知行動療法③~暴露療法(エクスポージャー)~

はじめに以前の記事で認知行動療法の基本とコラム表まとめました。 認知行動療法は、不適切な思考や信念を特定し、それらをより現実的かつ機能的なものへと再構築することを目的としています。吃音においては、発話に対する恐怖や不安を和らげ、自己受容を促進するために特に有効です。この記事では、認知行動療法の実践的なワークの1つである暴露療法(エクスポージャー)についてまとめていきます。 暴露療法(エクスポージャー)とは暴露療法は、不安にさらされていると次第に慣れていくことを利用した治療

    • 吃音研究紹介~The Effect of Cognitive Behavioral Therapy in Reducing Social Anxiety Among Adult Stutters~

      本記事では、認知行動療法の効果を検証したThe Effect of Cognitive Behavioral Therapy in Reducing Social Anxiety Among Adult Stutters.を紹介します。 はじめに吃音は、発話の流暢さに影響を与える慢性的な障害であり、これにより多くの人が社交不安障害(SAD)を経験します。社交不安障害は、個人の社会的、教育的、職業的機能に大きな影響を与えます。本研究は、成人吃音者に対する認知行動療法(CBT)

      • 吃音研究紹介~Efficacy of Prolonged Speech Technique in Persian Persons with Severe Stuttering~

        はじめに吃音は、特に重度の場合、個人の社会生活や職業生活に深刻な影響を与えることがあります。本研究では、イランにおける重度吃音患者に対するProlonged Speech Technique( PST)の効果を検証しました。 PSTは、発話速度を遅くし、言葉の引き伸ばしや間を置くことで流暢さを向上させる治療法です。 研究の目的この研究では、PSTが重度吃音患者の発話流暢性にどのように影響するかについて、治療直後および治療終了後4ヶ月間の持続効果を検証しました。 方法参加者

        • 吃音研究紹介~A clinical training model for students: intensive treatment of stuttering using prolonged speech~

          この記事では、「A clinical training model for students: intensive treatment of stuttering using prolonged speech」という論文を簡単にまとめます。 研究背景教育ガイドラインと臨床教育の現状 ブルガリアの言語病理学の学生は、吃音治療に関して十分な訓練を受けておらず、治療に対する自信も不足していることが明らかになっています。本研究の主な目的は、ブルガリアの大学における言語病理学修士課

        吃音改善と認知行動療法③~暴露療法(エクスポージャー)~

          改善可能な吃音症状とは?

          はじめに私は以前まで「吃音を改善したいけど、本当に改善できるのだろうか…」と思っていましたが、多くの吃音研究や吃音に関する文献を読んできて、今では「吃音は改善できる」と確信しています。 先日Discordコミュニティ「吃音を改善したい人たちのコミュニティ」にて吃音に関する勉強会を行ったのですが、 吃音症状のメカニズムは大きく分けて2つあること 一方の改善は難しいかもしれないが、もう一方の改善は十分可能であること について、結構知られていないんだなと感じました。 (私も少

          改善可能な吃音症状とは?

          吃音改善と認知行動療法②~コラム法~

          はじめに先日の記事で認知行動療法の基本をまとめました。 認知行動療法は、不適切な思考や信念を特定し、それらをより現実的かつ機能的なものへと再構築することを目的としています。吃音においては、発話に対する恐怖や不安を和らげ、自己受容を促進するために特に有効です。この記事では、認知行動療法の実践的なワークの1つであるコラム法についてまとめていきます。 コラム法とはコラム法は認知行動療法のテクニックの1つで、自分の思考や感情、行動パターンを理解し、それを再構築するための方法です。

          吃音改善と認知行動療法②~コラム法~

          【海外吃音記事】Why Go To Speech Therapy?【まとめ+感想】

          アメリカの吃音団体であるTHE STUTTERING FOUNDATIONのWEBサイトにて、フロリダ大学のLisa Scott博士が為になる記事を投稿されていたので、それを和訳、要約していきます。 記事内容の和訳・要約はじめに 吃音のある10代の人や成人の多くは、少なくとも一度は言語療法を受けたことがあり、何年も治療を受けている人もいます。過去に吃音の治療を受けたことがあるからといって、再度治療を考えるべきではないということではありません。 吃音は時間の経過とともに変化

          【海外吃音記事】Why Go To Speech Therapy?【まとめ+感想】

          認知行動療法と吃音改善①~ABC理論とABCDE理論~

          はじめに吃音は言語面の問題だけでなく、心理的な問題も複合的に絡んだ問題であることを過去の記事でもまとめてきました。 ↓ このあたりの記事で少し触れています。 本記事では、吃音の心理的問題の対処および改善への重要なアプローチ方法である認知行動療法についてまとめていきます。 なお、認知行動療法についてはかなりのボリュームになると思うので、複数記事に分けてまとめます。 認知行動療法(CBT)とは認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)

          認知行動療法と吃音改善①~ABC理論とABCDE理論~

          Camperdown program(吃音改善トレーニング⑥)

          はじめにCamperdown programは、Australian Stuttering Research Center(オーストラリア吃音症研究センター)で開発された、12歳以上の学齢期や成人の吃音を治療するためのプログラムです。 このプログラムでは、ビデオなどの訓練モデルを使用して、吃りにくいゆっくりとした話し方が指導され、日常会話での吃音を減少させることを目的としています。 詳細に説明していくとかなりのボリュームになってしまうので、本記事では概略(なるべく詳しく)をま

          Camperdown program(吃音改善トレーニング⑥)

          The regulated-breathing method(吃音改善トレーニング⑤)

          はじめにこれまで発話訓練として、Prolonged speechに関連した記事を4本投稿してきました。 この記事はそれとはまた別のThe regulated-breathing method(RB)についてまとめました。個人的にもかなり重宝し、助けられた方法ですので参考になりましたら幸いです。 The regulated-breathing method(RB)とはThe regulated-breathing method(RB) は、吃⾳発生時と逆の呼吸パターン(気流

          The regulated-breathing method(吃音改善トレーニング⑤)

          吃音関係で役立つリンク集(随時更新)

          はじめに吃音関連の情報について、ネットでいくつか見かけますが、情報が少なかったり、個人の感想(バイアス)が入っているものも見かけます。 そこで、私が今まで色々調べた中で、分かりやすく、かつ非常に参考になるサイト等のリンクをまとめていこうと思います。 ※あくまで私個人の主観になりますが、できるかぎり客観的またはエビデンスのあるものを選んでいます。 私が選ぶ以上、多少バイアスが入ってしまうと思いますがお許しください。 また、幼児期の対応や発話訓練、認知行動療法などは別の機会にま

          吃音関係で役立つリンク集(随時更新)

          Soft contacts (吃音改善トレーニング④)

          Soft contactsとは吃音は、舌や唇の筋肉の緊張が強すぎるときによく起こります。 吃音者は、無理やり発音しようとして余計な力を使っていることがあります。 例えば、"p "の音を出そうとするとき、唇を力いっぱい入れているかもしれません。 Soft contactsは、light articulatory contactsとも呼ばれ、発声時に舌や唇を軽く動かすテクニックです。舌や唇の緊張を和らげることで、音から音への流れをスムーズにすることができます。練習を重ねるうちに

          Soft contacts (吃音改善トレーニング④)

          Easy onsets (吃音改善トレーニング③)

          吃音改善において、言語・認知等、さまざまな方向からのアプローチが必要になります。こちらについては下記記事にて解説しております。 また、先日Prolonged SpeechとContinuous Phonationについて解説しました。 今回は、上記と併せて行うとより効果的な訓練法について紹介します。 Easy onsets (gentle voice onsets)Easy onsets (gentle voice onsets)は、単語の最初に来る母音を出すためのテク

          Easy onsets (吃音改善トレーニング③)

          Continuous Phonation(吃音改善トレーニング②)

          吃音改善において、言語・認知等、さまざまな方向からのアプローチが必要になります。こちらについては下記記事にて解説しております。 また、先日Prolonged Speechについて解説しました。 今回は、Prolonged Speechと併せて行うとより効果的な訓練法について紹介します。 Continuous Phonation音声は有声音と無声音の組み合わせで構成されています。 声帯を振動させることで有声音(例えば "z"、"d"、"g"、母音)を出します。 声を出すと

          Continuous Phonation(吃音改善トレーニング②)

          Prolonged Speech(吃音改善トレーニング①)

          吃音改善において、言語・認知等、さまざまな方向からのアプローチが必要になります。こちらについては下記記事にて解説しております。 この記事では、言語面に当たる流暢性トレーニングであるProlonged Speechについて、イギリスの言語聴覚士さんのウェブサイトや論文等から得られた情報をまとめていきます。 Prolonged SpeechProlonged Speechは、各音声を通常よりも少し長めに伸ばす流暢性テクニックです。 力みのない発話パターンを身に付けることがメイ

          Prolonged Speech(吃音改善トレーニング①)

          つらい緊張や不安に効く!科学的対処法

          不安や緊張に悩まされる人は多いかと思います。特に苦手な場面や大勢の前などは、緊張で正気ではいられない方もいるかもしれません。 この記事では、不安や緊張を抑えることができる科学的な方法を挙げ、私が日常の場面でも利用しやすいようにカスタマイズした方法をまとめます。 やり方早速ですが、私がカスタマイズした不安・緊張解消法は以下の通りです。 ①背筋を伸ばす →頭のてっぺんから糸で吊られている感覚 ②漸進的筋弛緩法(簡易版) →全身で5秒ほどグッと力んで、一気に力を抜く ③ボックス

          つらい緊張や不安に効く!科学的対処法