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【海外吃音記事】Why Go To Speech Therapy?【まとめ+感想】

アメリカの吃音団体であるTHE STUTTERING FOUNDATIONのWEBサイトにて、フロリダ大学のLisa Scott博士が為になる記事を投稿されていたので、それを和訳、要約していきます。

記事内容の和訳・要約

はじめに

吃音のある10代の人や成人の多くは、少なくとも一度は言語療法を受けたことがあり、何年も治療を受けている人もいます。過去に吃音の治療を受けたことがあるからといって、再度治療を考えるべきではないということではありません。
吃音は時間の経過とともに変化したり、新しい経験をすることによって自分の話し方に対する感情や態度が変化することはよくあることです。
治療を受ける動機について明確な考えを持つことが重要です。

言語聴覚士の選択

吃音について知識が豊富な言語聴覚士を見つけることが、治療成功の鍵です。専門性が治療の成功に直接影響を与えます。言語聴覚士には下記内容を確認することをおすすめし、その言語聴覚士が信頼できるかを見極めることが重要です。

・「吃音の治療にどの程度慣れているか?」
一部の言語聴覚士は吃音の治療に慣れていないため、これは重要な質問になります。

・「吃音のある10代や大人を何人担当したことがありますか?」
これは、その言語聴覚士が、あなたが必要とする経験を持っているかどうかを判断するのに役立ちます。

・「吃音治療の主な目標は何だと思いますか?」
これは、言語聴覚士が考えるゴールがあなたの考えと一致するかどうかを判断するのに役立ちます。

・「言語療法ではどのようなアプローチを用いますか?セラピーはどのくらいの頻度で予定されていますか?」
セラピーの種類によっては、集中的なスケジュール(つまり、数週間にわたって毎日数時間)で通うのが最も効果的な場合もあるからです。言語聴覚士が提示するセラピーのスケジュールが、仕事や家庭の事情であなたに合わないこともあります。このことを前もって知っておくことが大切です。

治療の量や期間 

吃音治療の量と期間は互いに関係しており、人によって異なります。どの程度の治療が必要で、どれくらいの頻度で治療を行うかについては、吃音の評価を受けてから決定します。
評価には通常2時間から4時間かかります。評価が終了したら、言語聴覚士が結果を説明し、二人でセラピーの期間と頻度について考えます。セラピーの期間と量は、あなたの目標、セラピー自体の種類、吃音の重さによって異なります。

集中プログラムでは3週間で40時間など、決められた期間内に標準的な量のセラピーを行うセラピープログラムもあります。
しかし、多くの人にとって、長年にわたって蓄積された吃音に対する否定的な感情を克服するには、もっと長い期間が必要です。
このような場合、集中治療は吃音の治療に適切なアプローチではないかもしれない。また、言語聴覚士によっては集中治療を行わない場合もあることを覚えておいてください。

これらの要因があなたの状況に当てはまる場合、週に1、2回、1時間のセラピーを数ヶ月、あるいは1年かけて受けることをお勧めします。
一般に、吃音の長期的な変化を求める成人の多くは、週2回のセラピーに6ヶ月から18ヶ月通うことになります。

成功への期待

私たちは、吃音治療が自分の助けになるかどうか疑っている多くの人々から話を聞きます。その理由は、何年も前にセラピーを受けたものの成功が限定的であったり、嫌な経験をしたためであったり、吃音が以前より悪化しているためであったりします。
ずっと吃音があった場合、吃音が完全になくすことは難しいですが、吃音に詳しい言語聴覚士はほとんどの場合、吃音のある大人や10代の若者のコミュニケーション能力を前向きに変化させる手助けをすることができます。

言語聴覚士と協力して目標を設定すると同時に、成功の基準も設定することになります。

治療の目標

10代から成人の吃音治療は、通常、長年の言語行動、感情、会話やコミュニケーション全般に関する姿勢を変えることを意味します。そのため、治療の期間や種類は目標によって大きく異なります。

10代と成人の治療目標例には、以下のようなものがあります。

①吃音の頻度を減らす
②吃音の緊張や葛藤を減らす
③言葉や状況の回避を減らす
④吃音についてもっと知る
⑤アイコンタクトや言い回しなど、効果的なコミュニケーションスキルを使用する

目標が長期的な変化に関するものか、就職面接など特定の短期的なニーズを満たすためのものかを判断します。吃音に詳しい言語聴覚士と協力することで、個人的な目標を明確にすることができます。

個人的感想

①言語聴覚士の選択

吃音に詳しい言語聴覚士はやはり限られるようで、治療を受ける当事者側も主体的に言語聴覚士を選ぶ必要があるようです。
言語聴覚士だったら全員大丈夫というわけでもなく、経験や知識の有無は確認した方が良さそうです。
こういうことは今回の件に限らず、美容師さんとかFPさんとか税理士さんとかリフォーム会社とかと同じで、どういうものが得意とかを確認してからお願いしますよね。
だから治療を受ける側が選ぶというのも確かにある意味当然かなと思いました。

私は勝手に「医師(言語聴覚士)は皆同じ能力を持っている」という先入観を持ってしまうことが多いのですが、改めて考えると他のプロフェッショナルな職種の方も、ちゃんと選んでからお願いしてるな…と思いました。

またゴールに関しても、例えば「吃りを低減させる」のか「吃りの低減はせず受容する」のか、人によって考え方が違うと思うので、自分が求めるものと言語聴覚士が求めるものを一致していないと意味がなくなってしまうなと思いました。

②期間と量

ここでは詳しく述べられてはいませんが、一般的な人が吃音改善に取り組む期間として「6ヶ月から18ヶ月通うことになる」と述べられています。
吃音改善は早くて半年、長くて数年かかるくらいの覚悟を持っておく必要があるかもしれません。

「1週間、1か月やってみたけどダメだった」という経験をして「吃音は治らない」と思ってしまうことがあるかと思いますが(私もあります)、このことから考えると全然期間が足りませんね…

③目標

目標設定はかなり大事だと思います。目標がないといつまで経っても改善を確認できなかったりモチベーションが続かなくなると思います。
内容によってやることが変わってくるので、目標を定め、適切な方法を選択し、優先順位などを立てて改善を行うことがより効果的と考えます。

引用元

1)Why Go To Speech Therapy?

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