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Soft contacts (吃音改善トレーニング④)

Soft contactsとは

吃音は、舌や唇の筋肉の緊張が強すぎるときによく起こります。
吃音者は、無理やり発音しようとして余計な力を使っていることがあります。
例えば、"p "の音を出そうとするとき、唇を力いっぱい入れているかもしれません。

Soft contactsは、light articulatory contactsとも呼ばれ、発声時に舌や唇を軽く動かすテクニックです。舌や唇の緊張を和らげることで、音から音への流れをスムーズにすることができます。練習を重ねるうちに、唇や舌の緊張をほとんど感じることなく話すことができるようになります。

Soft contactsは、子音(特に空気の流れを妨げるような音)の発音に役立つ方法です。Soft contactsと以前紹介したEasy onsetsと呼ばれる別のテクニックには類似点がありますが、Easy onsetsは子音ではなく母音を出すのに役立ちます。

例として、Soft contactsを使って "p "と "t "を発音する方法を説明していきます。
これらの音を柔らかく発音する方法を理解したら、他の発音の練習に移っていきます。自分の声を録音して聞き返し、子音がやわらかく聞こえるかチェックするのも良い方法です。

Pの発音の例

①単一子音の練習

"P(ぷ)"という音を言ってみましょう。
唇が合わさり、空気圧が高まり、"p "が発音されるときに唇から空気がはじけるのを感じるでしょう。
このような圧力と空気の破裂は、すべての破裂音に見られます。

次に、もう一度 "p "と言ってみてください。
今度は、音を出すために必要最小限の緊張・収縮を使うようにしてください。唇と唇の間に、わずかな穏やかな接触を感じるだけでしょう。

唇と舌をつま先立ちにするようなイメージで、音を出すために最も優しい動きだけを使いながら、Soft contactsを行うのが良い形です。

あるいは、舌の上や唇の間に小さな繊細な泡をイメージするのもよいでしょう。
このようにして "p "を出すと、唇の後ろの空気圧がかなり低くなります。
この方法で "p "を出すと、"p "はより柔らかく、より静かに聞こえるでしょう。
最初はうまく聞こえなくても、練習を重ねるうちに、"p "と聞き取れるようになります。

②母音を加える

”p "の音の後に母音を加えてみてください。
最初の音はできるだけ柔らかく、最小限の力で行ってください。

・ぱ
・ぴ
・ぷ
・ぺ
・ぽ

③単語で練習

単語の最初で、柔らかい "p "の音を出してみましょう。

・パイナップル
・パーキング
・ピクニック
・プール
など

④文章で練習

いくつかの "p "の音を使った文で試してみましょう。
Chat GPTに文章を作ってもらいました↓

「ピーターはピアノの前に座り、穏やかなメロディを奏で始めた。彼の隣で、パトリシアはピンク色のペンで日記を書いていた。外では、子供たちがポプラの木の下でピクニックを楽しんでおり、ピーチの香りが漂ってきた。午後には、ピーターとパトリシアはプロムナードを散歩する計画を立てていた。パステル色の空の下、二人はプラチナ色の海を眺めながら、未来についてポジティブな話で盛り上がった。」

Tの発音の例

①単一子音の練習

"T(とぅ) "の音を出してみます。
舌先が歯のすぐ後ろの口蓋に接触するのを感じ、その後、空気圧が高まり、"t "の発音とともに解放されます。

舌と口蓋をできるだけソフトに接触させて、"t "の音を出す練習をします。
この場合、"t "は "ts "のように聞こえるかもしれません。

②母音を加える

" t "の音の後に母音を加えてみます。
最初の音はできるだけ柔らかく、最小限の力で行います。

・た
・ち
・つ
・て
・と

③単語で練習

単語の最初で、柔らかい " t "の音を出してみましょう。

・タンバリン
・地球
・釣り
・テニス
・東京

④文章で練習

いくつかの " t "の音を使った文を試してみましょう。
Chat GPTに文章を作ってもらいました↓

「たくさんのたぬきがたわむれる田んぼのそば、たいへん賑やかな光景が広がっていました。たまにはたい焼きを食べながら、たのしい時間を過ごす子どもたち。その中で、老人がたくみに竹細工をしています。彼は、たびたび子どもたちに向かって、たいせつなことを伝えます。「たゆまぬ努力が大事だ」と。その言葉に、子どもたちはたちまち真剣な表情に。たいそう退屈な日常ですが、たしかな幸せがここにはあります。たとえ小さなことでも、たいせつにする心が、たくさんの笑顔を生み出しているのです。」

他の子音でも練習する

これと同じことを他の音でも行ってみましょう。
それぞれの場合において、その音を出すために、唇や舌が口の中でどのようになっているかに注意してください。

以下の子音は、Soft contactsが役に立つ子音です。

・p
・b
・t
・d
・k
・g
・f
・v
・th
・s
・z
・sh
・ch
・j

モノローグで練習

Soft contactsに慣れたら、モノローグで使ってみます。
特に、吃りやすいと思われる単語やフレーズの冒頭の子音にSoft contactsを使用してみましょう。

まとめ

Soft contactsは、子音の発音をサポートする方法で、Easy onsetsと組み合わせたら、基本的な言葉はすべてカバーできます。

過去記事でもお伝えした通り、吃音者は長い間無理やり声を出すようにしてしまったことにより、発話器官に無駄な緊張を与えてしまい、それが癖になっています。これらのテクニックを使用することで、自分本来のリラックスした状態に近い話し方に修正していくことができます。

毎度おなじみになりますが、一朝一夕では習得できないものなので、粘り強く継続していくことがカギとなります。

参考
1)STUTTERING THERAPY ONLINE
​2)Bothe, K., Davidow, J.H., Bramlett, R.E., & Ingham, R.J. (2006). Stuttering treatment research 1970-2005: I. Systematic review incorporating trial quality assessment of behavioural, cognitive and related approaches. American Journal of Speech-Language Pathology, 15(4), 321-341
​3)Max, L. & Caruso, A. J. (1997). Contemporary techniques for establishing fluency in the treatment of adults who stutter. ​Contemporary Issues in Communication Science and Disorders, 24, 45-52
4)A Packman , M Onslow, J van Doorn Prolonged speech and modification of stuttering: perceptual, acoustic, and electroglottographic data
5)K. Priyanka, Santosh(2019) Maruthy Cross-linguistic generalization of fluency to untreated language in bilingual adults who stutter
6)Jason H Davidow, Anne K Bothe, Richard D Andreatta, Jun Ye Measurement of phonated intervals during four fluency-inducing conditions


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