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Easy onsets (吃音改善トレーニング③)

吃音改善において、言語・認知等、さまざまな方向からのアプローチが必要になります。こちらについては下記記事にて解説しております。

また、先日Prolonged SpeechContinuous Phonationについて解説しました。

今回は、上記と併せて行うとより効果的な訓練法について紹介します。

Easy onsets (gentle voice onsets)

Easy onsets (gentle voice onsets)は、単語の最初に来る母音を出すためのテクニックです。

Continuous Phonationの記事にて、母音は声帯が振動することをお伝えしましたが、声帯が急に動いたり、声帯が過剰に緊張したりすると、単語やフレーズの出だしで連発、難発などの吃音が生じることがあります。

Easy onsets では、まず最初に息を「ふ~」と吐き出し、それから声帯を徐々に動かしていきます。

" h "は無声音であり、これを単語の最初に加えることで、母音を発するときに声帯が閉じている状態から突然振動する状態にならなくなり、動き出しがスムーズになります。

例えば、"after "という単語は、Easy onsets を使うと "hhhhhafter "のように発音されます。
”ありがとうございます”だと、”hhhhはりがとうございます”という感じです。

Easy onsetsは、Soft contacts と呼ばれる別のテクニックに似ていますが、Easy onsetsは母音の発声テクニックで、Soft contacts は子音の発声を助けるために使われます(Soft contacts は別記事にて解説します)。

Easy onsetsの練習

母音を使った練習

まず、静かに息を吐くことから始めます。
そうすることで、 "hhhhh(ふ~~~) "という静かで小さい音が出ます。
強い音ではなく、声(声帯の振動)もまだオンになってはいけません。

”hhhhheee(hhhひぃぃぃ) "というように、ゆっくりと母音を出します。
発声は非常にゆっくりと行い、”h”はなるべく伸ばすようにして練習します。

単語での練習

上記のテクニックを、母音で始まる単語に応用してみます。
母音で始まるフレーズ、特に自分がよく使うフレーズや吃りそうなフレーズを思い浮かべてみてください。

例:おはようございます、ありがとうございます、お電話ありがとうございます、お先に失礼します、お疲れ様です、お待たせいたしました など

これらのフレーズをEasy onsetsを使って言うのを録音し、聞き返して、テクニックが使えているかチェックしてみましょう。

Easy onsetsの長さを短くする

母音の前の "h "の音の大きさと長さを調整していきます。
練習を重ねるうちに、"h "の音を小さくしたり、あまり長くしないように調整していきます。

このテクニックを試しながら録音を続け、自分に合ったEasy onsetsを身に付けていきます。

会話での練習

Easy onsetsが身に付いてきたら、会話や実際の場面で試していきます。大体の場合は、不安や緊張で思うように体が動かず、うまくいかないと思います。しかしここで挫折せず、チャレンジを継続することがとても重要です。継続すれば実戦でも少しずつEasy onsetsを使用できる頻度が増え、発話が楽になっていきます。

まとめ

Easy onsetsは、母音の発音に非常に役立つ方法です。日本では挨拶や敬語などで母音を使う頻度が多く、苦手意識がある人が多いと思います。母音から始まる言葉が言えるようになるだけで、ずいぶん生活の質が上がる人が多いのではないでしょうか。私もこの方法で母音が言えるようになってきて、「おはようございます」や「お疲れ様です」などの今まで言えなかった挨拶が言えるようになり、ストレスもかなり減って、生活の質がかなり向上しました。
他のテクニック同様練習を繰り返し、習得を目指しましょう。

参考
1)STUTTERING THERAPY ONLINE
​2)Bothe, K., Davidow, J.H., Bramlett, R.E., & Ingham, R.J. (2006). Stuttering treatment research 1970-2005: I. Systematic review incorporating trial quality assessment of behavioural, cognitive and related approaches. American Journal of Speech-Language Pathology, 15(4), 321-341
​3)Max, L. & Caruso, A. J. (1997). Contemporary techniques for establishing fluency in the treatment of adults who stutter. ​Contemporary Issues in Communication Science and Disorders, 24, 45-52
4)A Packman , M Onslow, J van Doorn Prolonged speech and modification of stuttering: perceptual, acoustic, and electroglottographic data
5)K. Priyanka, Santosh(2019) Maruthy Cross-linguistic generalization of fluency to untreated language in bilingual adults who stutter
6)Jason H Davidow, Anne K Bothe, Richard D Andreatta, Jun Ye Measurement of phonated intervals during four fluency-inducing conditions

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