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Continuous Phonation(吃音改善トレーニング②)

吃音改善において、言語・認知等、さまざまな方向からのアプローチが必要になります。こちらについては下記記事にて解説しております。

また、先日Prolonged Speechについて解説しました。

今回は、Prolonged Speechと併せて行うとより効果的な訓練法について紹介します。

Continuous Phonation

音声は有声音と無声音の組み合わせで構成されています。
声帯を振動させることで有声音(例えば "z"、"d"、"g"、母音)を出します。
声を出すときに声帯に指を当ててみると、話すたびに振動がオン・オフするのが分かると思います。この感覚を感じてみてください。

例えば「あー」と言うと、声帯が振動していることがわかると思います。
他にも「すー」と言うときに「ssssssssすううううううう」というように子音と母音をずらして言ってみると分かりやすいかもしれません。

吃音は、声帯の動きと他の発話の動きを調整しようとするときによく起こります。
Continuous Phonationは、発声中ずっと声帯を振動させ続けるテクニックで、これにより吃音を軽減することが可能になります。

Continuous Phonationのイメージ

自分の声帯を車のエンジンに見立ててみます。
車のエンジンは常に動かしておくことで、スタートや動き全体がスムーズになります。これと同じように発声の場合でも、声帯を文章全体を通して振動させておくことで、スムーズに声が出やすくなります。
振動は強いときもあれば弱いときもありますが、Continuous Phonationは話す間、エンジンをかけ続けるようなイメージになります。

Continuous Phonationの練習

①単語で練習

"pocket(ポケット)"という単語を言ってみます。この単語を言うときに声帯を触ってみて、2つの短い声帯の振動があることに注意してください。

この振動は有声音の時に起こっています。
この場合は2つの母音 "o "と "e "です。

指を声帯に当てたままにして、もう一度 "pocket "という単語を言ってみてください。今度は意識的に、全体を通して声帯が振動し続けるようにしてください。

そうすると子音が変化し、"bo-ged(ボゲッド)"のような発音になります。

※日常会話で実際にこのように話すわけではありませんが、この時点では大げさに練習しておく方が、イメージや感覚を掴みやすくなります。

短いフレーズで練習

日常的に使うフレーズで練習します。
その際、声帯を指で押さえて、振動がずっと続くようにしてください。

例:おはようございます、ありがとうございます、お疲れ様です、お先に失礼します、お電話ありがとうございます など

文章で練習

文章を音読し、振動を継続させる練習をします。このとき、自分の声を録音しておきましょう。聞き返して、最後までContinuous Phonationで読めているかチェックします。

モノローグで練習

Continuous Phonationを使った音読に自信がついたら、このテクニックを使ってモノローグ(一人会話)を話してみます。その際、声帯の振動を維持するように心がけてください。
自分の声を録音して聞き返し、テクニックをチェックしましょう。

会話で練習

モノローグでContinuous Phonationの練習ができるようになったら、今度は会話で練習をしてみます。会話中ずっと声帯の振動を維持するようにします。

最初は難しいですが、Continuous Phonationができていないことに気づいたら、振動を維持するようにもう一度試してみてください。
どんな流暢性テクニックも、使えるようになるには長い時間とたくさんの練習が必要になります。

Continuous Phonationの練習を続けるうちに、より自然な発音ができるようになります。そのテクニックを使っている自分の声を録音し、聞き返すようにしましょう。

まとめ

Continuous Phonationは声帯をずっと振動させ続ける方法で、吃音の頻度を低減させることができます。人は声帯を振動させることで声を出し、会話をすることができますが、吃音の人は声帯の振動が止まってしまったり、つまづいてしまうことが多いため、Continuous Phonationを意識して習得することで、流暢性の向上が期待されます。
とはいえ、習得は一朝一夕ではできないので、地道な反復練習と実践を長期間継続する努力は必要不可欠です。

参考
1)STUTTERING THERAPY ONLINE
​2)Bothe, K., Davidow, J.H., Bramlett, R.E., & Ingham, R.J. (2006). Stuttering treatment research 1970-2005: I. Systematic review incorporating trial quality assessment of behavioural, cognitive and related approaches. American Journal of Speech-Language Pathology, 15(4), 321-341
​3)Max, L. & Caruso, A. J. (1997). Contemporary techniques for establishing fluency in the treatment of adults who stutter. ​Contemporary Issues in Communication Science and Disorders, 24, 45-52
4)A Packman , M Onslow, J van Doorn Prolonged speech and modification of stuttering: perceptual, acoustic, and electroglottographic data
5)K. Priyanka, Santosh(2019) Maruthy Cross-linguistic generalization of fluency to untreated language in bilingual adults who stutter
6)Jason H Davidow, Anne K Bothe, Richard D Andreatta, Jun Ye Measurement of phonated intervals during four fluency-inducing conditions


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