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吃音関係で役立つリンク集(随時更新)

はじめに

吃音関連の情報について、ネットで色々調べようと思っても、望んだ情報がないことをずっと感じていました。
私は論文や海外文献を通して吃音の勉強をしてきましたが、やはり難しいところがあります。
そこで、私が今まで色々調べた中で、分かりやすく、かつ非常に参考になるサイト等のリンクをまとめていこうと思います。

また、幼児期の対応や発話訓練、認知行動療法などは別の機会にまとめようと思います。


全吃音関係者向け

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト

こちらは国立障害者リハビリテーションセンターや大学の先生がまとめられた吃音情報サイトです。細かい情報まではまとめられていませんが、概要が分かりやすくまとめられています。
ちょっと大変ですけど、全文読んでいただきたいサイトです。

下記Q&Aもあり、非常に参考になるかと思います。

その中で、ネットなどで一般的に言われていることとかなり違う情報もあるので、いくつか抜粋します。

治療の中心は,環境調整,言語訓練,カウンセリング,心理療法・行動療法である。どの患者にも一様に有効である治療法はないので,患者に応じて(しばしば組み合わせて)選択することで、ある程度の有効率が得られることが多い。

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト

古くには、親の育て方やかかわり方(子どもの周りの環境)が原因だと言われた時代もありました。しかし研究が進み、現在では、ことばがつっかえやすい特徴を子ども自身がもともと持っていること(つまり子どもの体質、例えば「ぜんそくになりやすい」など)が大きく影響していると言われています。また、急速にことばが発達する2〜4歳頃に吃音が多く見られることから、発達も関連していると考えられています。万が一吃音がみられても、お父さん・お母さんが「自分の育て方が悪かったから吃音になったのではないか?」と思う必要はありません。

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト

吃音があるかどうかに関係なく、小学校低学年の時期に、正しい発音で話す能力(「構音」と呼びます)がだいたい完成します(幼児らしい舌足らずのような発音がなくなる頃です)。この頃までに、つっかえる話し方(例えれば、あまり効率的ではない泳ぎ方)が定着して(クセづいて)しまうと、それを自分で変えることは難しくなってきます。

幼児期は言語の学習期なので、自然に治る力も大きく、治療が必要な場合も、ほんの少しの手助けで改善することが多いのですが、小学校の中学年頃より後は、自然に治ることが少なくなります。ただし、治療を受けなくても自分で治したという大人の方もけっこうおられます(そのことを自分から言わない限りわかりません)。

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト

欧米では、吃音が出てから1年くらいは待つが、5歳頃までには治療を始めることとされています。幼児期には治療の有効率が高いからです。とは言え、幼児期は吃音が自然に治ってしまうことも多いため、日本では専門家に相談しても、比較的症状が軽い場合は、「様子を見てください」と言われて治療を受けられないことがあります(特に満5歳までは)。これよって、「専門家に見捨てられた」と感じる親御さんもいらっしゃるようですが、そうではありません。この言葉は、「もうこの子は見る必要がない」という意味ではなく、「ほとんどの場合は自然治癒するが、そうでないようなら再度来てください」という意味です。

就学の1年半前になっても吃音が軽くなる様子もなく続いていたり、逆に悪化したり、本人が話す時に困ったり苦しんでいるような様子があれば、再度、専門家に相談してください。
 また、悪化しなくても軽くもならずに続いているようなら、親御さんだけで様子を見るのではなく、数ヶ月に一度でも専門家と一緒に様子を見て、治療が必要な時期を判断するのが理想的です。
 ただし、このような対応方法は、現在、それぞれの専門家に任されていて、標準がありません。そこで、本研究では、吃音診療のガイドラインを作成することにしています。これによって、幼児期の吃音診療が円滑に行われるようになることを期待しています。

幼児期は自然治癒も多いですが、治療も有効率が高い時期です。しかし、8歳頃からは吃音が治りにくくなると言われていて、これ以降、専門家の治療によらずに、自然に、あるいは本人の努力で治る人は、半分位だと言われています。

治りやすい幼児期に治らなくても、その後も(大人になっても)、いつでも治療を受けて改善することは可能です。一方、小学校以降では、治療は本人がその気になって練習などをしないとできないので、周囲の希望だけでは治療はできません。

学校生活や職場で不都合があるとか、精神的に吃音が悪い影響を与えているようであれば、治療を早目に始めることも選択肢になります。

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト

「合理的」とは、雇用主に過大な負担を生じさせない範囲で、という意味です。業種によっては(また、会社によっても)合理的配慮の範囲が狭いことがあります。

 例えば、「電車の車掌になりたいが、アナウンスをしないでいいように配慮して欲しい」という要望は、アナウンスをする車掌をもう1人余分に乗車させないといけなくなるので、会社に過度の負担を求めることになり、「合理的」ではないと判断されると思われます。どうしても車内アナウンスができない場合は、「車掌業務を免じる代わりに事務室での会計業務を担当する」などであれば合理的配慮の範囲になります。

 別の例では、病院勤務の医師の場合、扱っている病気の種類や担当患者の重症度によりますが、一般には院内PHSを使わないで業務を遂行することは困難です。いくら電話が苦手であっても、院内PHSを全く使わないことは、合理的配慮の範囲を超えると思われます。

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト

吃音(どもり)の評価と対応

吃音(どもり)の評価と対応

↑ こちらは論文になってしまうのでちょっと読みにくいです。
ただ、「まずはこれを見て!」と個人的に思います。
吃音の正しい情報がかなりまとめられてます。

また、以前この論文の内容をnoteでも簡単にまとめています。

小さい吃音のお子さんを持つ保護者様向け

幼児吃音臨床ガイドライン

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクトにて幼児吃音臨床ガイドラインもまとめられています。
本来は臨床家向けのもので、一般人の我々が基本的には読むものではないと思います。
しかし、子供が吃音のときにどのように対応すればよいかが分かるので、自信を持って吃音と向き合うことができるようになるのではないかと思っています。
これらの内容は、現場でも知らない方がいらっしゃるという話をために聞くので、我々関係者側が深く理解しておく必要もあるように感じます。

幼児吃音臨床ガイドライン

さらに下記の啓発資料もあります。

  1. 添付資料1『吃音って何?』 一般向け情報提供書

  2. 添付資料2『吃音かなと思ったら』 幼稚園・保育園・認定こども園の先生向け

  3. 添付資料3『吃音(どもり)に関する相談を受けたら』 地域における子育て支援に関わる方々、特に保健師の方向け

  4. 添付資料4『お子さんがどもっていると感じたら』 家族にできるお子さんへのサボートについて

  5. 添付資料5 『おこさんがどもっていると感じたら』保護者向けリーフレット

発達しえんちゃんネル

幼児吃音臨床ガイドラインの中で、保護者側の対応の仕方を分かりやすく説明してくださっています。

学齢期・大人の当事者向け

※こちらからは改善したい人向けになります。

Stuttering Therapy Online(発話訓練)

イギリスの言語聴覚士さんのサイトですが、発話訓練の方法などを公開されています。
発話訓練をやりたい方向けになります。
日本のサイトなどでは、書かれているものを見たことがなかったので、参考になるのかなと思います。

Stuttering Therapy Online

なおこちらについては、下記記事にて一部補足しながらてまとめています。

発話訓練の注意点として、間違った方法で練習をしてしまうと、間違った方法が癖づいてしまう可能性があります。
原則としては言語聴覚士の先生の指導の下行うことをお勧めします。

Camperdown Program

Camperdown Programは、オーストラリアで実践されている言語訓練+行動療法のような治療法で、非常に高い効果を上げている吃音改善法です。
吃音の頻度を減らす技術を習得し、それを実際の場面でも使えるように戦略を立てていく方法です。

詳細は下記記事にまとめております。

こちらでは、発話練習も様子を動画や音声で公開されています。
思っているより、かなりゆっくりかと思います。

(スクリプト)
The largest snake in the world is the anaconda. Anacondas belong to the boa constrictor family and are found in the Amazon Jungle. They usually live near rivers or lakes as they like to lie in muddy waters. They are not aggressive and will usually disappear into the water when confronted.

(スクリプト)
I'm not such a great fan of cooking cakes, the reason is that it takes so long to do it and there are so many cake shops nearby where you can buy a wonderful assortment of cakes. That being said I can understand people getting satisfaction from baking their own cakes. However, from mine turning the kitchen into a disaster area for the sake of having a cake is not really worth it

コグラボの記事(認知行動療法)

吃音の心理面の改善法である認知行動療法やマインドフルネス、ACTについて詳しく説明されています。
自己否定や回避、予期不安などの心理的症状が強い人におすすめです。
最後にはAwarefyという有料アプリに誘導されますが、やってもやらなくても良いかなと思います。
(アプリ自体はすごく良いので、やる価値はあり。私は体験版を試しましたが、個人的に勉強していたので自分でもできるなと思ったので、自分でやってます。)

認知行動療法やACTも基本は専門の先生に診てもらうことが理想的です。
一方で、日本ではまだ広がりが少なく、行ってくれるところは少ないようなので、現状自分でやっていかなければならないかもしれません。

早稲田メンタルクリニック

早稲田メンタルクリニックの益田先生のYouTubeとホームページもおすすめです。
認知行動療法について分かりやすくまとめてくださっています。

また、ホームページにて実際のワークブックも無料で公開されており、自分で行うときに役に立ちます。

○はじめに
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○抑うつ気分のスコア
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○第1回 認知行動療法、3つのコラムまで
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○第1回 ワーク
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○第1.5回 番外編ミニコラム
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○第2回 Bを書いてみよう
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○第2回 ワーク
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○第3回 ABCから対策をたてよう
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○第3回 ワーク
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○第4回 認知理解①「適応思考を書くコツ」
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○第4回 ワーク
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○第5回 問題解決スキル①「行動活性化」
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○第5回ワーク 活動記録1週間
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○第5回ワーク 活動記録1日
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○第6回 問題解決スキル②「呼吸法」
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○第7回 問題解決スキル③「ストレス対策集」
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○第8回 認知理解②「ストレス耐性の理解」
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○第9回 人生で大事な7つのこと
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○第10回 問題解決スキル④「曝露療法」
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○第11回 認知理解③「先延ばしにしてしまう」

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日本認知療法・認知行動療法学会

こちらは、日本認知療法・認知行動療法のサイトです。
ちょっと難しいのですが、さらに知りたいという方は見てみると良いかもしれません。
主にうつ病についてなので、厳密には吃音とは異なりますが、基本は同じです。

50周年記念サイトでは、認知行動療法を漫画を交えて分かりやすく紹介されていましたので、こちらも載せておきます!

大野先生という有名な先生がいらっしゃるのですが、その先生の解説動画です(こちらはうつ病についてですが役に立ちます)

こちらは治療者向けマニュアルですが、どんな感じでやるのかということが分かります。
http://jact.umin.jp/pdf/cognitive_medical.pdf

こちらは患者向け資料です。
http://jact.umin.jp/pdf/cognitive_patient.pdf

参考リンク

1)発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト
2)森浩一 吃音(どもり)の評価と対応
3)発達しえんちゃんネル
4)Stuttering Therapy Online
5)Camperdown Program
6)コグラボ
7)早稲田メンタルクリニック
8)日本認知療法・認知行動療法学会
9)認知行動療法(CBT)とは?

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