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好きを仕事にしても、幸せになれるとは限らない:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(1)【間違いだらけの読書備忘録(14)】

こんにちは、さらばです。

備忘録4冊目です。

  • 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』

要約サイトで本書の要約を読み、非常に興味深い内容だったので手に取りました。
本書のターゲットは就職・転職活動をするひと、あるいはキャリアプランに悩むひとだと思いますが、キャリア(≒生き方)に一片の迷いもないひとのほうが珍しいのでは? と考えると、ほとんど全てのひとにとって興味のあるテーマじゃないでしょうか。

わたしも例に漏れず、「趣味:戦略」を標榜しながらこれからの人生を考えている身ですので、大変面白く読ませていただきました。
いえ「面白かった」に留まらず、多くの気付きを得られた一冊です。

仕事選びは、だいたい間違ってる

まず本書の基本スタンスは概ね

  • 人間は職業選択を間違える。

  • なぜなら往々にして視野狭窄に陥りやすいからであり、かつ"自分のキャリア"というものについて、あまり真剣に考え抜かないからだ。

という感じです。
そもそも人間の歴史を紐解けば、市民が職業選択の自由を手にしたのはわずか100~200年程度の話で、本能に任せて「正しい職業選択」なんて行為ができるわけがなく、むしろ間違うと。

じゃあどうすればいいのかを、科学的な多数の研究をエビデンスとして語っています。

冒頭のほうだけ読んでも、自分の中のバイアス・常識と照らし合わせると「え、マジで?」「それどういうこと?」と惹き付けられる内容です。
例えば本書では「適職」の定義を「幸福が最大化される仕事」としているのですが、それにあたって以下の7つは「仕事を選ぶ上で、幸福に関係ない」と言い切っています。

  • 好きを仕事にする

  • 給料の多さで選ぶ

  • 業界や職種で選ぶ

  • 仕事の楽さで選ぶ

  • 性格テストで選ぶ

  • 直感で選ぶ

  • 適正に合った仕事を求める

いかがでしょう?
「え、これらが駄目なら、一体どういう観点で仕事を選べばいいの?」と思いませんか?

ですが読み進めると「確かにそうだ」と納得できます。
しかもこれは本書の掲げる「幸福な仕事選び」のための5つのステップのひとつ「ステップ1  幻想から覚める」の内容に過ぎません。
流れとしてはまずこの「幸福度に関係ない要素を知り」、次に「幸福度に関係する要素を知り」、さらに「幸福度を悪化させる要素を知り」、自分の仕事を考える上で「バイアスを極力取り除く方法を知り」、最後に「仕事選びを評価する方法を知る」……という形です。

考えるネタを提供するだけでなく、実際に考えるフレームワークまで提供しているあたり、本書は実用書の領域まで踏み込んでいます。

というわけで、わたしが特に強く記憶しておきたいと感じた内容を中心に、備忘録を書き進めたいと思います。

「好き」⇒「仕事」

まず最初は「好きを仕事にする」が幸福に与える影響がない、という話から。

「好きなことを仕事にするべきだ」と主張するひとは恐らく昔から一定以上いて、わたしも大学のころ芝居をやってたり、物語を作っていたりしたことから、果たしてそれは職業になり得るか? という自問を行いました。
もう結構前ですが、youtubeのCMでも「好きなことで、生きていく」というキャッチコピーがあって、結構話題になった記憶があります。

言うまでもなく「好きなことをして生きていけたらいいよね」というのは誰にとっても「そりゃそうだ」という話で、それ自体の良し悪しが語られることはあまりないと思います。
問題視されるのは「世の中そんなに甘いものじゃない」「誰もが好きなことしかやらなかったら、社会は成り立たない」といった観点でしょう。

本書でも、別に「好きなことを仕事にするなんてとんでもない!」とは言っていません。
問題にしているのは順序です。

とある大学が「好きなことを仕事にする者は本当に幸せか?」という研究をしたそうです。
そして「好きなことを仕事にするのが幸せだ」というひとたちを「適合派」、「仕事は続けるうちに好きになるものだ」というひとたちを「成長派」と区分したところ、最初は適合派の幸福度が高かったそうですが、1-5年の長期間で見ると、成長派のほうが幸福度・年収・キャリアなどのレベルが高かったとのこと。

また、別の大学が行った研究では「自分はこの仕事が大好きだ!」というグループよりも、「仕事は仕事」と割り切っているグループのほうが、スキルと仕事の継続率が優秀になったそうです。

なぜこうなるのかというと、好きであればあるほど仕事に対する期待値が高く、現実とのギャップを感じやすいということです。逆に最初の期待値が低いと、悪いことが起きても「まあ仕方ない」と割り切りやすいのでしょう。


もう少し「好き」と「仕事」について話を続けたいと思いますが、今日はここまで。

お読みいただきありがとうございます。
さらばでした!




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