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11年10作+7年20作:文書きとしての段階(1/3)【さらば、noteを書く理由(5)】

今回の話の前段はこちら。

文書きとしての段階

プロフィールにも書いているとおり、わたしは18年以上物語をつくり続けているのですが。
かなりざっくり分けると、最初の11年間と次の7年以上(現在進行形)でだいぶ内実が異なります。

そこで、便宜上前半11年を「第1部」、後半7年以上を「第2部」と呼んでおおまかな流れを書こうと思います。

第1部:11年10作

とにもかくにも「小説という形式で物語を書く」と決めたわたしは、手始めに5ヶ月ほどかけて一本の長編小説を書きました。
長編と言っても7万字に満たない程度の長さです。後に9万字くらいまで加筆するのですが、当時はまだ書くこと自体に不慣れな状態でした。

それ以前にも物語を書いたことがなかったわけじゃないんですが、多くは会話形式の脚本スタイルでした。だから地の文というものがとても苦手で、時間がかかる一番の理由になっていました。

二本目を書き上げるまでに、それから4ヶ月ほどかかりました。
三本目は19ヶ月。15万字ほどになりましたが、いきなり文量も期間も長くなったのは「自分にとって物語とはなにか?」が解らなくなり、迷走していたからです(この問いは答えを見つけても、何年かに一度わたしの前に現れます)。

そこからリハビリのように、約1年かけて4万字弱の中編を一本書き。
さらにまた1年かけて長編の四本目。
また中編を一本挟みますが、今度は2ヶ月ほどで書きました。
それから半年ほどかけて五本目。25万字超という、もしかしたら今に至るまでひとつの作品としては最長かもしれない長さになりました(ただし、長くなったときは大体いい意味じゃありません)。

この時点で5年ほど経過しています。
さすがに書くことに慣れたのか、このあとは1年半ほどの間に長編四本、中編一本を書きます。
しかしその次、十本目の作品になるはずだった長編を1年かけて12万字ほど書いて行き詰まり、没にします。
そして一から書き始めた違う長編を完成させたのは、そこからさらに2年後です。

こんな感じで、11年が過ぎました(なお、ここまで書いた期間を累計すると10年未満ですが、作品と作品の間に結構なにも書かない期間がありました。あとは、過去の作品を幾つか大幅修正したり、一から書き直したりしたのは省いています)。

長編を十本書きましたが、短ければ4ヶ月、長ければ2年かかっています。
しかも「はじめのうちは長くかかってたけど、慣れてからは短くなった」というわけでもありません。

なぜこんなに差が出るのかというと、もちろん作品づくりそのものに苦しんだかどうか……というのも関係するのですが、それ以上に「創作以外の要素」が大きく影響していました。

広がる人生と狭まる創作性

ひと言で言うと「人生のステージが変わって創作に使える時間が減る」と、ひとつの作品を書き上げるのに時間がかかるようになりました。

仕事の内容が大きく変わって忙しくなったり、プライベートが充実すると、相対的に創作に費やす時間がなくなります。数日に一度、週に一度といった形で、断片的にしか書けないとモチベーションにも影響しますし、時間が空くと「前どこまで書いてたっけ……」とか「ここからどうしようと思ってたんだっけ……」という感じになって、物語をつくる自分に"戻ってくる"のもひと苦労でした。

特に11年中最後の3年間は、完全にそんな感じでした。
人生が広がっている結果なのだから歓迎すべきとも考えられますが、物語をつくる自分がどんどん狭まっていく感覚に、焦りを覚えていました。

その環境ががらりと変わったのが、11年目です。

第2部:7年20作

なにが起きたのかをごく簡単に言えば、それまでに積み上げたプライベートな関係のほとんど全てを失いました。
望んだわけではなく、それこそ物語のような……いや物語にすらならないくらいの出来事が悪い意味で奇跡のようにつながり、結果として手元には膨大な時間が残りました。

「書こう」

と思いました。
書くことならできる。それだけは残っていると。

そこからは1年に四、五本の長編を書く生活が、4年ほど続きました。

はじめは心身に溜まった毒を吐き出すように、次は生きる理由としてすがるように……だんだん深呼吸をするように、確かな手応えを感じる生き甲斐として。

こんなふうに、第1部と比べれば2~3ヶ月に一本という結構なペースで書くようになったのですが、直近の3年間では、累計で五本程度しか長編を書いていません。
なぜか。第2部の今までを分けるとしたら、最初の4年が1章で、次の3年が2章と言っていい程度の変化があったからです。

有り体に言うと、編集者がついて商業を意識するようになりました。


と、いうわけで続きは次回です。

お読みいただきありがとうございます。
さらばでした!

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