屋久島に呼ばれて-2泊3日屋久島レンタカーの旅-
「屋久島は呼ばれてるときしか行けないんだって。だからもし行けなくても、それは島に呼ばれてないってことなんだよ」
わたしが屋久島に行くと告げると、パワースポット好きの母はそう言っていた。
たしかに7年前に屋久島に行こうとしたときも、都合が悪くなって行けなかったんだっけ。
そろそろ屋久島がわたしを呼んでいる気がしたんだ。
わたしたちは鹿児島空港に降り立った。
2泊3日の屋久島旅行が今、始まろうとしていた。昼の12時に着くから、屋久鹿のハンバーガーを食べるのをわくわくしていた。
まさかわたしの飛行機だけ、欠航になるとは。
鹿児島空港から高速バスで40分かかる港に行き、そこから高速船で屋久島までは2時間かかる。屋久島に着くのは、3時10分になるはずだ。
まだ始まってもいない屋久島旅行は、わたしだけ歓迎されてないのかもしれない。
1日目 屋久島西部をぐるっと
酔い止めを飲んで、すっかり眠り込んでしまっている間に、高速船は屋久島の宮之浦港に到着した。
港近くにある、気になっていた一湊珈琲焙煎所に寄り、アイスカフェオレとアイスコーヒーを手に入れた。
先に飛行機で到着していた友人と合流し、日本一ウミガメが産卵するという永田いなか浜を目指した。
屋久島は信号が全然なく、車もいない。メインの観光地には島を一周する1本道からアクセスでき、とても運転しやすい。
運転を1年に2.3回しかしないわたしでも運転できた。
永田いなか浜に到着。
ウミガメは夜に産卵するので、昼間はなんともない砂浜。美しい海にウミガメがくるのも納得。
そこから屋久鹿や屋久猿と遭遇しやすいという西部林道を目指した。
西部林道はグネグネしていて動物とも遭遇するため、抜けるのに1時間くらいかかった。
道なりに行くと大川の滝だ。大川の滝は屋久島一の水量で、日本の滝100選にも選ばれているので一目見ておきたかった。
大川の滝は迫力があって、日本の滝とは思えないくらいだった。
屋久島は山もあって海もあるのに、滝もあるなんて。なんでもある、屋久島。
このあと民宿にチェックインし、20時から予約していた海鮮のお店「若大将」で夜ごはんを食べた。
屋久島名物の飛び魚の姿揚げ、首折れサバの刺身は絶対に食べたいものだった。
飛び魚の姿揚げの食べ方がよくわからないわたしたちに、若大将の大将が食べ方を教えてくれた。
実は生の魚はそんなに得意ではないので、屋久島での食事にはそんなに期待してなかった。
でもここで食べた魚は魚特有の臭みがなく、若大将で食べたすべてがとても美味しかった。
首折れサバは残念ながらなかったけど、大将が「うちにないなら、屋久島のどこにもないよ!うちは漁師だから」と言っていた。じゃ、しょうがないね!
大将が刺身のおかわりをサービスでくれたり、「また、屋久島にきてね!」と声をかけてくれたり、大将がお店の居心地の良さを作り出す良いお店だった。
流行るのもわかるなぁ。
着いてまだ数時間なのに、もう屋久島が好きになっている自分がいた。
2日目 屋久島のウマイもの巡りと「もののけ姫」の舞台へ
朝は泊まっていた民宿「すぎのこ」が用意してくれたお弁当を食べた。
近くの「お弁当・お惣菜かもがわ」のもので、この笹の葉おにぎり弁当を持ってトレッキングに行き、頂上で食べるのが人気なんだとか。
パン屋に向かおうとしたところ、雰囲気のある土産物屋「YAKUSHIMA BLESS」を見つけた。降りてみる。
入ってみると、ぶわっと木の香りがした。
屋久杉の匂いだ。
食べものやお酒系のおみやげは、お隣の武田産業さんで購入できる。
YAKUSHIMA BLESSは夫婦で営んでいるお店で、店員さん夫婦も明るくて親切な人たちだった。
屋久島は人がすごくいい。
わたしが思い描いていたとおり、のんびりとやさしい島らしい人たちばかりだ。
おすすめしてくれたフルーツスムージー屋さん「やくしま果鈴」に向かった。
車で20分で、やくしま果鈴さんに到着。
島といえば、フルーツ!
おしゃれな外観。
屋久島は意外と、今風の新しいお店が多い。
スムージーの種類が多いのが、嬉しい。
グアバか悩んだけど、パッションフルーツと屋久島名物の果物「たんかん」を注文した。
ここのスムージーは屋久島産のフルーツを使っている。絶対においしいやつ。
甘すぎず、フルーツ本来のおいしさが楽しめるスムージー。
あっつい夏の島旅にぴったりの飲み物。
スムージーで元気を注入して、ようやく屋久島で1番訪れたかった場所、白谷雲水峡に向かった。
民宿の受付のお兄さんが、朝は混雑してるからお昼スタートで登り始めた方がいいと言っていたので、そのとおりにした。
白谷雲水峡は「もののけ姫」の舞台になった「苔むす森」が有名だ。
登山コースはいくつかある。
いちばん楽なのは、往復1時間のコース。
でも、せっかくなら往復5時間の太鼓岩と呼ばれるてっぺんまで行くコースもがんばりたい。
体力のないわたしたちはぎりぎりまで悩んでいた。
とりあえず苔むす森まで行こう。
それからてっぺんまで行くか考える。
ここからがきつかった。
「白谷雲水峡は軽い」と屋久島で出会った人たちに言われていたが、ちょっと我々と平均がちがったようだ。
写真だと伝わりにくいけど、ずっと急な岩の階段を登るイメージ。湿ってるのが、すごくこわい。
ベンチもあったけど、湿ってるので座るとお尻が濡れます。
さつき吊橋からくぐり杉までは、看板がなく、木の根や石だらけの険しい坂道が続いた。
森の中だから日陰ばかりで、暑さはマシだけどそれでもフラフラした。
白谷雲水峡は、携帯トイレ用のブースを除くと、入り口とこのあたりのトイレは2ヶ所しかなかった。
そしてついに.....
「もののけ姫」の舞台になったと言われる「苔むす森」に到着。
この景色のために屋久島まではるばる来たんだ。
まるで呼吸してるかのような森とそれを彩るあざやかな苔。
しばらくの間、なにもしない、ただ森にいるだけの時間を楽しんだ。
下りが滑りそうですごくこわかったけど、登りよりは楽ちんだった。体力というより神経をすり減らした下り。
白谷雲水峡を降りたら、17時。
この時間だとカフェやジェラート屋などは閉まり始めるので、早めの夜ご飯にすることにした。
夜ご飯は、1日目に夜ご飯をたべた「若大将」のお兄さんがやっているという「いその香り」に決めた。
ここで食べたものすべてがやっぱり美味しかった。
そして大将も店員さんも、気さくで親切だった。
屋久島の人もグルメもほんとうに好きになった。
写真を撮り忘れたけど、安納芋の天ぷら(850円)もすごく美味しかった....!
屋久島なに食べてもおいしいのは、島の空気がいいからだろうか。
明日朝の飛行機だから、早々に民宿に戻り、休んだ。足がくたくただ。
この夜、クジラの夢を見た。
フェリーに乗っていたら、クジラが窓いっぱいに見える夢。
いつか見たいと思っていたクジラが、こんな間近で、こんなタイミングで見えるなんて、と夢の中で感動した。
おおらかでやさしい、美しい空気で満たされている屋久島山だから見れた夢。
クジラは、白谷雲水峡で見た巨大な屋久杉のように巨大なのに、静かで神秘的だった。
島の空気を初めて感じる、離島の旅をもっとしてみたいと思う良い旅だった。
かかった費用と旅の振り返り
[かかった費用]
ちなみに今回は鹿児島→屋久島の飛行機が欠航になった。
空港のカウンターで航空券の返金手続きをしたあと、高速バスで港まで(空港から4〜50分)行き、それから高速船(2時間)で屋久島の宮之浦港に着いた。高速バスや船代は、航空券より安いという理由で返金されず。
[旅の振り返りとTIPS]
・ヤクスギランドに行かなかった理由
民宿のお兄さんがっつり白谷雲水峡を訪れるなら、ヤクスギランドは行かなくても良いとアドバイスしてくれた。
時間が余ったら行きたい場所だった。
・縄文杉に行かなかった理由
登山往復10時間でたどり着けるという縄文杉。
交通規制があるので、レンタカーを借りていても、朝は4時発のバスに乗る必要がある。
木陰はあっても暑いので、自分の体力と相談してやめました。
・変わりやすい天気
天気は変わりやすい。雨が降ると登山ルートで通れなくなる道があったり、山頂からの景色が見えなかったりする。
湿った山をハイキングしたので、防水の靴で行って本当によかった...!
・人気の夜ご飯は予約すべき。
屋久島でも人気の夜ご飯、「若大将」「いその香り」「潮騒」あたりは事前に予約しないと入れないことがある。
開店と同時の17時半や遅い時間の20時だと予約しなくても入れるかも。
・レンタカーの予約は1ヶ月前だと遅い?!
レンタカーは1ヶ月前に予約したら、4店舗目でようやく車が見つかった。それでも希望の軽自動車はもうなかった。
レンタカーを借りるなら、ご注意ください。
・行けなくて残念だったお昼ごはん処
屋久鹿バーガー
提供がちょっと時間かかるらしいけど、おいしいんだって。食べたかったなぁ。
かたぎりさん
昼しか食べられない「飛び魚まぶし」が食べたかった。
おわりに
人生でやりたいことリストにずっとあった屋久島訪問。だれかが行ったという話を聞くたびに、指をくわえていた。でもこれで死ぬ時に、「屋久島、行きたかったなあ」と思わずにすみそうだ。
そういえば、屋久島には屋久杉を使った工芸品がたくさんあった。なんかうちにあるのと、似てるなあと思ったら、やっぱりうちの家のものも屋久杉だった。
屋久杉がずっと家にあったとは...
縁を感じずにはいられない屋久島旅となった。
****
最後までお読みいただきありがとうございます。
よろしければ❤️(スキ)やフォローで応援お願いします。
励みになります☺️
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?