自責と他責|自分がいなくても会社はまわる?
今回は仕事についての話をしようと思います。テーマは「自責と他責」です。
「自責」というのは問題が起こった時に自分に責任や落ち度があると考えることです。
反対に「他責」は問題が起こった際に原因は自分以外にあると考えることです。
この二つの責任の方向をヒントに「職場における責任感」そして「組織と個人」について、深く考えるきっかけになれればと思います。
自責傾向が強い人と他責傾向が強い人
日本の会社には自責傾向が強い社会人が非常に多い傾向にあるように思います。少なくとも僕の周りには多いです。
あらためて説明をすると「自責」というのは問題が起こった時に自分に責任や落ち度があると考えることで、自責傾向が強い人は自分自身の仕事や対応に落ち度を見出し、その後の行動のために反省して自分の成長に繋げます。
反対に「他責」は問題が起こった際に原因は自分以外にあると考えることで、責任はあくまで自分ではなく他者にあるとするのが他責思考です。
どちらのタイプの人が好感を持たれるかというと、おそらく自責傾向が強い人でしょう。他責傾向が強い人には無責任な印象を抱いてしまいます。
僕が勤めている会社では、数年前まで他責傾向が強い人の評価は低く「他責にしないプロフェッショナルな姿勢を持つように」と常に言われ続けていました。
しかし最近になって、公然とは言われないものの、他責傾向が強い人の方が長く活躍し続けている現実が見えてきています。
自責傾向が強くプロ意識が強かった社員がたくさん退職してしまったからです。
自責傾向のネガティブな側面
「他責にしないプロフェッショナルな姿勢を持つように」と会社から言われ、実直な気持ちでその通りに頑張っていた社員たちの大きな欠点は、人に仕事を頼むのが苦手だったという点です。
雑用の様な仕事さえも自分が受け持つことで、結果的には残業も増えてしまい、単純作業の残業中に「自分の仕事が遅いから」と自らを責めている様な状況をよく見ていました。
そういった日々の繰り返しによって、今の仕事への不安が募り結果的に退職することになってしまったように見えます。
他責傾向のポジティブな側面
冒頭に、問題が起こった時に他責傾向の強い人は責任を他者に向けてしまうと書きましたが、「他者」を「他の社員」や「上司」に置き換えて考えた場合は、会社にとってあまりよくないと思います。争いのもとになるうえに、そういう人とは一緒に働いていても気持ちがよくないです。
しかし「他者」を「組織」「システム」「構造」「仕組み」などに置き換えて考えると、少し違った景色が見えるようになります。
問題が起こった原因が仕組みにあるのだとしたら、自分を含む他の社員の誰が対応しても同じ様にその問題は発生し続けます。
問題の原因を自分ではなく仕組みにあると捉え、その仕組みの改善に意識を向けて働きかけ始め、今後二度とその様な問題が発生しないような仕組みが出来上がったとしたら、他責傾向が強い人の組織への貢献は結果的にとても高くなるはずです。
心の痛む現実ではありますが、問題を自分の努力と残業で解決している自責傾向が強い責任感のある人よりも、システムの欠陥に焦点を当てて改善を施す他責傾向の強い人の方が組織への貢献度は結果的に高くなります。
人は様々な事情で組織を退職してその仕事から離れていきますが、問題解決のために構築されたシステムは人が辞めても組織に残り続けます。
組織の存在意義を考えて自分のキャリアを描く
会社の存在意義は利益を挙げること、そして社会に価値を提供することです。これは個人の仕事ではなく組織がなすべきことです。
一方で、組織に属する個人には個別の事情がたくさん存在します。
スキルや実務経験だけでなく、家庭のことや個人の体調、精神状況、社会とのつながり方、友人、恋愛、趣味、などなど、数えきれないほどの要素が複雑に絡まり合っています。
会社というのは、そんな様々な個人が属しながらも利益を挙げて社会に価値を付与していくことができる存在です。
責任感のある人ほど「自分がやらなければ誰がやるんだ」とか「自分が辞めたらみんなに迷惑をかけてしまう」と考えがちですが、残念ながらそれは思い込みであることが多く、自分がいなくなっても会社はまわっていきます。
自分がいなくても価値を提供し続けてくれることが「会社」の最大の魅力でもあります。
例えば、自分や家族が病気になってしまった時に「会社に迷惑がかかる」と思い込んで仕事を優先するよりも、組織を信じて自分と周囲の人たちの幸福を優先し、しっかりと休むことが大切です。
もちろん、もっと広義に考えれば、有給休暇を取得して友人や恋人と休日を過ごすこともこれに当てはまります。
今まで自責傾向を強くして働いていた人は、少し考え方を変えて組織に焦点をあてて働きかけてみてください。
そして同時に自分のことも大切にしてください。会社と個人は存在意義が違うのですから。
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