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ある晴れた夏の日の出来事

仕事場に向かう道の途中で、ふと見上げると、青い空と白い雲、太陽の刺さるような日差しが、朝から胃のむかつきが止まらない私に降り注ぐ。

昨日はかなり暑い日だった。
夜も寝苦しさがあった。

風が吹けばまだ、なんとかマシなような気がしていたが、気のせいだろう。今年は暑すぎる。

40℃って、一体何なんだよ。

平熱以上の気温じゃ、さすがに体のバランスも崩すと思う。

そんなことを考えながら、また一歩、進もうとしたとき、視界が歪んだ。

前を見て歩いていたはずなのに、まるで、スローモーションのように空を見上げる形になった。

私はそのまま、気を失った。

次に、目を開くと、さっきまでの青い空とは違い、
白い天井が広がっていた。

左腕に少しの痛みを感じ、目線を向ける。
私の腕は細い管とつながっていた。

管の先には液体が入ったパックが見える。

横にかかっているカーテンの外側で、声がした。
カーテンが開き、メガネをかけたショートカットの女性が中に入ってきて、「目が覚めましたか?大丈夫ですか?」と優しく声をかけてくれた。

私:「あ、はい。…えっと、ここは?…」
看:「○○医院ですよ。あなたは道の途中で倒れて、気を失い、周りにいた方が、倒れたところから近かったこちらの医院に運んだんですよ。体調はどうですか?落ち着きましたか?」
私:「そんなことが…あったんですね。まだ胃のあたりのむかつきと頭痛がしてます。」

話しながら、私は右手でおでこを押さえる。
柔らかいタオルケットが胸までかけてあり、過ごしやすい温度の部屋の中で、安心したのか、また目を閉じて、私は深い眠りに入った。


そういえば、最近、ゆっくり休めてなかった。

毎晩、10時で帰宅が当たり前になっていた。一人暮らしだから、遅く帰って、家族を不安にさせてしまうことはないけれど、自分の限界以上に仕事に時間を使っていたように感じる。

家に帰ってからも、あまり食欲が湧かないから、ご飯を減らしていた。
…だけど、少しくらいは食べておかないと倒れるので、口当たりのいいものをと思い、トマトとチーズと生ハムにドレッシングをかけて食べるようにしていた。
簡単に作れる手軽さと、洗い物が少なく済むメリットで、比較的よく作っていた。

片付けをして風呂に入ってと、家のことをしていると、いつの間にか、12時を超えていた。

シンデレラだって、12時までには全てを終えるように動いていたのに、私はまだここから1時間くらいかけて、仕事のまとめをしていく。

何やってんだろ。体が資本だって何万回、唱えたら理解するんだろうか。早く寝ることがどんだけ大事かわからないのか…。自分自身のことだけど、呆れてしまう😂

でも、わかるよ。仕事が終わらない不安も。
できるなら…1話完結編のドラマのように、仕事も1つずつ完結してほしいよね。
全部、どことなく繋がっているし、1つの納期が終われば、別の納期の内容で時間がなくなっていく。

前倒しで、テキパキできたら、どれだけ楽なんだろうか。心に余裕が出来るんだろうか?

夏の異常な暑さと、キャパオーバーなストレスから、自然と涙があふれる。

あぁ、早く自由になりたい。自分に余裕がほしい。家族にも心配かけたくない。
しばらくの間、何も考えない、時間がほしい。

あぁ、本当に願う…しばらくの間、こうやって深い眠りの中で、心穏やかに過ごせたらどれだけ幸せなんだろう。

私はもう一度、まぶたを閉じた世界に、自分の意識を深く潜り込ませた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの度はマナビの學校さんの【大切な人と2人で(叶えたことノート36日目・7/26)】というお写真を使わせていただきました😄✋!

雲の形がくじら🐳になっていて、とても可愛いです!夏らしい空の色と、その中を優雅に泳ぐくじらがとても素敵だなと思いました!

私は昔、夢の中で大きなくじらと出会ったことがあります。
それは私が就職活動中のこと。
一次試験、二次試験と進んでいく嬉しさと、比例して、不安で精神が削られている感覚。

私はこのまま就職出来るのだろうか?
自信と不安は常に一体。

ご飯もうまく食べれなくなり、睡眠も夜、2時位までは当たり前に眠れなくなっていた。その頃は夢なんか見てる暇もなかった。

毎日、生きてるので精一杯な感じ。

でも、三次試験の前の日、その時だけは、すんなり11時頃には眠れた。

…翌朝、私の記憶に残ったのは、真っ暗な海のような世界に、私は一人、立っていて、そこにだけスポットライトのように光が優しく注がれていたこと。
息をすると、小さな気泡が口から出ていた。

しばらくすると、暗い世界の一部から、大きなクジラが私のところに降りてきた。

クジラの右目が光の加減で、緑のような、茶色にも光っていたのは覚えている。

その夢を見た翌日、私は今の仕事の三次面接に向かった。

その時には、不安も何もなかった。
私はここに就職するという自信しかなかった。
本当に不思議だった。

温かい何かが、背中を押してくれるような、そんな感覚があった。

人がなにか変わるとき…

自分の身長が伸びるときのように、少し痛みがある。心の成長にも痛みを伴うのかもしれない。

また、あの大きなくじらに出会えたら、感謝を伝えておきたい。これから先も、何度か出逢う気がしてならないから😄

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