学習院山岳部と京都大学学士山岳会（AACK）とつながりについて（その３）

2024年5月14日 06:00

学習院大学山岳部　昭和３３年卒　芳賀孝郎

（その２から）

　そして舟橋明賢は彼の著書「山を想う・三つの訓え」で学習院の山登りを語っている。舟橋明賢は戦時中から戦後にかけて学習院山岳部での登山活動は広く深く、私たち現役時代には舟橋明賢（愛称：ラッキョさん）から多くの指導を受けた。

　舟橋は京大に進学して戦後の京大山岳部を藤平正夫・伊藤洋平・池田孝蔵・林一彦らと共に築き上げた。１９５３年に今西壽雄隊長のＡＡＣＫとしての最初のヒマラヤ遠征・アンナプルナ登山隊に参加した。アンナプルナⅣ峰の登頂目前に最終アタックテントが風速５０ｍのジェットストリュームで破損した。その時舟橋は素晴らしい救助活動を行い、藤平正夫と脇坂誠は無事救助された。私はチョゴリザ遠征中に舟橋の活躍した様子を度々聞いたことを思い出す。１９６５年ＡＡＣＫは、当時未踏峰の最高峰である・カンチェンジュンガ西峰（８５０５ｍ・ヤルンカン）を目指した。その隊長に舟橋明賢が指名された。その後インド政府から登山禁止令が出された。舟橋はインドへ行き、その打開に奔走したが、その遠征は残念ながら取りやめとなった。舟橋はＡＡＣＫでは高い評価を受けていた。

　私の記憶している先輩たちの登山実績で今日の学習院と京都大とのつながりが続いていると思っている。

　チョゴリザ登山で私は第一次登頂隊のアタックサポートの任務を果たした。登頂成功後に私は平井一正（チョゴリザ初登頂者）とポーター１人を連れてバルトロ氷河の枝氷河であるビアンジェ氷河とその周辺の山々の偵察に出かけた。ムスターグ・タワー東壁の下、５４００ｍにベースを設営した。そこからステステサドルに上り、遠くシャクスガム方面の偵察をした。更に無名峰７１７０ｍへラッシュアタックをした。頂上直下５０ｍまで登ったが最後の岩峰を登り切らず断念した。この記録は７０００ｍ峰への日本人初のアルパイン方式登山であった。帰国後私はＡＡＣＫ会員に推薦された。

　２００８年に京都で行われたチョゴリザ登頂５０周年記念祝賀会には学習院から橋本實・右川清夫・川崎巌他１０名が参加して登頂５０周年を祝い、ＡＡＣＫとの交流を深めた。

　チョゴリザ登山後アンナプルナ隊とチョゴリザ隊との合同の集い、「アンチョコ会」が毎年開催されている。その会には時々山桜会会長・贄田統亜が出席している。現在アンナプルナの存命者は舟橋先輩のみ、チョゴリザは５名が存命している。

　終わりに今回の登山でＡＡＣＫの阪本公一氏のご指導とご支援にお礼を申し上げ、これからもＡＡＣＫとのつながりを大事に存続していただきたい。