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音の世界と音のない世界の狭間で

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聴覚障害のこと。わたしのきこえのことを、つらつらと。
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2022年12月の記事一覧

動かざること山の如し。

トーキョーに来るときは、いつでもお相手するね。 と約束している友達が、この冬も遊びに来てくれたのでホテルステイをしに、OMO5東京大塚by星野リゾートへお邪魔してきた。 お部屋は「やぐらルーム」という秘密基地のような空間。おしゃべりスペースと睡眠スペースが上と下で分かれているので、夜な夜な盛り上がるおしゃべりタイムは、寝具が汚れる心配をせずにちょっとしたモノを摘めて最高。 バストイレが別スペースかつ浴室には洗い場と浴槽がちゃんとあるので、お風呂もゆっくり過ごせて、「お風

何をするか、誰と共有したいか、共有したいと思ってくれる人がいるということ。

同じ本を何度も読む とか 同じ映画を何度も見る とか 結末を知ってても、それでも同じものをみてしまうときがある。たとえば、数年の月日が流れてストーリーが朧げになっているときとか、お勧めしたい誰かと一緒にみたいときとか。 この週末最初の夜は、W杯の決勝戦をフルで観戦して、もうひとつの夜はネットドラマを一気見して、そのテンションで歌を歌った。 W杯の決勝当日は友達とLINEでお喋りしながら自宅で一人観戦をしていたのだけれども。どうやら彼は仕事が忙しかったようで、観戦できなか

「たいしたことないんだけどね」こそ「たいしたことある」のよ。

クリスマスイヴのお昼。家の前の急な坂道をやっと下ったその先で目に入ったのが、ご近所のギョーザ屋さん。 本当はショッピングモールに行く予定だったのだけれども、2年前にお引越しをしたときからずっと気になっていたそのお店がちょうど開いていたので、入ってみることにした。 店内に入ると、彼は迷わずテーブル席を選んでくれる。わたしとの会話は特に外では手話や口の読み取りが中心になるから、カウンター席よりも向かい合わせの方が都合が良い。 メニューはシンプルに ・ライス ・半ライス ・ギ

音の世界と音のない世界の狭間と視えにくい病院と

日々 #音の世界と音のない世界の狭間で と聴覚障害のあるわたしの生活のあれやこれやをここに綴っているのですが、わたし目も悪くてですね。 特に小さい頃は、ひとつのものを見ているつもりでも左右どちらかの視線が外側に向かってしまう【外斜視】という病気があって。その治療で強めの眼鏡をかけていたら弱視が酷くなってしまったので、中学生の頃からずっとハードコンタクトの愛用者。 眼鏡だと度が強すぎて世界が歪んでしまうし、ソフトコンタクトだとドライアイが酷くて終日付けていられない。でも、レ

音の世界と音のない世界と視えにくい日。

の究極の二択があるとしたら、迷わず【まったく聴こえなくなる】を選ぶと思う。見えれば手話や筆談をすれば良いし、生まれてこのかた【正常なきこえ】というものをまったく経験したことがないので、音がないことに対する抵抗感は小さい。 でもそのぶん【視ること】に神経を研ぎ澄まして生きているので、視えなくなってしまったらもうどうしたら良いかわからないと思う。 だというのに。 目を覚まして、トイレを済ませて、歯を磨いて、「さぁコンタクトをつけよう」とコンタクトケースをあけたら、右眼に入れ

#音の世界と音のない世界の狭間で にこだわる理由

わたしは、ことにお耳に関して、周りに恵まれすぎている。 その昔、聴力が落ち始めた時期には聴覚障害のある友達がそばにいてくれて、手話コミュニティに入れてくれて、講義には情報保障がついて、周りの友達が音声情報を文字や手話で見せてくれて、相性の良い認定補聴器技師さんに出会うことができた。 だから「耳が聴こえにくいんです」と言うだけで、周りの人たちがなんとか守ってくれるだろうと過信しているところが、あった。実際、どこに行っても周りがちゃんと守ってくれている。 そんな温室でぬくぬ

歩み寄りのキロク。いつかのわたしたちへ。

普段は補聴器をして生活しているけれど、お家に帰ったらできるだけ補聴器は外していたい。多分わたしの中で【補聴器=気を張っている】みたいなところがあって。だから、補聴器を付けているときは集中してよく聴くし、頭もまわっていると思う。 でも、帰宅するとオフモードなので、動画を見たり音楽を聴いたりテレビ電話をするときくらいしか補聴器を付けない。そんなことを言ってられるのも、わたしが一人暮らしをしているからだろうとも思う。実家に帰ると、ちゃんと家の中でもお風呂上がりも寝起きも補聴器をつ

ひとりごと。ささやき声、ひとり手話。

ひとり暮らしをするようになって、ずいぶんとひとり言が増えたような気がする。というか多分、この自分に見えたものや行動を言語化するこれは、一種の職業病なんじゃないかとも思う。 とにかく、ひとり言が多いという自覚がある。だから。 昨夜は好きな人が「今日はお家に仕事を持ち帰ろうと思っているんだよね」とポロリ口にしたそのときから「ひとり言は控えよう」と心に誓っていた。 でも、「あ、落ちちゃった」とか「今日のお月様はコールドムーンなんて名前がついてるのかあ。確かに綺麗だったなぁ」と

新しい景色を2022 #補聴デバイス活用メモ

12月6日 関東某所 AM2:30 9℃ 雨 AM2:30という時間を、夜中と呼ぶべきなのか明け方というべきなのか。夜通し起きていたから、あれはきっと夜中だったに違いない。楽しかった。本当に楽しかった。まだまだ余韻から抜け出せない。 W杯にハマりにハマったわたしたちは、日本代表のベスト8をかけた90分のゲームと30分の延長戦を終えてもなおクロアチアと同点が続くその試合を見守っていた。もはや息をするタイミングも失って(水を飲みながら換気するレベルで)ただただモニターを眺めて

良い朝だった。早起きしてほんっとに良かった。#補聴デバイス活用メモ

昨夜はnoteを書いてからもなお、ドキドキしていた。どうしてもどうしても、W杯の日本vsスペインが観たかったから。 目覚ましはいくつもかけたし、友達とグループLINEで起こし会う約束をして、また別の人にはモーニングコールまでしてもらった。至れり尽くせりだ。 というわけで、今朝はLINEのビデオ通話をしながらのサッカー観戦。無事に目覚めて、次に考えたのは、どうやって情報を聴き取ったり読み取ったりするか。 わたしには聴覚障害があって、補聴器を使って生活している。補聴器は機械