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企業によるメンタル不調者への予防策について (COVID-19産業保健コンサルティングチームより回答)

【質問】
テレワークによるメンタル不調者への予防策について
(企業規模:300名以下、業種:メーカー)
4月より、弊社は管理職以外の社員全員にテレワークを義務付けています。
しかし、4月の末に一人暮らしの社員から適応障害として診断書が提出され、現在休職に至っています。
おそらくは、普段とは異なる環境にストレスを感じていたと思うのですが、定期連絡やテレワークの日報等ではそのような兆候を感じ取れませんでした。
テレワークは、本来予定されている業務ではなく就業規則上規定はありませんが、国からの要請もありやむを得ない判断だったかと思います。5月末まで非常事態宣言が延長されたことでテレワークも継続する事とし、さらなるメンタル不調者が出るのではないかと危惧しています。
つきましては、企業として事前にどのような予防策をとればよいか、産業医にはどのタイミングで相談すればよいか、ご教授いただければ幸いです。


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【回答】

小橋先生

COVID-19産業保健コンサルティングチーム(※)より回答
※産業医を中心として結成された有志のチーム、画像は代表の小橋正樹氏


本事例で適応障害に至った詳細はわかりませんが、一般的にテレワークに関するメンタルヘルス上の問題としては、以下のようなものが挙げられます。
1. 孤立感
2. 職場サポートの減少
3. 仕事とプライベートの切り替えづらさ
4. 作業環境の変化

これらに対して、日本心理学会から「新たにテレワーク(在宅勤務)をする人へ、心理学者からのアドバイス」が公開されています。
また、作業環境の変化に関しては厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が参考になります。

参考:
1)新たにテレワーク(在宅勤務)をする人へ、心理学者からのアドバイス (Psychologists’ advice for newly remote workers) | 日本心理学会
https://psych.or.jp/special/covid19/tele_work
2)情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(21p)
https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

これらをふまえ、テレワークによるメンタルヘルス不調に対しては厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に示されている4つのケアの観点から、予防対策をご検討いただくと良いかと思います。

① テレワーク中の従業員へのセルフケア(従業員自らが行うケア)のアドバイスとして、以下のような情報を配信し実行いただく事で、一次予防に役立つのではないでしょうか。
・孤立感を感じないよう、ご家族・友人とコミュニケーションをとる。
・ガイドラインに沿って作業環境を整える、自宅の集中できる環境で業務を行う。
・仕事とプライベートの切り替えを意識するため、就業開始時間と終了時間を設定する。
・連続作業時間が長引かないよう1時間毎に休憩を必ず入れる・
その他にも、セルフケア対策がまとまっているサイトを周知いただくと良いかもしれません。

参考:
1)厚生労働省 こころの耳「新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)」
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/coronavirus_info/
2)いまここケア
https://imacococare.net/

また情報発信以外にも、googleフォームや社内のシステムなどを用いて、社員の体調を確認するアンケートを実施している会社などもあります。
残りの在宅勤務期間や社内のマンパワーなども合わせてご検討ください。

② ラインケア(管理監督者によるケア)として、職場サポートの減少を防ぐため、部下との定期的なコミュニケーションを心がけるよう管理監督者へアナウンスしてください。業務報告や日報管理だけではなく、体調面の確認などを行う時間を短い時間で構いませんので定期的に持つことをお勧めします。
その中で、睡眠の問題(十分な睡眠時間が取れない、寝付けない、途中で起きてしまうなど)や、体調面の問題(憂うつな気分が続く、休日に何もやる気が起きないなど)を拾い上げることで二次予防に繋がります。
また、ネットワークトラブルや作業のやりづらさなどテレワークによる業務への影響も確認することで従業員のストレスが軽減する可能性もあります。
他社事例としては、部署ごとに朝礼を設けて、オンライン会議などで顔を合わせる機会を作り、上司が部下の体調確認をしやすいように工夫しているケースもあります。
また、社内でテレワークに関する相談窓口の開設などを準備しておくと従業員は安心されるかもしれません。社内リソースに応じてご検討いただければ幸いです。

③ 産業医や保健師などによるケアとして、上述のラインケアによって、睡眠や体調面にトラブルを抱えている従業員を把握したタイミングで、産業医へ情報共有し、対応についてご相談いただくのはいかがでしょうか。

④ 事業場外資源(主治医や外部EAP機関)によるケアとして、事業場外資源としてメンタルヘルス相談窓口などがあれば、従業員に対して必要時は相談するよう促すとよいかと思います。

以上、参考になりましたら幸いです。


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